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大阪音楽大学について

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2006年~2015年



2006年(平成18年)

大阪音楽大学の歴史

1月13日 ザ・カレッジ・オペラハウス、平成17年度文化庁芸術祭大賞受賞
前年10月の《沈黙》再演の成果により、平成17年度(第60回記念)芸術祭賞の音楽部門大賞に選ばれた

平成17年度(第60回記念)芸術祭賞贈呈式
表彰を受ける西岡理事長・学長
[受賞理由]
一つの大学が母体となって運営されているオペラハウスは世界的に見ても希有の存在だが、今回の「沈黙」は、歌手、演奏、演出など、どの角度から見ても水準が高く、大きな成果と言える
1月29日 ジャズ・ポピュラーミュージック~源流から現代~(大阪厚生年金会館/現・オリックス劇場)★
★は創立90周年記念事業。詳細は2005年コラム「創立90周年─音楽を拡げる」参照

2月5日 第39回幸楽会コンサート 創立90周年記念「ベートーヴェン“第九”演奏会」

大阪音楽大学創立90周年幸楽会管弦楽団68名、同合唱団91名の総勢159名が母校の創立90周年を祝い、松尾昌美名誉教授の指揮で、《第九》を演奏した。管弦楽団には本学教員、名誉教授、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団や大阪フィル、大阪市音、京都市響等の第一線で活躍中の卒業生が駆け付けた。ソリストは井岡潤子(Sop)、片桐仁美(Alt)、林誠(Ten)、田中勉(Bar)
2月21日 「第4回芸術系大学長と文化庁長官との懇談会」で発表(京都造形芸術大学)
全国27の芸術系大学長が参加。本学からは西岡信雄学長と中村孝義教員が出席した。「大学における地域文化振興の取り組み」の事例として、西岡学長がザ・カレッジ・オペラハウスの全貌について発表した

3月3日 創立90周年記念演奏会(ザ・シンフォニーホール)★

3月17~4月2日 特別展示「古今東西 吹奏楽の楽器たち」(大阪歴史博物館)★

3月19日 「関西吹奏楽150年─幕末鼓笛隊からシンフォニックバンドへ」(NHK大阪ホール)★

特別展示「古今東西 吹奏楽の楽器たち」リーフレット表紙

「関西吹奏楽150年─幕末鼓笛隊からシンフォニックバンドへ」チラシ

4月1日 第6代学長に中村孝義就任
    付属音楽院院長に出戸由紀子就任
    オペラハウス館長に本田耕一就任
    田原祥一郎に名誉教授の称号
    丸谷明夫、特任教授就任

4月1日 大学入学定員変更(225名→210名)
    大学3年次編入学定員30名設定

4月1日 同窓会《幸楽会》特別推薦制度導入

4月1日 大学コンソーシアム大阪「単位互換事業」開始
大学コンソーシアム大阪(大阪府内国公私立48大学加盟)の単位互換事業が始まり、本学を含め初年度30大学が参加した。本学は「西洋音楽史概説」など4科目を提供、他学の学生8名が受講。本学初の単位互換履修生は2名であった

5月4~6日 第2回日韓学生交流演奏会(テグ・オペラハウス)
啓明大学校との第2回日韓学生交流演奏会は、同大学校のある韓国大邱(テグ)市のテグ・オペラハウスでプッチーニ《蝶々夫人》を上演した。本学出身の井原広樹(現・客員教授)が演出。本学学生・卒業生3名が各日1人ずつ出演し、蝶々夫人、ピンカートン、シャープレスを歌って啓明大学校の学生たちと共演した。約1,500席の会場は3日間とも満席であったという

(左)5月4日、(中)5月5日、(右)5月6日

7月16日 2007年度同窓会《幸楽会》特別推薦実技認定審査実施
16日金沢、17日広島、22日大阪で実施し、3会場合わせて計73名が審査を受けた

9月5日 大阪音楽大学吹奏楽団「大阪クラシック」に参加(大阪市中央公会堂)
初開催の大植英次プロデュース「大阪クラシック」で、北野徹教員・大植英次指揮による本学吹奏楽団演奏会が開催された。本学出身の大阪フィルメンバーとも共演

9月25日 「豊中市教育委員会と大阪音楽大学との連携協力に関する覚書」に調印
“音楽あふれる学校づくり”を目指す豊中市と本学が連携。本学学生や卒業生らによる市立小・中学校等での出張演奏や授業支援、箏の貸し出しによる伝統音楽の普及を行う「サウンドスクール」事業を開始した

豊中市立桜井谷小学校での初授業(11月24日)

学生5名が木管五重奏の演奏と楽器の説明などを行った
9月28、29日 第18回学生オペラ《フィガロの結婚》

10月7日 第1回若い芽のコンサート
卒業して10年未満の卒業生を対象に、演奏経験を積む機会を提供するための新企画。クラシック系、ジャズ・ポピュラー系合わせて初年度は計6回開催した

10月7日

10月28日

10月18日 「はびきの市民大学」提携講座開始(LICはびきの)

羽曳野市が市民の生涯学習の場として開学している「はびきの市民大学」と提携、本学が講座を開くことになった。当年度後期講座に「音楽への旅…“歌”の魅力を探る」(全12回)を開講
10月19日 岸幸臣(院1)第75回日本音楽コンクール作曲部門第3位入賞

11月1~3日 大学祭「Funky MATSURI」

11月10、12日 20世紀オペラ・シリーズ 大栗裕《赤い陣羽織》/鈴木英明《鬼娘恋首引》
第38回オペラ公演、シリーズ第6弾は故大栗裕、鈴木英明両教員の代表作2本立てであった。指揮は現田茂夫、演出は元本学教員の狂言師茂山千之丞。《鬼娘恋首引》は当公演を機に26年ぶりの改訂初演となった

赤い陣羽織

鬼娘恋首引

平成18年度 特別講義
特別講義

パスカル・モラゲス
(6月13、14日クラリネット
(欧日音楽講座))

ミシェル・アリニョン
(6月17日クラリネット)

須川展也
(6月26日サクソフォン)

一柳慧(7月4日作曲)

ヨズア・バルチュ
(7月21~26日、
’07年1月29日~2月2日声楽)

フランク・ロイド
(9月22日ホルン)

アルヌルフ・フォン・アルニム
(11月4~6日ピアノ)

梯郁太郎/ヘクター・オリベラ
(11月16日電子オルガン)

パトリック・ジグマノフスキー
(12月22日ピアノ)

鈴木英明
(’07年1月17日作曲)

田嶋直士(1月19日尺八)

辻井清之(2月19日退任記念)

栗山昌良(3月19日オペラ)

活発化する様々な「連携」
本学はこれまでも大阪府や豊中市、高槻市など近郊の自治体と共催で講座を行うなど、地域の文化振興に寄与すべく、様々な協力を行ってきた。また、「関西音楽の歴史」2008年(平成20年)のコラムにあるような経費削減を目的としたオペラの共同制作も、モーツァルト作品などにおいて横浜や広島のオペラ団体と、いち早く行っていた。しかしこの頃から各地で「連携」が活発化するのに伴い、本学もさらに様々な連携を試みるようになった
まず2006年(平成18年)に豊中市教育委員会と連携協力に関する覚書を交わし、「サウンドスクール」事業に協力を開始。これは同市が市立の小中学校を対象に「音楽あふれる学校づくり」をめざし、児童・生徒が音楽のすばらしさに触れる機会を充実させ、情操教育の一環として進めるもので、本学の学生、卒業生らが「生きた演奏支援活動」「伝統音楽の普及」を実践している。本学の学生らにとっては音楽を子供たちに提供するとともに、演奏の機会、また教育現場を体験する機会を得ることができる。
豊中市とはその後2009、2011年(平成21、23年)に連携協定を結び、2012年からは同市の文化芸術振興プランの一つ「音楽あふれるまちとよなか」の推進事業として市が企画した「とよなか音楽月間」に参加。秋の2か月、市内各地で催される音楽イベントでの演奏、本学主催公演の冠化やワークショップ、オペラのゲネプロ(最終総括練習)公開などの特別企画を行っている。2015年(平成27年)より同市が創設した豊中音楽コンクールには共催団体として協力を開始した。また2011年に大阪大学21世紀懐徳堂と大阪音楽大学連携支援センター、豊中市の三者で連携協力実施に関する覚書を締結。これは、豊中市が同じ市内にある本学と大阪大学との連携事業を通じて、教育文化都市豊中にふさわしい魅力を創出しようという「大学のあるまちとよなか」推進事業を実行するためのものであった。同年12月18日、第1回のジョイント企画「待兼山クリスマスコンサート」を大阪大学会館 講堂で開催した。「演奏事務部門」が「連携・演奏事務部門」となったのもこの年で、連携事業が多く行われるようになったことを示している。
この他、自治体との連携としては2006年から羽曳野市開催の「はびきの市民大学」で講座を担当、2011年からは富田林市のすばる音楽祭に協力、2013年(平成25年)には寝屋川市と包括連携協定を結び、翌年ミュージカル「寝屋のはちかづき」を制作。短大ミュージカル・コースの学生、卒業生が出演した。
一方、教育機関同士の連携も見られるようになる。1999年(平成11年)の中央教育審議会の答申を機に高大連携が全国的に広がったが、本学は2003年(平成15年)、音楽コースのある大阪府立池田北高等学校と初めて協定を交わし、2009年帝塚山学院高等学校、2011年帝塚山高等学校(奈良)、桜塚高等学校と次々に連携校を増やした。2013年には短大ポピュラー・コースに「高大連携特別推薦制度」を導入。2007年(平成19年)、大学は神戸親和女子大学と提携し、次年度から通信教育による「小学校教諭免許状(一種)取得プログラム」を開始した。
また2007年にはいずみホールと産学提携し、ホール運営の全容を学ぶ「音楽産業論」の授業を開始。本学が社会で即戦力となる人材育成を図り、産業界との連携を模索していたところ、同ホールからアイデアの提案があり実現した。ホール側にも若者へのいずみホールの認知度を高め、彼らの音楽志向をつかめる上、人材発掘の手がかりになるなどのメリットがあった。授業以外にもパイプオルガン専攻の学生が年に数回、同ホールのオルガンをレッスンに使用させてもらうなどの多面的な連携も行われた。
このような幅広い連携協力の取り組みは、本学の社会に対する文化振興の貢献度を増すとともに、より多様な社会のニーズに対応する音楽人を輩出することにつながるものであった。

