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【Tatsunoshin】 曲づくりは「感情の自給自足」


\ Let's share! /

アーティスト

UKハードコアレベールであるアメリカ「Justice Hardcore」に2020年、オーストラリア「OneSeventy」に2021年、ともに日本人として初めて加入。同年、ベルギー「Dirty Workz」の傘下であるレーベル「Electric Fox」から、アジア圏かつ未成年としても初のリリースを成し遂げたTatsunoshinさん。海外アーティストとのコラボレーションも活発に行うなど、若くして世界的に活躍する音楽プロデューサーの素顔に迫ります。(全2ページ)


INTERVIEW2.

いろんなジャンルを混ぜ合わせられるのも、ハードコアの魅力

――現在進行形の案件もいっぱいあるようですが…曲づくりのペースがかなり速い印象です

Tatsunoshin:自分的には1曲2日ぐらいでつくりたくて。僕の場合、変に悩んだらいい曲にならない気がしていて、基本1週間以内にバーッとつくって送るので、先方から速いと驚かれます。
――速すぎると、もっとできると思われますね

Tatsunoshin:そうなんです(笑)。納期までまだ余裕があるし、もっとアレンジできるところがあったらやってほしいので、手元に置いておいてくださいって言われますね。
――曲づくりは何かしらのインスピレーションありきなんですか?

Tatsunoshin:まさにそうで。最近あんまりつくりたくないな…って時期があって、理由を考えてみたら、いい曲に出会っていなかったんです。自分が好きなDJやアーティストのリリースを聴いて、「いいな、僕もこういう曲つくりたいな」というところからスタートすることが多いので。もちろんコピーするわけではなく、それをリファレンスしてつくりますが、いい曲に出会えなかったら一日中何もしない日もあります。
――いいインプットに触発されて、自分のなかで掛け合わせる感じでしょうか

Tatsunoshin:そうです。僕はいろんなジャンルを混ぜるのが好きなんですが、ハードコアはその点の自由度が高い気がしますし、そこが魅力だなと。たとえばハッピーハードコアとフューチャーベースとか、前半をハッピーハードコアにして後半をハードスタイルにするとか、後ろをドラムンベースにするとか、途中でベースハウスのパートをつくるとか。

――それは何かを聴いて「もっとこうしたらかっこいいのに」みたいな思いが湧いたりするんですか?「僕の方が良くできるのに」みたいな

Tatsunoshin:それは一回も思ったことないですね。「あざっす!このアイデア、参考にさせていただきます!」みたいな感じでやっています(笑)。
――リスペクトありきなのは気持ちいいですね。いろんなジャンルを混ぜるのが好きというのは、どこから?

Tatsunoshin:音ゲーって、8小節ごとにジャンルが変わったりするんです。展開があればあるほど良くて、それがルーツになってるからだと思います。最近つくった曲では、コラボ相手に合わせてハードコアにパンクロックを混ぜたんですが、以前に大学の授業でパンクロックの課題があったので、そのときの資料を見直して「こんな感じこんな感じ」って組み立てて。
――大学での学びも活かされていますね

Tatsunoshin:自分からはやらないジャンルの曲をつくったりするので面白いですよ。幅も広がりますし、オーダー通りの楽曲を短時間でつくる練習にもなります。
――リリーススケジュールもものすごくハイペースですよね

Tatsunoshin:昨年10月ぐらいの段階で、今年の6月ぐらいまで埋まっていたんですが、6月になったら10月ぐらいまでは決まっていて。だいたい2週に1曲は出しているんですけど、それでもつくりすぎて眠っている曲が大量にあります。

究極、「音楽で食べていきたい」しかない。今のこの幸せが続けばいい

――海外アーティストとのコラボも活発にされていますが、声をかけたり、かけられたり?

Tatsunoshin:自分から持ちかける場合は、絶対自分よりレベルの高い人とやりたいと思っています。大物DJは、ボーカルサンプルで曲をつくることを嫌うので、僕がボーカリストを見つけてきて、ある程度土台をつくってから投げるようにしています。
――とくに印象に残っているコラボは?

Tatsunoshin:初めて海外のボーカリストでつくった曲は、思い入れがありますね。オーストラリアのシンガーに頼んで、いちから全部僕が面倒を見てつくったので、その分時間も手間もかかって。ピアノはここ(大阪音楽大学のスタジオ)で僕が弾いて録りました。大学のスタジオは、めちゃくちゃ活用させてもらっています。

――作曲のどのようなところに面白味を感じますか?

Tatsunoshin:作曲は〈感情の自給自足〉だと思っています。自分が好きな音楽を自分でつくれるのって最高でしょう。自己満足ではあるけど、それが人にも響いたらうれしいし。僕がよくつくる歌モノは、どれだけ感情が大きいかが重要だと思っています。メロディがあって抑揚もあって、聴く人を惹きつけられるような曲をつくりたいです。
――DJの面白味は?

