「作品が動き出す瞬間(とき)―感動は客席で生まれる―」(松田ひろ子)
筆者/松田ひろ子(大阪音楽大学短期大学部ミュージカル・コース 教授)
皆さんは、ミュージカルの舞台を観に行ったことがありますか。
もしまだ観たことがない方がいたら、ぜひ一度、劇場の扉を開いてみてください。客席の明かりが落ち、静かに幕が上がる―その瞬間から、舞台はすでに“動き始めて”います。
ミュージカルは、一人の力では生まれません。台本があり、音楽があり、振付がつき、俳優が自らの身体を使って物語を生きる。そこに舞台美術や衣装、照明、音響など、数えきれないほどのスタッフの力が重なり、ようやく舞台の姿が立ち上がります。そして最後に、そのすべては客席にいるお客様の呼吸と出会って初めて“感動”という形になる。作品が生まれ、育ち始める瞬間です。
もしまだ観たことがない方がいたら、ぜひ一度、劇場の扉を開いてみてください。客席の明かりが落ち、静かに幕が上がる―その瞬間から、舞台はすでに“動き始めて”います。
ミュージカルは、一人の力では生まれません。台本があり、音楽があり、振付がつき、俳優が自らの身体を使って物語を生きる。そこに舞台美術や衣装、照明、音響など、数えきれないほどのスタッフの力が重なり、ようやく舞台の姿が立ち上がります。そして最後に、そのすべては客席にいるお客様の呼吸と出会って初めて“感動”という形になる。作品が生まれ、育ち始める瞬間です。

DAIONミュージカル第15回公演「ガラスの戦士」

DAIONミュージカル第15回公演「ガラスの戦士」
(photo by 齋藤遥)
近年、日本のミュージカル業界は大きく広がりました。海外の名作が数多く上演される一方で、2.5次元ミュージカルをはじめ、日本オリジナル作品にも注目が集まっています。私が学生だった頃は、今ほどミュージカルが一般的ではありませんでしたが、当時から日本のクリエイターたちは素敵なオリジナル作品を生み出していました。
ミュージカル・コース前主任の羽鳥三実広先生が劇団四季時代にイギリスを訪れた際、「海外のクリエイターたちはオリジナル作品を生み出すことに誇りをもっていた。私たちも誇りをもって作品を創る」と語ってくださったことがあります。その言葉は、今も私の胸に強く残っています。
私自身、この10数年、コース学生の学びの集大成として上演されるオリジナル作品(DAIONミュージカル)に携わってきました。音楽監督・作曲家・俳優・演出・・・立場が変われば見える景色も変わりますが、どの立場でも共通しているのは「お客様に感動を届けたい」という想いです。
ただ、その“感動”をどう形にしていくかは、立場によってアプローチが大きく異なります。そこでまずは、音楽監督・作曲家としての視点からお話ししたいと思います。
ミュージカル・コース前主任の羽鳥三実広先生が劇団四季時代にイギリスを訪れた際、「海外のクリエイターたちはオリジナル作品を生み出すことに誇りをもっていた。私たちも誇りをもって作品を創る」と語ってくださったことがあります。その言葉は、今も私の胸に強く残っています。
私自身、この10数年、コース学生の学びの集大成として上演されるオリジナル作品(DAIONミュージカル)に携わってきました。音楽監督・作曲家・俳優・演出・・・立場が変われば見える景色も変わりますが、どの立場でも共通しているのは「お客様に感動を届けたい」という想いです。
ただ、その“感動”をどう形にしていくかは、立場によってアプローチが大きく異なります。そこでまずは、音楽監督・作曲家としての視点からお話ししたいと思います。

ミュージカル創作演習の稽古場にて~演出家・出演者と意見交換
(photo by 齋藤遥)

総合演習の歌稽古(photo by 齋藤遥)
音楽監督・作曲家としての視点
音楽を作るときに大切にしているのは、シーンや登場人物が伝えたいことを丁寧に読み取り、観客に届く形にすること。歌のシーンなら俳優の心に無理なく寄り添えるように、ダンスナンバーなら振付家と呼吸を合わせながら作り上げていきます。
アレンジも試行錯誤の連続です。そしてその試行錯誤は、実際に演じてくれる俳優がいてこそ成り立ちます。ボツになるたびに新しい挑戦をしてくれる俳優やスタッフには、尊敬の念しかありません。
アレンジも試行錯誤の連続です。そしてその試行錯誤は、実際に演じてくれる俳優がいてこそ成り立ちます。ボツになるたびに新しい挑戦をしてくれる俳優やスタッフには、尊敬の念しかありません。
俳優としての視点
俳優は台本を読み、登場人物に共感し、身体を通して“生きる”。
この“生きる”という行為は簡単ではありません。なにしろ虚構の世界を生きなくてはならないのです。覚えたセリフや学んだ知識をただ伝えるのではなく、登場人物として呼吸し生きる。歌い・踊り・演じる。そのために身体を鍛え、技術を磨き、想像力を育てていきます。
そして、その「想像力」をさらに広げてくれるのが、テクニカルスタッフの力です。
この“生きる”という行為は簡単ではありません。なにしろ虚構の世界を生きなくてはならないのです。覚えたセリフや学んだ知識をただ伝えるのではなく、登場人物として呼吸し生きる。歌い・踊り・演じる。そのために身体を鍛え、技術を磨き、想像力を育てていきます。
そして、その「想像力」をさらに広げてくれるのが、テクニカルスタッフの力です。
テクニカルスタッフが生み出す“世界”
私は『隕石の落ちた町』という作品で、4人の娘を持つ母親を演じたことがあります。物語のラストで病に倒れる役なのですが、人生を振り返り最期の歌が始まる瞬間、すっと入ってきた明かりと音のバランスに心を大きく動かされました。気づけば呼吸が変わり、身体が勝手に動き、「歌わされた」という感覚。表現の出来はわかりませんが、自分の内面に深く集中できた瞬間でした。照明や音響が五感に働きかけてくれる体験だったのです。
また、観客の視点を持つ演出という立場で見ると、衣装は人物像を、美術は時代や背景を立ち上げてくれる。作品は舞台にいる全員の力で“生きている”のだと実感しました。
また、観客の視点を持つ演出という立場で見ると、衣装は人物像を、美術は時代や背景を立ち上げてくれる。作品は舞台にいる全員の力で“生きている”のだと実感しました。