関西音楽の歴史

3月12日 ~時代を駆け抜けた天才たち~「大澤壽人とその時代」(兵庫県立芸術文化センター大ホール)
米・仏で学び、戦前から戦後にかけて関西で活躍した作曲家・大澤壽人の生誕100年記念公演。当年8月、大澤が教鞭をとった神戸女学院大学に直筆譜をはじめとする多数の遺品が遺族より寄贈され、「大澤壽人遺作コレクション」として整理が進められた
4月10~26日 第48回大阪国際フェスティバル(フェスティバルホール)
初来日のスロヴェニア・フィルハーモニー管弦楽団公演で開幕し、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団公演で閉幕した同回は、全7演目8公演を開催。チャイコフスキー記念東京バレエ団「ベジャール=ディアギレフ」公演が注目を集めたほか、本年生誕記念の作曲家に因んだ企画が組まれ、ミッシャ・マイスキー(Vc)によるショスタコーヴィチ生誕100年記念「チェロ・コンサート」、井上道義指揮・演出によるモーツァルト生誕250年記念の「ブリリアント・モーツァルト」と銘打たれた公演が行われた。後者はオペラのハイライトを中心に構成され、気鋭の歌手陣のほか、本学のザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団などが参加。祝典的な雰囲気を盛り上げた
(公財)朝日新聞文化財団・(株)朝日ビルディング提供
『永遠の響き~フェスティバルホールの半世紀』より

チャイコフスキー記念
東京バレエ団

ブリリアント・モーツァルト

5月30日 西本智実《ジーズニ》日本初演ツアー2006 関西公演(フェスティバルホール)
チャイコフスキーが死の4年前に着手するも未完となった交響曲を、ロシアの作曲家ピョートル・クリモフが補作。《ジーズニ》(人生、生涯の意)と命名された全3楽章を、西本智実指揮チャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団が同年5月7日にロシアで初演奏を行っていた(モスクワ郊外クリン市のチャイコフスキーの家博物館)
8月17、20日 堺シティオペラ 第52回プッチーニ・フェスティバル参加 プッチーニ《蝶々夫人》公演(プッチーニ・フェスティバル野外劇場)
伝統あるイタリア(トッレ・デル・ラーゴ)の「プッチーニ・フェスティバル」に日本の団体として初参加。同フェスティバルと共同制作を行い好評を博した。10月29日には同演目にて帰国記念公演が堺市民会館で行われた

堺シティオペラ提供『堺シティオペラ生誕30年の歩み』より

帰国記念公演チラシ

9月3~9日 大阪クラシック~御堂筋にあふれる音楽~
大植英次のプロデュースにより、大阪市と大阪フィルハーモニー協会が御堂筋や中之島界隈における無料中心の初秋音楽イヴェントとして初開催。室内楽を中核とした多彩なクラシック音楽の市民への提供、及び都市魅力の向上を目的として、初年度は18会場で50公演を実施。約22000人の入場者を集めた。また同年4月には、同じく大植の提唱で大阪城・西の丸庭園における「星空コンサート」も初開催された

9月13~15日 神戸国際芸術祭2006「ウィーンの情熱」(シーサイドホテル舞子ビラ神戸・あじさいホール)
ウィーンで活躍するチェロ奏者ヘーデンボルク・直樹を芸術監督とし、市民への芸術文化普及を目的とした室内楽の音楽祭を初開催

9月16~18日 中之島国際音楽祭(大阪市役所玄関ホール、大阪市中央公会堂)
大阪市主催により、「大阪クラシック」と共に音楽文化の振興を目的として初開催。国内外の新進奏者などによるクラシック音楽中心の全15公演が行われた。本学も協力し、学長であった中村孝義とザ・カレッジ・オペラハウス合唱団による「レクチャーコンサート」が行われ、オペラの名合唱曲を披露した

10月25、26日 茂木大輔の「生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会」(兵庫県立芸術文化センター大ホール)
音大生を主人公とした二ノ宮知子原作のコミックで、当月よりフジテレビ系でTVドラマとして放映開始されるなど、大きなブームとなった「のだめカンタービレ」に因む関西初のオーケストラ・コンサート(ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団などが出演)。クラシック音楽のファン層に新たな広がりをもたらした
10月28、29日 びわ湖ホール プロデュースオペラ ヴェルディ《海賊》本邦初演(びわ湖ホール大ホール)
若杉弘指揮、鈴木敬介演出、京都市交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブル、東京オペラシンガーズ
びわ湖ホール自主制作による8年にわたったヴェルディのオペラ初演プロジェクトの最終回。当公演の成果により平成18年度文化庁芸術祭大賞受賞

平成26年12月1日
関西音楽新聞より

11月9~19日 ウィーン音楽祭 in OSAKA 2006 ~ニコラウス・アーノンクールを迎えて~(いずみホール)
第5回目となる同音楽祭(いずみホール主催)の最終日にニコラウス・アーノンクールが手兵のウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを率いて参加。実に26年振りとなる日本公演で、メモリアル・イヤーのモーツァルト《レクイエム》などを演奏。またアーノンクールは同月4日、80年代より客演を重ねるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と関西公演を行い(兵庫県立芸術文化センター大ホール)、ブルックナー《交響曲第5番》の演奏で衆目を集めた

2007年(平成19年)

大阪音楽大学の歴史

4月1日 鈴木英明、辻井清幸に名誉教授の称号

4月1日 「ピアノ演奏家特別コース」開設
大学ピアノ専攻に国際的なピアニストの育成を目的としたコースを新設。実際のステージでの演奏や国際コンクール挑戦に向けた実践的な訓練を行うことになった。2008年度に第1期生3名が入学

特別講師によるレッスン風景

4月1日 教員組織の変更
教員組織を教授、准教授、講師、助教、助手とし、従来の教育助手制度を廃止した

4月11日 いずみホールと産学連携授業「音楽産業論」開始
いずみホールと提携し、音楽業界で活躍できる人材の育成を図り、同ホールのスタッフ十数名を交代で招いてホール運営を総合的に学ぶ授業を開講。1つの企業が年間を通じて組織的に受け持つ「産学協働」の講義形態は日本の音楽大学として初の試みで、注目を集めた

4月11日 初講義風景
初回は、いずみホールの伊東順一支配人による
「クラシック音楽概論・いずみホールの特色」

4月14日 第1回大阪音楽大学Presents「Daionコンサート夕映えの海とともに」(南港サンセットホール)
毎月第2土曜日に大阪南港ATC(アジア太平洋トレードセンター)で卒業生を中心にしたコンサートを開催することになった(入場無料)
4月29日 永井譲幸楽会会長退任 後任に矢野蓉子名誉教授就任