Tatsunoshin:単純に自分のつくった曲がウケたらうれしいですね。結構自分の曲ばかりかけているので、それでみんなが盛り上がって踊ってくれたら最高です。
――昨年10月にあった『TOKYO HARD GROOVE SESSIONS』は、20歳になった瞬間にオファーが来たそうで

Tatsunoshin:ちょうど誕生日を迎えたタイミングでDMが届きました。当初の予定から開催が延期になったことで出演できるようになったんです。コロナ禍でいろんなパーティーが潰れていたので、東京はこれが初めて。いきなりキャパ2700人のアリーナでやることになって、お客さんの顔も見えないぐらいでしたが、盛り上がっているのはすごくわかるし、熱気も伝わってきて面白かったです。今年の4月に初開催された『TOKYO HARD DANCE』というパーティーも、めちゃくちゃウケまくって最高でした。

――DJとしても大活躍ですね。では最後に、今後の展望を聞かせてください

Tatsunoshin:もっと日本のリスナーを増やしたいです。Spotifyのリスナーを見ると、もちろん日本の方もいますが、圧倒的に海外勢が多くて。究極、「音楽で食べていきたい」しかないですね。今のこの幸せが続けばいい。そのためにも、日本市場でもちゃんと基盤をつくりたいです。

――今後のご活躍も期待しています!
Interview&Text/三浦彩

Tatsunoshin(タツノシン)
主にUKハードコアを制作している日本の作曲家、編曲家、DJ。ハードダンスを得意としたサウンドやDJに定評がある。2021年、日本人として初めて、オーストラリアのUK/ハッピーハードコアのレーベル「One Seventy」に加入。同年に「Dirty Workz」の傘下である「Electric Fox」から『Forgive』をリリースし、“Hard Dance/Hardcore Beatport Top100”で1位を獲得。同レーベルからはアジア圏、そして未成年としても初のリリースとなった。Timmy Trumpet、Showtek、Kayzo、Darren Styles、Da Tweekazなど、多くの大物アーティストからサポートを受けている。
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最新情報 📣
BANDAI NAMCO『太鼓の達人』で楽曲採用!
太鼓の達人 楽曲募集だドン!2022」において、500曲以上の応募楽曲の中から、Tatsunoshinさんの「RAINBOW SKY」が採用されました。このコンテストではTatsunoshinさんの楽曲含む全11曲が選ばれています。採用楽曲は、全国のアミューズメント施設にある『太鼓の達人』で順次プレイできるようになります。「RAINBOW SKY」の実装をお楽しみに!
「RAINBOW SKY」の試聴はこちら

SPECIAL2. セルフライナーノーツ


Tatsunoshinさんがこれまでに制作した曲の中から、特に思い入れの強い3曲について解説してもらいました!

Breathe Me(feat. KYRK)


感情的で巨大な世界観を持つ一曲。この曲は去年の9月にオーストラリアのシンガー・KYRKに私から曲を一緒に作りたいと話を持ちかけ、制作しました。作る前から巨大で壮大なHappy Hardcoreを作りたいという明確なイメージがあり、ボーカルが届いた時は「あ~!これこれ!」ってなりました(笑)。ボーカルと歌だけで完成するようなトラックにもしたかったので、アコースティックバージョンも制作しました。ピアノは大学でレコーディングをし、歌も再録をお願いして完成しました。30分くらいしか時間がなくて結構キツキツだったな…。

Music Is Moving


昔からクラブシーンで愛される声ネタを使用した一曲。クラブ好きなら誰もが知っている声ネタを使用し、昨今のHappy Hardcoreのバイブスとクロスオーバーさせた"Music Is Moving"。ずっと踊れる曲を作りたくて、基本的にビートが止まらないようにしました。特に1st Drop後のパートは我ながら面白くできたと思います。様々なRaveサウンドを取り入れ、どの年代にも受け入れられる一曲になったと思います。あと、Timmy Trumpetが使ってくれて嬉しかった。

Alone


日本の最大手Hardcoreレーベル、"HARDCORE TANO*C"からリリースした一曲。私自身中学生の時から聴いているレーベルで声が掛かった時はとても嬉しかったのを覚えています。中学生の時の自分に「TANO*Cからリリースしてるぞ!」って伝えたらびっくりしてるんだろうな…と思いました(笑)。多幸感のあるトラックがオーダーだったので多幸感もありつつ、自分の好きなサウンドを詰め込む方向で制作。昨今のHard Danceの全てを詰め込みました!って感じが子供の好きなものを全部詰め込んだお子様ランチみたいでいいなと思います!(?)