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【赤﨑夏実】「おは朝」歴代最長、エレクトーンのお姉さんとして


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仕事図鑑
関西で朝の情報番組といえば、ABC(朝日放送テレビ)の“おは朝”こと「おはよう朝日です」を連想される方も多いでしょう。1979年にスタートした長寿番組で、なかでも特徴的なのが“エレクトーンのお姉さん”。エレクトーンでジングル(短い音楽)を弾き、「おはよう朝日です。ただいま〇時〇分です」と時刻を告げます。その12代目を務めるのが、“なっちゃん”の愛称で親しまれている赤﨑夏実さん。大阪音楽大学短期大学部のジャズポピュラー科に在学中の2009年9月から、朝のひとときに彩りを添えてくれています。14年以上の長きにわたる番組出演や音楽に対する思いなどを伺いました。

オーディションでは、大好きなかっこいいジャズを自分らしく演奏

――関西出身の人間にとっては、“エレクトーンのお姉さん”は“朝の顔”という存在です。どのような経緯でオーディションを受けられたのですか?

赤﨑:3歳からヤマハ音楽教室に通い、エレクトーンを習っていました。15歳の時にヤマハのCMに出演し、演奏活動で全国を回らせてもらったりしていて、その流れでヤマハの方から「こういうオーディションがあるんだけど、受けてみる?」とお話をいただきました。
――ご出演は短大2年次の9月からですが、オーディション自体はそんなに早く行われていたんですね。お話があって、「やってみよう!」と?

赤﨑:実は決まると思っていなかったんです(笑)。エレクトーンのお姉さんって、清楚ではかなげな印象があったから、自分みたいな活発な人間とはイメージが違い過ぎる!と。だからお話をいただいたときも、「いやいや、またまたぁ~」みたいな感じだったんですが、せっかくだし受けるだけ受けてみようと挑戦しました。こんな機会に恵まれることなんて、そうそうないでしょうし。
――歴史の長い有名な番組ですもんね。オーディションはどんな感じだったんですか。

赤﨑:ヤマハのスタジオに当時のプロデューサーさんやディレクターさん、前任のお姉さんらがズラリと並んでいるなか、エレクトーンがポンと置いてあって、「はい、どうぞ」みたいな。当時番組で使われていたジングルと、自由曲を1曲弾く形だったんですが、 自由曲ではめちゃくちゃ激しくてかっこいいジャズの曲を、ニコリともせずブワ~ッと弾いたんですよ。終わったらみんな「え、何これ?」みたいな(笑)。

――エレクトーンのお姉さんオーディション史上、初じゃないですか?!

赤﨑:まさにそうで、あとから聞いた話では、その意外性が面白かったらしいです。せっかくだからその場を楽しもうと、好きな曲を好きな風に演奏して、質疑応答も飾ることなく素のままで答えました。本当に好きなようにやって終わったんですが、その日のうちに、「あなたに決めました」って連絡が来て、「本当ですか!?」と。このキャラクターで合格させてもらえ、光栄でした!

――自由でアクティブなご自身の持ち味を、気負わず表現できたのが良かったのかもしれませんね。

ザ・カレッジ・オペラハウスで「おはよう朝日です」2024年カレンダーの撮影を実施

先生から直接教えていただいたことを作曲や編曲にも還元

――その一方で、大阪音楽大学の短期大学部でジャズのピアノを専攻されたのはなぜですか?

赤﨑:それまでエレクトーン一筋で、入試の準備をするまで、ピアノを一回も触ったことがなかったんですよね。自分にとって次のステップアップとして何があるか考えたとき、過去やってこなかったことに挑戦してみようと思ったんです。もともとジャズは幼い頃からよく聴いていましたし、エレクトーンで弾くのも好きだったので 、大音(大阪音楽大学)ではジャズピアノを学びたいなと。
――音楽的な幅を広げたいという思いもあったんですね。その時点で、将来像はイメージされていたんですか?

赤﨑:具体的には全然なかったですね。ただ、このまま演奏のお仕事を続けたいとは考えていたので、そのためにも自分を磨きたいという思いはあって。だからすごくいいタイミングで「おは朝」が決まった感じです。
――実際、大学生活はいかがでしたか?

赤﨑:本当にもう一瞬で終わりました…。とくに「おは朝」が始まってからは、忙しすぎて記憶がないぐらい(笑)。とにかく毎日、練習室にこもってピアノに打ち込んでいました。やっぱりエレクトーンとは全然違いますし、最初のうちは、思うようにできない悔しさを日々感じながら、必死に練習していて。そこから次第に成長していく感覚を得られつつも、さらに上をめざして全力投球していました。今思えば、もっと他のことにも目を向けてキャンパスライフを楽しんでおけば良かったなとも思うんですが、何かに没頭する経験も学生時代には大事かなと。
――音楽漬けの2年間だったんですね。ピアノを学ぶことで、エレクトーンに還元されることもありましたか?