5月8日 上海音楽院と姉妹校提携

上海音楽院

同音楽院は創立90周年記念事業「日韓中伝統音楽演奏会」に参加。啓明大学校音楽・舞台芸術大学(韓国)に次いで2校目の姉妹校となった
6月28日 サマー・オペラ研修生による発表会《フィガロの結婚》
平成19年度文化庁芸術団体人材育成支援事業として研修生による初の発表会が行われた。この事業は文化庁が人材育成の公演に経費の2分の1相当額を支援するというもの

6月29、30日 サマー・オペラ モーツァルト・シリーズ《フィガロの結婚》
指揮本名徹次、演出松本重孝という初顔合わせによるモーツァルト・シリーズがスタート。主要キャストに若手を起用、オーケストラに古楽器奏法を取り入れ、演出もモダンな解釈はせず、モーツァルトの時代を再現するというものであった

9月12、19日「名画のあるコンサート」に協力(大阪市近代美術館心斎橋展示室)

大阪市近代美術館建設準備室が展覧会「名画の理由─コレクションによる日本近代絵画の世界」を開催。これに伴い、本学が協力して大阪にゆかりがあり美術に造詣の深い作曲家のコンサートを行った。第3回の11月7日はジャズのコンサート
9月14日 第2回御堂筋学生音楽祭に出演(大阪市中央公会堂)

(財)大阪21世紀協会(現・(公財)関西・大阪21世紀協会)関連の催しで、大阪府内の大学生自らプロデュースを行う音の祭典に新たにクラシック部門が加わり、本学から声楽アンサンブル、金管十重奏など4組31名が出演した

オープンレッスン風景
(木村寛仁教員)

10月1日 オープンレッスン制度導入
教育環境改善の一環で、事前の申請承認により、専攻・コースにかかわらず、全ての教員のレッスンが聴講できる制度を導入した
10月1日~11月30日 特別展「敦煌莫高窟壁画からの復元楽器」
音楽博物館が敦煌莫高窟壁画を基に復元された楽器35種約60点を、所蔵する伊丹アイフォニックホールより借り受け、特別展を開催した

10月22日 前田恵美(大卒)第74回日本音楽コンクール作曲部門第3位入賞

11月1~3日 大学祭「華喨天晴」

11月16、18日 20世紀オペラ・シリーズ オルフ《賢い女》
山下一史指揮、岩田達宗演出による本邦初のノーカット上演。山下の常任指揮者としてオペラハウス最後の指揮となった

常任指揮者(山下一史)

12月4日 西村圭市(院1)、木村眞理子(院2)第61回全日本学生音楽コンクール全国大会声楽部門(大学・一般の部)第2位、第3位入賞

12月10日 神戸市教育委員会と「スクールサポーター制度」実施に係る協定締結
本学の教員志望の学生、院生が神戸市教育委員会実施のスクールサポーター制度を利用して神戸市内の小・中学校で教育活動の支援を行い、実践力を養うことができるようになった

スクールサポーターとして活動する本学学生
(2008年1月 神戸市立小束山小学校)
12月20日 神戸親和女子大学と大学間協定書に調印
大阪音楽大学と神戸親和女子大学が協定を交わし、2008年度から同大学通信教育部発達教育学部児童教育学科(初等教育学コース・男女共学)と「小学校教諭免許状(一種)取得プログラム」を開始。通信教育による大学在学中の小学校教諭一種免許状の取得が可能となった
平成19年度 特別講義
特別講義

賈鵬芳(5月18日音楽学)

有森博(5月24、25日ピアノ)

クラウス・シルデ
(5月28・29日ピアノ)

アレッサンドロ・カルボナーレ
(7月2日クラリネット)

野坂惠子(7月9日邦楽)

ヨズア・バルチュ
(7月17日~全3回 声楽)

オーティス・マーフィー
(7月24日サクソフォン)

マティアス・ヘルマン
(10月5日音楽学)

太田哲則
(10月17日短大専攻科)

パスカル・モラゲス
(11月3日クラリネット)

文屋充徳
(11月14日コントラバス)

ユージン・インジック
(11月21~24日ピアノ)

パトリック・ジグマノフスキー
(12月14日ピアノ)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • ’08年2月28日:須川展也(サクソフォン)
以下の演奏会も特別講義として開催。

ユージン・インジック ピアノ・リサイタル(11月22日)

関西音楽の歴史

1月3日 ベルガモ・ドニゼッティ劇場関西初公演(フェスティバルホール)
6日:びわ湖ホール大ホール
ドニゼッティ生誕の地・ベルガモ市の伝統ある歌劇場の初引越し公演で、同作曲家の《ランメルモールのルチア》と《アンナ・ボレーナ》(関西初演)を上演
1月26日 文化庁関西分室開設
関西元気文化圏の取り組みの一環として、京都国立博物館内に「関西元気文化圏推進・連携支援室」の名称で開設。2012年に京都府庁旧本館内に移転し、2014年には名称が「文化芸術創造都市振興室」となった

3月4~31日 第1回南港クラシック音楽祭(南港サンセットホール)
大阪唯一の「海の見える」コンサートホールとして前年12月に開館した南港サンセットホール(大阪南港ATCのITM棟10階)のオープン記念として開催され、公募で選ばれた演奏者による4公演が行われた

平成19年3月1日 南港新聞より

3月31日 日本オーケストラ連盟が「オーケストラの日」と制定
当連盟が「3月31日」を「みみにいちばん」と語呂合わせを行い、春休み期間中の親子を主な対象にオーケストラの普及を目的として制定。全国の加盟楽団24団体が各地で音楽イヴェントを行い、関西では大阪センチュリー交響楽団をはじめ5団体がコンサートなどを開催した

報告書表紙

4月9日~5月14日 第49回大阪国際フェスティバル(フェスティバルホール)
金聖響指揮大阪センチュリー交響楽団による「ベートーヴェン・プログラム」公演で開幕。クロス・オーヴァーに活躍するデイヴィッド・ギャレット(Vn)との共演も注目を集めた。スロヴェニア国立マリボール歌劇場が来演し、華麗なガラ・コンサート及び国内80年振りとなるドリーブ《ラクメ》を上演。大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団が前年に続いて参加し、同団創立60周年記念日にブルックナーの《交響曲第8番》を熱演した
(公財)朝日新聞文化財団・(株)朝日ビルディング提供
『永遠の響き~フェスティバルホールの半世紀』より

金聖響指揮
大阪センチュリー交響楽団

スロヴェニア国立マリボール歌劇場
ドリーブ《ラクメ》

4月27日 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ 没

7月12日 関西の作曲家によるコンサート(ザ・シンフォニーホール)
大栗裕、松下眞一、貴志康一の管弦楽曲を中心とした公演で、大阪フィルの創立60周年記念の一環として山下一史の指揮により開催。同フィルはこの他周年記念事業として、記念誌の発行、大植英次指揮のベートーヴェン交響曲ツィクルス(6~12月)、「永遠のマエストロ 朝比奈隆展」(12月)などを開催
10月6、7日 関西歌劇団第89回定期公演 マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》、レオンカヴァッロ《道化師》(アルカイックホール)
牧村邦彦指揮、中村敬一演出、大阪センチュリー交響楽団、関西歌劇団合唱部、ころぽっくる合唱団
前年、同団の運営母体である財団法人関西芸術文化協会が解散し、当年にNPO特定非営利活動法人関西芸術振興会として再生した。この新体制下の初の定期公演で、関西二期会との提携により同会の松本薫平(Ten)が主役で出演するなど、両団体における人材の交流も特徴となった

平成19年12月1日
関西音楽新聞より

10月6~8日 赤穂国際音楽祭2007(現・ル・ポン国際音楽祭 赤穂・姫路)開催(赤穂城本丸特設会場、 赤穂市文化会館大ホール)
樫本大進(Vn)を音楽監督とした国際的奏者の集う室内楽の音楽祭。若い世代に向けたクラシック音楽の発信、演奏家と市民との交流などを目的とし、翌2008年10月には姫路市にて「姫路国際音楽祭Le Pont 2008」を開催。Le Pont“ル・ポン”(フランス語で「懸け橋」の意)を音楽祭の愛称とし、樫本とゆかりある両市で以後交互に毎年開催されきたが、2012年に初めて両市共同開催が実現した

11月25日 沼尻竜典オペラセレクション ツェムリンスキー《こびと~王女様の誕生日~》本邦舞台初演(びわ湖ホール)
沼尻竜典指揮、加藤直演出、京都市交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
同年4月にびわ湖ホールの2代目芸術監督となった沼尻竜典による初のオペラ自主制作企画で、欧州や国内で再評価の機運にあったツェムリンスキーのオペラを上演