DAIONミュージカル第13回公演「空の向こうの物語」
(photo by 齋藤遥)

DAIONミュージカル第6回公演「ママ、ふり向かないで」
(photo by 齋藤遥)
支え合う現場と、学生の成長
多くの人が互いに支え合いながら作品を作るのは、すべて「お客様に感動を届けるため」。そこには信頼とリスペクトが欠かせません。意見がぶつかることもありますが、作品を良くするために自分の役割を果たす。恐れずに提案できるのは、互いの力を信じているからだと思います。
そして学生たちも、このDAIONミュージカルという環境の中で大きく成長していきます。プロ劇団と同じような現場で創作に関わることで、心も技術も磨かれていく。私を含む指導陣も彼らから刺激やインスピレーションをもらい、教育現場としてだけでなく創作現場として良い循環が生まれています。
そして学生たちも、このDAIONミュージカルという環境の中で大きく成長していきます。プロ劇団と同じような現場で創作に関わることで、心も技術も磨かれていく。私を含む指導陣も彼らから刺激やインスピレーションをもらい、教育現場としてだけでなく創作現場として良い循環が生まれています。
▲ DAIONミュージカル15回公演「ガラスの戦士」ダイジェストPV
そして最後に、作品を“育てる”のはお客様
舞台から放たれた呼吸が客席に届き、客席から返ってくる反応がまた舞台を変えていく。その一つひとつが、作品を“生きもの”にしていきます。
だからこそ、ミュージカルが好きな方にも、まだ観たことがない方にも、新しい作品が生まれ育つ瞬間に立ち会っていただけたら嬉しいです。皆さん是非劇場へお越しください。お待ちしています。
だからこそ、ミュージカルが好きな方にも、まだ観たことがない方にも、新しい作品が生まれ育つ瞬間に立ち会っていただけたら嬉しいです。皆さん是非劇場へお越しください。お待ちしています。
ミュージカル・コースとDAION座の今後の予定
◆ミュージカル・コース presents
「好き」が、舞台になる
Summer Concert2026
日程:2026年7月19日(日)14:00開演
会場:ミレニアムホール
入場料:無料
◆DAION座シアター vol.2
第1部 リーディングミュージカル「マリリン」
第2部 Bridge~sing the future~
日程:2026年9月12日(土) 開演時間未定
会場:ミレニアムホール
※詳細が決まり次第、ミュージカル・コースのホームページに掲載します。
「好き」が、舞台になる
Summer Concert2026
日程:2026年7月19日(日)14:00開演
会場:ミレニアムホール
入場料:無料
◆DAION座シアター vol.2
第1部 リーディングミュージカル「マリリン」
第2部 Bridge~sing the future~
日程:2026年9月12日(土) 開演時間未定
会場:ミレニアムホール
※詳細が決まり次第、ミュージカル・コースのホームページに掲載します。

松田ひろ子(Hiroko Matsuda)
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。劇団四季を経てシンガーとして活動するほか、クラシック・ミュージカルの垣根を越えた幅広いジャンルの歌唱指導には定評がある。2008年より大阪音楽大学短期大学部ミュージカル・コースにて指導。羽鳥三実広氏の元で「ミュージカル俳優に必要な歌唱・演技の基礎発声」「表現法」の指導法を学ぶ。東宝・劇団四季のオーディション合格者を多数輩出。各地でのミュージカルワークショップ企画・指導、ミュージカルショーやコンサートイベントの構成・編曲も意欲的に手がける。DAIONオリジナルミュージカル作曲、音楽監督。「DAION座」代表。
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。劇団四季を経てシンガーとして活動するほか、クラシック・ミュージカルの垣根を越えた幅広いジャンルの歌唱指導には定評がある。2008年より大阪音楽大学短期大学部ミュージカル・コースにて指導。羽鳥三実広氏の元で「ミュージカル俳優に必要な歌唱・演技の基礎発声」「表現法」の指導法を学ぶ。東宝・劇団四季のオーディション合格者を多数輩出。各地でのミュージカルワークショップ企画・指導、ミュージカルショーやコンサートイベントの構成・編曲も意欲的に手がける。DAIONオリジナルミュージカル作曲、音楽監督。「DAION座」代表。