赤﨑:めちゃくちゃありましたね。知識と技術の両面からしっかり学んでいくと、自分から向き合わないといけない、また別の課題が出てくるんですよ。それに子どもの頃から感覚的にやってきて、曖昧にしてきた理論的な部分を整理して学べたことは、エレクトーンを演奏する場合にも、ものすごくプラスになりました。

撮影中の赤﨑夏実さん(ザ・カレッジ・オペラハウスにて)

――今につながっていることも多いんですね。

赤﨑:ジャズピアノの先生からマンツーマンで直接ご指導いただき、アドリブのテクニックなりセンスなりを日々、間近で体感して吸収できたのも大きかったです。エレクトーンで曲をつくったりアレンジしたりもするので、そこに吸収したものが出てくるというか。


――作曲や編曲は、「おは朝」でもよく手がけられるんですか。

赤﨑:ジングルなどエレクトーンの部分は任せていただけています。番組内でBGMを弾く生演奏もあって、たとえば「明るい感じの曲を3分間、弾いておいて」とか、結構あるんですよ。そういう場合、今まで培ってきたものを瞬時に出さないといけませんし。また、その月にABCテレビがピックアップする新人歌手の曲などを「エレクトーン曲に編曲して」というオーダーもあります。


――出演されている時間外のお仕事も多いんですね!

一から全部、自分でつくり上げられるところがエクトーンの魅力

――番組の企画に参加されることも、どんどん増えてきていますよね。

赤﨑:ありがたいことに、音楽以外の部分でも関わらせていただくことが多くて。毎日が楽しいうえ、みんなで番組をつくっているという感じで、すごくやりがいがあります。スタッフさんたちも出演者の方々もあたたかい人ばかりで、本当にファミリーのような雰囲気なんですよ。街でもたくさん声をかけていただけて、すごい番組に出演できているのだなと日常的に実感しています。しかも「なっちゃん!」って近所の子みたいに呼びかけていただけるのもうれしいです。
――親しみやすいお人柄も愛されていますよね。お仕事されるうえで、心がけていらっしゃることは何でしょう。

赤﨑:自分を大切にすることですね。風邪もひけないし、喉も痛められないし、怪我もできないし、本当に健康管理が重要。そして休みの日は、大好きな旅行に出かけてエネルギーをチャージしています。今年の夏休みはメキシコなどに行って現地の友人と遊びましたし、アジアやヨーロッパなど、いろんなところを旅しています。それがあるから頑張れるというのもありますしね。

赤﨑夏実さん(ザ・カレッジ・オペラハウスにて)

――月曜から金曜まで、朝5時からのお仕事ですもんね…。エレクトーンの楽しさや魅力は、どういうところに感じられますか。

赤﨑:一から全部、自分でつくり上げられるところが大きいです。もちろんピアノもそうなんですけど、演奏の技術やスタイルだけでなく、リズムの打ち込み方だったり音のつくり方だったり、数え切れないぐらいパターンがあって、そこで個性を出せるのが面白い。一人で完結できて、人とは違う自分の色を出せますし、同じ曲でも、演奏する人によってまったく違ったものにできますし。自分でどんどんアップグレードもできて終わりがないので、やっぱりすごい楽器だなと。自分の経験したことや吸収したことを、そのまま落とし込んで反映させられるぐらい、表現力があるところも面白いです。


――ピアノで培った経験も活かせるわけですね。今後の目標はなんですか。

赤﨑:大きな野望はなく、このまま自分を大切にしながら、幸せに生きていけたらなって。人に恵まれてきた人生なので、この先も皆さんに助けられながら、それを感謝して楽しみながら、演奏していけたらいいなと願っています。人との出会いを通じて、新しい挑戦を続けていきたいですね。


――人と出会うことで見えてくる道もありますもんね。そして「おは朝」に関しては、最長記録をどんどん更新していかれると。

赤﨑:プロデューサーさんが、四十代になっても五十代になってもなっちゃんは続けてくれって冗談で言ってくださるので、「もう、またまたぁ~」なんてやり取りをしているんですが(笑)。


――とても素敵な関係ですね。これからも長く楽しませていただけたらうれしいです!

Interview&Text/三浦彩

赤﨑夏実(あかざきなつみ)
1989年8月5日、神戸市生まれ。関西を中心に活動しているエレクトーン奏者、リポーター。大阪音楽大学短期大学部ジャズポピュラー科在学中の2009年9月からABCテレビ「おはよう朝日です」のエレクトーン奏者として出演。番組では初めての平成生まれのエレクトーン奏者で、歴代最長出演記録を更新中。趣味は旅行、ショッピング、人間観察。