(画像提供:びわ湖ホール)
平成20年1月1日 関西音楽新聞より


2008年(平成20年)

大阪音楽大学の歴史

1月6日 エフエムあまがさき「世界音楽ふしぎ発見」放送開始
放送界への就職を希望する本学学生が企画制作・出演するエフエムあまがさきの音楽番組が放送された。エリアは尼崎市を中心に隣接地域の一部、期間は同年3月末まで

ポップス中心だった同局の音楽番組にクラシックも取り入れようと、本学学生に番組作りが任された。前年10月から5名の学生が集まり準備を重ね、企画立案から放送までを実践で学ぶことができた
1月27日 「オペラ物知り講座 in ひこね」初開催(ひこね市文化プラザ エコーホール)
ミレニアムホールで開催の中村敬一教員によるオペラ物知り講座を本学初の出張講座として、彦根市でも開催することになった。第1回は《魔笛》を取り上げた

2月23、24日 第19回学生オペラ《ドン・ジョヴァンニ》

3月 大学・短大入学試験日程追加
大学・短大の一般入学試験において、従来の2月実施をA日程とし、新たに3月に実施するB日程を設定

適格認定証

3月19日 短大、第三者評価「適格」認定取得
短大が初の第三者評価を受け、(財)短期大学基準協会より「適格」と認定された
4月1日 西岡信雄、大野寿一に名誉教授の称号
付属音楽幼稚園園長に小畑有子就任

4月1日 ポータルシステム始動

学生への情報伝達をより正確かつ迅速に行うことを目的に、インターネットを利用した情報発信システムを導入。3年計画で、大学と学生双方向の交信を可能にすることをめざした。2009年度よりこのシステムを利用して、Web上での受講登録を開始する
4月1日 神戸親和女子大学との通信教育科目等履修制度開始

4月1日 新奨学制度導入
報奨的奨学金制度、海外留学助成金制度、国内提携講座への派遣という3制度

4月1日 国際交流室開設
「海外留学助成金制度」発足に伴い、従来の国際交流デスクを発展させて企画事務部門に開設。海外提携校の新規開拓、留学先情報の提供、手続きの簡略化など学生へのサポート体制を強化した

4月1日 ザ・カレッジ・オペラハウス首席指揮者にチャン・ユンスン就任
3月末で第3代常任指揮者山下一史が退任、名誉指揮者の称号を授与。後任として韓国出身のチャン・ユンスンを首席指揮者に迎えた

チャン・ユンスン首席指揮者就任記者会見(3月6日 大阪市内ホテル)

2005年に韓国オペラ《沈清(シム・チョン》でザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団と共演。2007年5月の合唱作品シリーズでオペラハウスに初登場したことが縁で今回の就任となった。
5月15日 デトモルト音楽大学と提携協定締結
ドイツ北西部に位置する国立音楽大学。本学3つ目の海外提携校であり、ヨーロッパの大学では初めてであった

5月30日 畑中良輔特別講座「日本歌曲100年の歩みを辿って」
エクステンション・センターによる事業で、当年度は「その歴史的展開と共に(第一期戦前編)」と題して4回開催。次年度の第二期戦後編(全4回)で完結

6月 FD推進室開設
当年度からのFD(Faculty Development=教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組みの総称)活動開始に向けて、研究事務部門に開設

7月1日 教員によるオフィスアワー実施
予約制で、学生が教員に学修上の問題や授業の内容などについて相談・助言を受ける制度

9月1日 コンサート・センター開設
6月に学務事務部門の演奏会業務をエクステンション事務部門へ移管、学生とプロの演奏会業務を一本化した。さらに企画事務部門のチケット業務も含めた演奏会の総合窓口としてN号館1階にオープン

9月12日 短大音楽専攻廃止

10月11、13日 20世紀オペラ・シリーズ ブリテン《真夏の夜の夢》
第42回オペラ公演。チャン・ユンスン首席指揮者就任以来初のオペラ指揮、中村敬一教員演出で、関西初の原語上演。文化庁芸術祭参加

首席指揮者チャン・ユンスン

11月1、2日 大学祭「Fortissimo」

11月3日 パトリック・ジグマノフスキー、客員教授に就任
平成20年度 特別講義
特別講義

シュテファン・ゲンツ
(5月8日ドイツ歌曲)

ロドニー・ウィトカー
(5月23日ジャズ)

シナジーブラスクインテット
(5月28・29日金管五重奏)

マルチェッラ・レアーレ
(6月23日声楽)

ジャン=イヴ・フルモー
(7月28日サクソフォン)

マンフレート・フォック
(’09年3月27日ピアノ)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 6月21、22日:池田洋子(ピアノ)
  • 7月28~31日、12月24~27日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • '09年1月27日
  • 11月3日:パトリック・ジグマノフスキー(ピアノ)
  • 11月4、5日:アルヌルフ・フォン・アルニム(ピアノ)

関西音楽の歴史

1月25、27日 関西二期会 R.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》(新国立劇場中劇場)
飯守泰次郎指揮、松本重孝演出、関西フィルハーモニー管弦楽団
平成19年度新国立劇場地域招聘公演として行われた同会初の東京公演であった
2月2、3日 びわ湖ホールプロデュースオペラ R.シュトラウス《ばらの騎士》(びわ湖ホール大ホール)
沼尻竜典指揮、アンドレアス・ホモキ演出、大阪センチュリー交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団、大津児童合唱団
びわ湖ホールと神奈川県民ホールという公共ホール連携による国内初の本格的なオペラ共同制作であった。ベルリン・コーミッシェ・オーパーの協力、関西二期会と東京二期会の歌手が合同出演するなど、「歴史的なプロジェクト」(日下部吉彦)と高評される舞台となった

平成23年3月1日
関西音楽新聞より

3月26~28日 Phoenix OSAQA 2008 弦楽四重奏公開マスタークラス&受講生による終了コンサート(ザ・フェニックスホール)
若手弦楽四重奏団の育成事業で(ザ・フェニックスホール主催)、ジャパン・ストリング・クワルテットを講師として初開講。関西をはじめ全国から9団体が参加した

3月31日~10月20日 日本テレマン協会 ベートーヴェン・ツィクルス(いずみホール)
クラシカル楽器(古典派時代の楽器)を使用した本邦初のベートーヴェン・ツィクルスで、同協会創立45周年記念として開催。当公演の成功を含め、長年にわたる18世紀ドイツ音楽普及への貢献が評価され、指揮の延原武春は翌年1月にドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章
4月5日~6月17日 第50回記念大阪国際フェスティバル(フェスティバルホール)
当記念回を祝し、2カ月にわたり全11公演を開催。「オープニング・ガラ・コンサート」において、フィンランドの現代作曲家カイヤ・サーリアホの委嘱作《レイノ・ソングス》が世界初演された。パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団が来演したほか、2006年ザルツブルク音楽祭制作のモーツァルト《フィガロの結婚》、鬼才ペーター・コンヴィチュニー演出のヴェルディ《アイーダ》などのオペラ公演が聴衆の注目を集めた。日本勢では、宮内庁式部職楽部、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団、新国立バレエ団などが出演。なお当フェスティバルは、50年の歴史を誇るフェスティバルホールの同年末の建て替え閉館に伴い、翌2009年から2012年まで一旦休止となった(この間、他会場で特別公演を開催)
(公財)朝日新聞文化財団・(株)朝日ビルディング提供
『永遠の響き~フェスティバルホールの半世紀』より

《アイーダ》

パーヴォ・ヤルヴィ指揮
フランクフルト放送交響楽団

6月5日 大阪府が「『大阪維新』プログラム案」公表

7月9日 朝比奈隆 生誕100年記念特別演奏会(ザ・シンフォニーホール)

7月19~21日 パリ国立オペラ(兵庫県立芸術文化センター大ホール)
総勢300名による初の引越し公演(同オペラ座は1961年に来日公演を行っているがオーケストラと合唱団は日本勢であった)で、デュカス《アリアーヌと青ひげ》(本邦初演)、ヴァーグナー《トリスタンとイゾルデ》など4作品を上演
9月15日 リーマン・ブラザーズ破綻

11月13、14日 新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演(アルカイックホール)
1998年から新国立劇場で開催されている「高校生のためのオペラ鑑賞教室」の初関西公演で、プッチーニ《蝶々夫人》を上演
11月15日 サンケイホールブリーゼ新生開館
西梅田地区再開発計画の一環により2005年に閉館・解体されたサンケイホール(大阪市北区)が、同地に新設されたブリーゼタワー内にサンケイホールブリーゼ(912席)として新生した

11月15、16日 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル関西初公演(びわ湖ホール大ホール)
イタリアのペーザロ(ロッシーニの生地)で1980年より開催の同音楽祭が、芸術監督アルベルト・ゼッダに率いられ初の海外公演を行った。ロッシーニの《マホメット2世》(本邦初演)、《オテッロ》を上演

11月29日 サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ザ・シンフォニーホール)
30日:兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
2002年にラトルが同団の首席指揮者兼芸術監督に就任。両者による来日は2004、2005年に次ぐもので、当3度目の来日ツアーで関西公演が初めて実現した
12月1日 公益法人制度改革関連3法施行
関西音楽界における劇場・ホールや団体等の「連携」の取り組み
複数の劇場連携によるオペラ共同制作が世界の潮流となりつつある中、2008年(平成20年)2月2、3日、びわ湖ホールが自主制作オペラとしてR.シュトラウス《ばらの騎士》を上演した。ベルリン・コーミッシェ・オーパーの協力を得た公演で、びわ湖ホールと神奈川県民ホールという公共ホールの連携による国内初の本格的なオペラ共同制作の舞台となった(東京二期会も制作として名を連ねている)。2008年(平成20年)度、びわ湖ホールは県の財政難により支出金が削減された(同年3月、同ホールの“半年間休館”といった一部報道をきっかけとして「びわ湖ショック」とも呼ばれる全国的な反対署名運動が巻き起こったりした)が、びわ湖ホールは同年度以後も神奈川県民ホールなどとのオペラ共同制作を着実に継続しシリーズ化していった。これは、文化庁による当時の「舞台芸術共同制作公演」の助成制度(複数劇場・団体による舞台制作に経費の半額が補助される)に大きく後押しされてのことでもあったと言えよう。事実、2009年3月14、15日に共同制作上演されたプッチーニ《トゥーランドット》は、「舞台芸術共同制作公演」としてその年度唯一採択されたオペラ公演であった。同年6月には兵庫県立芸術文化センターが日本オペラ連盟、東京二期会、愛知県文化振興事業団と共にビゼー《カルメン》を共同制作し、各地で巡演している。国内の劇場・ホールや団体などが提携したオペラ制作の形態は、この後全国的な広がりを見せてゆくことになる。
こういった国内オペラ共同制作に先立ち、1992年(平成4年)6月、関西歌劇団がイタリア音楽協会の協力によりミラノ・スカラ座から演出家や舞台装置・衣装などの提供を受け、マスカーニやレオンカヴァッロのオペラを上演。海外との共同・提携公演は関西では既に1990年代より行われていた訳であるが(1993年11月には市民オペラ団体である堺シティオペラがノヴォシビルスク歌劇場との提携公演を開催)、前述の国内オペラ共同制作と同様に費用軽減や舞台効果の向上のほか、国際的な人材の交流、そして制作のノウハウの共有といった情報のネットワークを形成する点に大きなメリットがあった。
また、オペラ公演に限らず、2006年(平成18年)9月には民間ホールであるいずみホールとフェニックスホールが初めて連携コンサート企画を行い、現代音楽シリーズを共同で開催。これは、楽曲編成に合わせて中規模ホールの前者と小規模ホールの後者を使い分け、様々なジャンルの作品の魅力を広く伝えようとするものだった。ホールが提携し、演奏会制作に関わる情報を共有して工夫を凝らしつつ聴衆を開拓する。まさにホールという舞台現場の点と点が結ばれることにより、より結束力の高い音楽文化の発信が行えるという発想である。今日的な観点からすれば、劇場・ホールや音楽団体におけるこういった「提携」の取り組み-一種のネットワーク形成-は、ある意味、通信技術の発展・普及に伴なう現代の情報化(情報ネットワーク)社会と見事にリンクする動向でもあったと捉えることができるのではないだろうか。
2012年(平成24年)6月の「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律」、および同法第16条に基づく2013年(平成25年)3月の「劇場、音楽堂等の事業の活性化のための取組に関する指針」、そして2015年(平成27年)5月に閣議決定された「文化芸術の振興に関する基本的な方針」(第4次基本方針)などにより、文化施設(劇場・ホールなど)、実演芸術団体、国・地方公共団体、教育研究機関(大学など)の社会的ネットワークや協力の推進をはじめ、地域における文化芸術振興、専門的人材の育成、国際的交流などの一層の進展が期待されている。

関西歌劇団第62回定期公演チラシ

武満徹没後10年
4つのコンサートチラシ

橋下府政・市政改革の芸術文化への影響
2008年(平成20年)1月27日に行われた大阪府知事選挙で、弁護士・タレントの橋下徹が初当選を果たした。2月6日に大阪府庁に初登庁した橋下知事は「大阪府財政非常事態宣言」を行い、財政難の問題に最優先で取り組む姿勢を見せ、全ての事業、出資法人、公の施設についてゼロベースで見直すとした。知事直轄の府政改革プロジェクトチームは4月11日、財政支出削減を目指す「財政再建プログラム試案」を公表。これを原案として、6月5日には、財政再建(「財政再建プログラム案」)、政策創造(重点政策案)、府庁改革などの方針を掲げた「『大阪維新』プログラム案」が公表された。これに対し、議員や関係各方面からの種々の意見や多数のパブリック・コメントなどが寄せられ、府民的な論議や様々な運動が巻き起こることとなった。
橋下府政は、「財政再建プログラム案」において平成20~22年度までの3年間を集中改革期間と定め、歳出削減策の1つである文化関係事業の見直しとして、大阪センチュリー交響楽団への補助金削減、文化施設の抜本的見直し、芸術文化振興補助金の重点化、大阪文化賞の再構築などを府案として掲げた。この財政改革が推進され、大阪文化賞・大阪芸術賞などの5つの賞は2009年度(平成21年度)より「大阪文化賞」として一本化されたほか、大阪府立青少年会館の廃止(2009年6月)、大阪フィルハーモニー協会への補助金・貸付金廃止(2008年度末)、大阪センチュリー交響楽団への運営補助金廃止(2010年度末)などが決定された。
2011年(平成23年)10月末、「大阪維新の会」の代表でもあった橋下知事は大阪都構想などの政策実現を目的として任期を残し辞職。平松大阪市長任期満了に伴う大阪市長選に出馬し当選、同年12月19日に大阪市長に就任した。府知事時代に続き、橋下市長として市政改革を大きく推し進め、この改革の一環として市直轄の運営であった大阪市音楽団は廃止され、2014年(平成26年)4月に民営化。文楽協会と大阪フィルハーモニー協会への運営補助金は2014年度(平成26年度)末で全廃となった。なお、市は2015年(平成27年)5月より、ふるさと寄附金(ふるさと納税)を活用して芸術・文化団体を支援する新制度「なにわの芸術応援募金」を開始している。

2009年(平成21年)

大阪音楽大学の歴史

1月17日 出張授業開始
音楽文化の発展・拡大及び本学の紹介を目的に、全専任教員がテーマを設け、高等学校へ赴き授業を行う出張授業を開始した。新規事業としての本格的スタートは2009年度(2010年度より中学校へも拡大)

田中由也教員出張授業
(1月19日)

1月17日の高昌帥教員による大阪桐蔭高等学校への出張授業に次いで、19日に田中由也教員による授業が「自己表現」などをテーマに園田学園高等学校で行われた
2月21、23日 第20回学生オペラ《魔笛》

3月3日 ワイマール・リスト音楽院(独)と提携協定締結
ドイツで2校目の提携校。同年7月王立ウェールズ音楽演劇大学(英)、9月フォルクヴァング芸術大学(独)、12月ブローニュ=ビヤンクール地方音楽院(仏)とも提携を結び、この年で海外提携校は合計7大学となった

海外留学助成金決定書を授与される
本学初の交換留学生(6月11日)

ワイマール・リスト音大からの交換留学生。専門のファゴットに加え、尺八なども学修

3月 大学院入学試験日程追加
従来の9~10月実施の大学院入学試験を前期日程とし、新たに3月に後期日程を設定した

3月5日 ザ・カレッジ・オペラハウス開館20周年記念公演開幕
オペラ・ガラ・コンサートが記念公演8企画10公演のオープニングを飾った。若手からベテランまで31名の歌手と広上淳一指揮のザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、同合唱団が出演。モーツァルトの作品と20世紀オペラの名場面を抜粋で演奏した

指揮者(広上淳一)

3月24日 大学、第三者評価「認定」取得
2008年度(財)日本高等教育評価機構による認証評価の結果、大学機関別認証評価基準を充たしているとして「認定」された
3月26日 河合楽器制作所との協約書に調印
2009年度短大ピアノ・コース入学者で、所定の要件を満たした学生は卒業時、カワイピアノグレード6級を取得できることになった

4月1日 第6代理事長に中村孝義就任
高橋浩子、阪上和夫に名誉教授の称号
日名弘見、特任教授に就任 宗倫匡、客員教授に就任

4月1日 短大1学科11コースに改組
短大を「1学科4専攻」から入学定員270名の「1学科」とし、11コースを設置。「第1主科目」「第2主科目」という新たなレッスン形態を設け、クラシック系とジャズ・ポピュラー系の区別なく、複数の領域を自らの学修デザインで学べる柔軟なカリキュラムを構築した

4月1日 大学3年次編入における短大取得単位の包括認定
2011年度入学試験より音楽系でない大学・短大の卒業生の受け入れが可能となった

4月1日 「豊中市と学校法人大阪音楽大学との連携協力に関する覚書」に調印
豊中市と相互に協力し、市民に芸術文化の鑑賞の機会や場を提供することにより、市民文化の振興・発展に寄与することになった

4月1日 GPA(グレード・ポイント・アベレージ)導入
学修成果を明確に数字で確認できる制度を導入。成績の自己管理、計画的受講を促し、学習意欲の向上を図った

4月21日 OPACのWeb公開開始
付属図書館のホームページを開設し、OCM-OPAC(Osaka College of Music Online Public Access Catalog=大阪音楽大学オンライン蔵書目録)を公開。図書館や音楽博物館などの所蔵資料検索がインターネットを通じて広く一般に可能となった

4月25日 ウィークエンド・キャンパスツアー開始
オープンキャンパスに参加できない高校生などを対象に、土曜日に在学生のガイドによる施設見学ツアーを実施することになった

5月2日 神戸親和女子大学と「編入学生の推薦・受け入れに関する協定書」調印
短大が調印し、当年度の卒業・修了生から神戸親和女子大学の第3年次推薦入学試験に出願できることになった。同大学卒業により、幼稚園教諭一種免許状や司書、司書教諭など取得可能な免許・資格が増え、本学短大卒業後の進路選択の幅が広がった(2015年度で協定終了)

5月18~23日 新型インフルエンザのため休校
大阪府下及び豊中市内で感染者が確認され、休校措置を取った。期間中予定されていた5講座2公演は延期、または中止となった

6月6日 教員免許状更新講習開始
当年4月の教員免許状更新制施行に伴い、関西唯一の音楽単科大学としての社会的要請に応えるべく、教員免許状更新講習を実施することになった(必修領域1、選択領域4講座)。初年度112名が受講

6月6日 指揮法の基礎と実践(加藤完二教員)
6月25日 池田洋子、客員教授に就任

7月7日 学生支援推進事業「音楽の仕事情報館」文科省学生推進プログラムに採択
本学が申請した学生支援推進事業が達成目標を明確にした効果が見込まれる取り組みとして、文部科学省の「平成21年度大学教育・学生支援推進事業」に採択された。3年間にわたって補助金が交付され、「音楽の仕事情報館」を設置し、学生の音楽仕事力の開発・育成をめざすこととなった。2014年度まで事業を継続

7月10、12日 サマー・オペラ モーツァルト・シリーズ《イドメネオ》
開館20周年を記念して、日本では上演機会の少ない本作を初めて取り上げた。オペラハウス初登場となる児玉宏指揮、演出は岩田達宗。合唱が大きな役割を担う作品で、選抜学生10名が影コーラスとして出演した

指揮の児玉宏は
叙唱のチェンバロも演奏

9月14日 学生支援センター発足
学生支援をさらに強化する為、学務センターを改めスタートした。海外研修の紹介や交換留学の相談なども同センターで受付けることになった

9月16日 「大阪ミュージアム構想」にザ・カレッジ・オペラハウス、音楽博物館登録
大阪府が推進する「大阪ミュージアム構想」に豊中市の推薦を受け、大阪の魅力を内外に発信する府内の魅力的な資源として本学の両施設が登録された

9月25日 帝塚山学院高等学校と連携協定締結
短大と帝塚山学院高等学校が教育交流に関する協定書に調印。高大連携は大阪府立池田北高等学校に次ぐ2校目で、次年度より同校生徒を短大ポピュラー・コースの特別聴講生として受け入れることになった

9月28日 ジュラール・モルティエに特別名誉教授の称号

好評につき会期を延長

10月1日~’10年3月31日 西岡信雄コレクション特別展「フィールドワークの足跡 楽器が自然と人間を語る」
音楽博物館が同年4月に受贈した西岡名誉教授収集の世界約40カ国の楽器、及び楽器を持った人形など3,050点による特別展を開催した。会期中、同名誉教授による記念講演も行った

10月26日 佐治晴夫、千宗守、安東伸元、客員教授に就任

10月30日~11月1日 大学祭「EPOCH」

チラシ

11月6、8日 20世紀・オペラシリーズ オネゲル《火刑台上のジャンヌ・ダルク》
開館20周年記念公演に初めてフランスの作品を舞台上演した。「劇的オラトリオ」と銘打たれた本作のオペラ形式の上演は日本では数少なく、原語上演であったが、ほぼ台詞のみの主役2人は日本語で演じた。「国家とは何か」という普遍的なテーマを自分たちの問題として問うには、自国の言葉で語らなければならないという演出家岩田の意図によるものであった。チャン・ユンスン指揮、文化庁芸術祭参加

珍しい電子楽器オンド・マルトノが劇的効果を高めた

11月30日 学長選挙 中村孝義を再選

12月10日 ミッシェル・アリニョン、客員教授に就任
平成21年度 特別講義
特別講義

白井光子
(5月15日声楽)

スティーブン・ミード
(6月2日ユーフォニアム)

池田洋子
(6月3日~全8回ピアノ)

アレクサンダー・ヒュルスホフ
(9月15日チェロ)

若尾圭介
(9月18日オーボエ)

佐藤しのぶ
(10月6日声楽)

キダ・タロー
(10月12日ポピュラー)

平山素子
(10月13日作曲)

リチャード・マクマホン
(10月20日ピアノ)

ヴェルターヴォ・カルテット
(10月22日マスタークラス
(室内楽))

ケマル・ゲキチ
(10月23日ピアノ)

ミシェル・アリニョン/
ジャン=ルイ・ルネ
(11月2日クラリネット)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 4月27~29日:クラウス・シルデ(ピアノ)
  • 5月21~23日:パスカル・モラゲス(クラリネット)
  • 7月28日、12月26日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 10月10日、11月9、10日:パトリック・ジグマノフスキー(ピアノ)

関西音楽の歴史

3月3日 頑張れ!センチュリー・コンサート(ザ・シンフォニーホール)
府の財政改革により補助金削減とされた大阪センチュリー交響楽団の支援コンサート(大阪センチュリー交響楽団を応援する会主催)で、賛同する全国のオーケストラ団員なども演奏に参加。チケットは完売し、立見席も用意されるなど同団に対する世の関心の高さを示す公演となった
3月7日 尾上和彦《月の影-源氏物語》本邦初演(宇治市文化センター大ホール)
阪哲朗指揮、茂山あきら演出、オペラ「月の影」特設アンサンブル・合唱団
京都府・市などの推進による源氏物語千年紀事業の一環で、源氏物語ゆかりの地・宇治市などの支援により初演

平成24年3月1日
関西音楽新聞より

チラシ

3月18日 大阪シンフォニカー交響楽団第133回定期演奏会「Dollar交響曲」(ザ・シンフォニーホール)
同団と音楽監督・首席指揮者の児玉宏は、当定演のメイン・プログラムにして本邦初演であったアッテルベリ《交響曲第6番》を同月23日にセッション録音。同年7月、キングレコードより〈児玉宏のディスカヴァリー・クラシック〉シリーズ第1弾としてCD化された。以後、両者は今日演奏機会に恵まれない知られざる作曲家や作品を積極的に演奏・CD化し、その独自性で広く注目を集めた

チラシ

3月31日 貴志康一生誕100年コンサート(ザ・シンフォニーホール)
大阪の吹田出身にして、昭和初期に内外でヴァイオリニスト・指揮者・作曲家として活躍するも28歳で夭折した貴志のメモリアル公演。当年は、貴志康一記念室主催のシンポジウム(1月、新神戸オリエンタル劇場)や、貴志の生涯をオペラ化した山口福男《ベルリンの月》(1996年初演)のリメイク版上演(4月、メイシアター)、神戸市混声合唱団による記念演奏会(9月、神戸文化ホール)などが行われた
4月1日 市直営の京都市交響楽団が運営を京都市音楽芸術文化振興財団へ移管

9月19日 ハーモニアス室内管弦楽団演奏会(いずみホール)
同団は関西の優れた若手演奏家支援を目的として前年に創設

9月19日~11月1日 びわ湖大津 秋の音楽祭(びわ湖ホールほか)
びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典の提唱により、大津市近郊の文化施設や団体が連携し市街地活性化を目的として初開催。クラシック・コンサートを中心に80以上のイヴェントが繰り広げられた

9月25日 延原武春指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団「入魂のブラームス」 (兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)
日本テレマン協会の延原と大阪フィルとの本格的な初共演。「ドイツ3大B」と称される作曲家の作品を指揮し注目を集めた。両者は翌2010~12年にかけてベートーヴェン交響曲ツィクルスを開催
10月4日 沼尻竜典オペラセレクション ベルク《ルル》関西初演(びわ湖ホール大ホール)
沼尻竜典指揮、佐藤信演出、大阪センチュリー交響楽団
アルバン・ベルクの未完のオペラで、全3幕完成版(フリードリヒ・ツェルハ補筆)による上演。当公演の成果により平成21年度文化庁芸術祭優秀賞受賞

(写真提供:公益財団法人びわ湖ホール)平成21年11月1日 関西音楽新聞より

11月28日 宇野功芳指揮アンサンブル・フィオレッティ スペシャルコンサート(神戸新聞松方ホール)
1914年の宝塚少女歌劇(現・宝塚歌劇団)第1回公演の演目の1つであったおとぎ歌劇《ドンブラコ》(北村季晴作曲)を、約1世紀振りに関西で上演(演奏会形式)

12月16日 大澤壽人スペクタクルI「ホームソングからピアノ協奏曲まで」(兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホール)
神戸女学院が所蔵する資料「大澤壽人遺作コレクション」の中から様々な大澤作品を紹介するシリーズの第1回。2015年3月には第4回が同ホールにて開催された

2010年(平成22年)

大阪音楽大学の歴史

2月21、23日 第21回学生オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》

4月1日 大学専攻科入学定員変更(10名→20名)

4月1日 オペラハウス館長に荒田祐子就任
    付属音楽院院長に松田昌恵就任
    鹿島正昭に名誉教授の称号

4月1日 エクステンション・センターに「キャリア相談室」開設
​次年度の事務局組織改組により、「キャリア支援センター」と改称
4月1日 ティーチング・アシスタント制度稼働
前年10月1日に導入したティーチング・アシスタント制度が本格的に稼働。これは選考により大学院生をアシスタントとして採用し、大学・短大の講義や演習の教育補助業務に当たらせる制度。院生の処遇の改善とともに教育研究の指導者としての研修機会の提供、大学教育の充実を図ることを目的とした

4月25日 同窓会《幸楽会》会長矢野蓉子退任 新会長に松尾昌美就任

6月1日 事務機構改組 
企画事務部門を政策企画本部と改め、各事務部門の上位に設置。エクステンション事務部門から演奏会・オペラハウス関連の業務を分離し、演奏事務部門を設置した

6月13日 吹奏楽ワークショップ
中学校、高等学校の吹奏楽部員及び指導者を対象に初開催。生徒は楽器ごとに32会場に分かれて本学講師陣による指導を受け、指導者はオペラハウスで丸谷明夫教員の講演を受講。最後に講師陣による吹奏楽コンクール課題曲のミニコンサートも行った。中高合わせて32校から1,026名が参加。2013年より吹奏楽フェスティバルと改称し継続している

ワークショップ

丸谷明夫教員講演

7月1日 日下部吉彦、白井光子、客員教授に就任

7月12日 ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、文化庁事業に参加
当年度よりザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団が文化庁実施の「こどものための優れた舞台芸術体験事業」に参加。初年度は12月まで四国一円と兵庫県の小中学校で公演とワークショップを各26回行った。合唱曲希望の学校には同合唱団も参加

今治市立今治小学校でのワークショップ
(7月12日)

9月の本公演に先立ち、7月12日に今治市立今治小学校、翌13日に丸亀市立富熊小学校を訪れた
7月31日 大阪中学生サマー・セミナー実施
大学コンソーシアム大阪が加盟大学に参画を募り実施している催しに初参加。大阪府下の中学生が大学の授業を体験するというもので、1~3年生52名の中学生と保護者らが音楽博物館の見学や音楽学の模擬授業、合唱の実技指導を受けた

8月30日~9月12日 「有馬温泉ゆけむり大学」実施
有馬温泉観光協会と関西四大学(本学・近畿大学・神戸芸術工科大学・武庫川女子大学)との連携事業に参加した。有馬温泉をキャンパスに見立てて健康や芸術をテーマに「講義(イヴェント)」を行い、観光客に楽しんでもらおうという企画。実施については「音楽の仕事情報館」が支援した

2013年ゆけむり大学

9月 平成22年度文部科学省「大学生の就業力育成支援事業」に選定

本学の「事実にもとづく日本語ライティング能力」事業が採択され、5年間の助成を受けて日本語の運用能力育成の為の教育体制や教育方法の改善を図り、学生の就業力向上に取り組むことになった。しかし、国の事業仕分けにより2年間で事業打ち切りとなり、2012年度に他の12大学と共同申請した「産官学地域協働による人材育成の環境整備と教育の改善・充実」が同省の「産業界のニーズに対応した教育改善・教育体制整備事業」に採択された。この中で同事業を継続していくことになった
10月1日 プラスレッスン制度導入
当年度後期から大学の在学生を対象に専門実技のさらなる向上を目的に、「プラスレッスン制度」を導入。現在履修している実技レッスン担当教員以外の教員による同一専攻(楽器)・コースの実技レッスンを、前期・後期に各1回受講できる制度。短大は2015年度より導入

10月22日 短大教育功労者に米山信、柿木功教員表彰
短期大学制度発足60周年を記念して、文部科学省が全国の短期大学教育で特に功労のあった教育者を表彰。本学から米山、柿木両教員が選ばれた

10月29~31日 大学祭「evolution」

11月12、14日 20世紀オペラ・シリーズ プレヴィン《欲望という名の電車》
大勝秀也指揮、中村敬一教員演出による関西初演。公演に先立ち行った10月30日のオペラ・プレトークでは、エリア・カザン監督の映画も上映した。「20世紀オペラのシリーズが、現代オペラの担い手を輩出する重要な拠点であることを実感した」(大田美佐子:12月8日読売新聞[夕刊])など、評論家各氏より好評を得た

11月30日 林佑子(大4)第64回全日本音楽コンクール全国大会声楽部門(大学・一般の部)第1位受賞

12月1日豊能町教育委員会と大阪音楽大学との連携協力に関する覚書に調印

12月2日 福田進一、客員教授に就任

12月4日 チャン・ユンスンにザ・カレッジ・オペラハウス名誉指揮者の称号

12月19日 付属音楽幼稚園「こどものミュージカル」ファイナル公演(豊中市民会館)
会場の豊中市民会館が改修工事に入るため、1982年から続けてきた付属音楽幼稚園のこどもミュージカルが第30回公演をもって最終回となった。この間作られた作品は18本にのぼる。全学年の園児が出演した

絵葉書

ステージの写真

平成22年度 特別講義
特別講義

上田晴子(7月12日、10月28日
ピアノ(室内楽))

アチミ弦楽四重奏団
(11月13日弦楽四重奏)

ヴァンサン・リュカ
(11月25日フルート)

パスカル・モラゲス
(12月1、2日クラリネット)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 5月14日:アントニオ・サイオテ(クラリネット)
  • 6月11日:ロバート・ハニーサッカー(声楽)
  • 6月15日:レックス・マーティン(金管楽器)
  • 6月15日:深海さとみ(箏・三絃)
  • 7月5日:ダヴィッド・ワルター(オーボエ)
  • 7月7日:武田晃 (陸上自衛隊中央音楽隊)(吹奏楽)
  • 7月21日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 7月24日:ミシェル・アリニョン(クラリネット)
  • 9月6日:ヘルマン・ユンク(ファゴット)
  • 11月16日:福田進一(クラシック・ギター)
  • '11年1月13日:木乃下真市(邦楽(津軽三味線))
  • 1月18日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 2月24日:前橋汀子(ベートーヴェン弦楽四重奏)

関西音楽の歴史

2月5日 大阪センチュリー交響楽団創立20周年記念特別演奏会II(ザ・シンフォニーホール)
1990年にデビュー・コンサートを行った同団が創立記念としてオネゲル《火刑台上のジャンヌ・ダルク》を演奏(セミステージ形式)。前年11月に開館20周年記念として同作品を舞台上演した本学のオペラハウス合唱団が共演し、記念演奏に尽力した
4月1日 大阪シンフォニカー交響楽団が「大阪交響楽団」に改称

4月17日 岩田達宗プロデュース~ロッシーニ《ランスへの旅》(いずみホール)
佐藤正浩指揮、岩田達宗演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
いずみホール開館20周年記念公演の一環として上演。2008年に同ホールが自主制作し関西初演した同オペラの再演であった。東西の実力派歌手が出演し本学のオペラハウス管弦楽団と共演した

5月1、2日 ラ・フォル・ジュルネびわ湖〈熱狂の日〉音楽祭(びわ湖ホール)
フランス西部の港町ナントで1995年に誕生したカジュアルなクラシック音楽祭「La Folle Journée」の日本版として、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン〈熱狂の日〉音楽祭」が2005年に東京で初開催された。この成功により、びわ湖ホール主催による地方版として同音楽祭が関西圏に初進出を果たした

6月12日 大阪市音楽団第100回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)
当記念回を祝し、同団が1992年に全曲の本邦初演を行ったデメイの交響曲と、1996年に世界初演したバーンズの交響曲を演奏

6月27日 The TARO Singers 第17回定期演奏会(いずみホール)
シューベルト《冬の旅》の無伴奏混声合唱版(本学教員の作曲家・千原英喜が編曲)を世界初演。この成果により平成22年度大阪文化祭賞を受賞した。同合唱団は2012年6月、同編曲者によるシューベルト《水車屋の美しい娘》(無伴奏混声合唱版)を世界初演
7月24日~8月1日 佐渡裕プロデュースオペラ2010 バーンスタイン《キャンディード》(兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)
佐渡裕指揮、ロバート・カーセン演出、兵庫芸術文化センター管弦楽団
同センター開館5周年、およびバーンスタイン没後20年を記念した公演。シャトレ座が2006年に制作、ミラノ、ロンドンでも上演され話題となったプロダクションであった

平成27年12月
ひょうご舞台芸術特別号より

チラシ

8月14日 佐村河内守《交響曲第1番「HIROSHIMA」》(全3楽章)本邦初演(京都コンサートホール大ホール)
同交響曲は、2008年9月に「G8議長サミット記念コンサート」(広島厚生年金会館)で抜粋初演(第1、3楽章)。全曲初演となった本公演時に初めて「HIROSHIMA」のタイトルが付された。国内で演奏が重ねられるなど現代音楽として異例の注目を集める作品となったが、2014年2月、同作を含め、佐村河内の複数の作品制作に関わったとして作曲家・新垣隆が東京で記者会見を開き、社会的な波紋を呼んだ

10月2日 遥かなる時を超えて 松下功《「遣唐使」~阿部仲麻呂》(全4幕完全版)本邦初演(なら100年会館大ホール)
牧村邦彦指揮 浜畑賢吉演出 ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団 なら100年会館オペラ「遣唐使」合唱団
平城遷都1300年を記念した新作オペラ上演。前年6月に同作の前編が、当年6月に後編が各々初演されていた(共に薬師寺玄奘三蔵院伽藍特設舞台)
11月9日 小石忠男没

11月12、14日 ザ・カレッジ・オペラハウス第46回オペラ公演 20世紀オペラ・シリーズ プレヴィン《欲望という名の電車》関西初演(ザ・カレッジ・オペラハウス)
大勝秀也指揮、中村敬一演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団・合唱団

12月31日 西本智実 in 南座 ジルベスターコンサート 大晦日大演奏会(京都四條南座)
同劇場における史上初のクラシック・コンサートであった。2014年2月には同劇場初のオペラ上演となる「西本智実プロデュース 座オペラ in 南座~オペラ《蝶々夫人》全幕上演~」が開催された

2011年(平成23年)

大阪音楽大学の歴史

2月14日 短大専攻科音楽専攻に大学評価・学位授与機構の認定

2月19、20日 第22回学生オペラ《ドン・ジョヴァンニ》

3月3日 帝塚山高等学校(奈良)と高大連携協定締結

3月14日 大阪夕陽丘学園高等学校と指定校協定締結
本学初の指定校協定で、音楽コース以外の志願者についても条件を満たしている場合は、入学試験において高等学校特別推薦制度を適用することになった

3月16日 片岡リサ(大専修、現・教員)、第21回出光音楽賞受賞
原則として新進のクラシック音楽家を顕彰する出光音楽賞で邦楽演奏家が選ばれたのは2人目の快挙。前年6月に行ったリサイタル(東京オペラシティ文化財団主催「B→C」)の成果によるものであった

4月1日 大学・短大入学定員・収容定員変更
短大音楽科入学定員200名、収容定員400名
大学声楽学科入学定員60名→45名、収容定員256名→196名、器楽学科入学定員140名→155名、収容定員600名→660名

4月1日 澤和樹、宗清洋、客員教授に就任

4月1日 短大専攻科を音楽専攻1専攻に改組

4月1日 「ヴァイオリン演奏家特別コース」開設
2007年のピアノに次いで国際的に活躍できる演奏家の育成をめざし、大学弦楽器専攻に開設

4月1日 大学・大学院にセメスター制度導入
グローバル化への対応や、より広く学修できる機会の提供及び学修効果の向上等を目的に、大学・大学院の2011年度入学生よりセメスター制度を導入(短大は2000年度より導入)

4月1日 大阪府立桜塚高等学校と高大連携協定締結

4月1日 創立100周年記念プロジェクト始動
「建学の精神」から見出した5つのキーワードを各年のテーマとし、100周年までの5年間、そのテーマに沿って様々な記念事業を展開していくことになった。6月9日に記者懇談会を行い、7月の本学吹奏楽団初の海外遠征となる世界吹奏楽大会(WASBE)2011年度国際大会出場で記念事業がスタートした

記者懇談会での中村理事長・学長(右)と本田副理事長(100周年記念事業委員会委員長)

デジタル化が進む中、あえて手書きのロゴに、本学がこだわり続けた「人間の身体が成し得る可能性の追求」という想いを込めた。中村理事長の手書きを原型にデザイン
(創立100周年記念ロゴ)

4月1日 ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団正指揮者に大勝秀也、牧村邦彦就任
3月末の首席指揮者チャン・ユンスン退任に伴い、新たに設けた正指揮者に大勝秀也と牧村邦彦教員が就任した

4月29日 すばる音楽祭に協力
すばるホール(富田林市)開館20周年記念事業として開催された「すばる音楽祭」に協力。本学教員、演奏員、学生、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団が演奏会や公開講座に出演した。以降、毎年協力を続けている

公開ピアノ・セミナー

Daionから
オーケストラがやってきた!

6月1日 事務機構改組 エクステンション事務部門を「キャリア事務部門」と改め、在学生・卒業生の就職支援等の専門部署とした。また、演奏事務部門を「連携・演奏事務部門」と改め、エクステンション事務部門、政策企画本部が各々担当していた公開講座や地域連携業務、国際交流関係業務(次年度よりキャリア事務部門へ移管)等を事務分掌に加えることとした

6月10日 広報誌『Muse』リニューアル

7月 教職支援室設置
卒業生をピア・サポーターとして配置。教員をめざす上で必要な資料の整理や収集、学生からの質問・相談などに対応する場として設置した。学生がピア・サポーターとともに採用試験に向けて学習する場としても機能している

7月6、7日 本学吹奏楽団、WASBE国際大会に出場(台湾・嘉義市)
7 月3~9 日まで台湾で開催された世界吹奏楽協会(WASBE)2011年度国際大会に、本学吹奏楽団が書類・音源審査の結果、日本代表に選ばれ出場した。出演者、スタッフ総勢80名が参加し、6日のメインコンサート、7日の新譜紹介コンサートで演奏。各国の参加者から大きな賞賛を受け、本学の吹奏楽教育の水準を世界に示した

プログラム

7月11日 本学提供のABCラジオ番組「和沙哲郎の吹奏楽の時間」放送開始
朝日放送で月1回、丸谷明夫教員がメインパーソナリティを務める吹奏楽専門のラジオ番組を本学が提供することになった

収録風景
丸谷教員(左)と和沙アナウンサー
同番組は次年度より週1回の放送となり、年度末まで提供した

9月25日 第1回関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバルIN京都コンサートホールに出演(京都コンサートホール)
音楽人材を育成している関西8つの大学の教員・学生が相互に情報交換を行い、音楽教育の向上、ネットワークの拡大を図るとの趣旨で開催。秋山和慶、円光寺雅彦を指揮者に、合唱も含め約450名の学生が出演した

10月8日 第1回ミレニアムホール推薦コンサート
「若い芽のコンサート」に代わり、本学卒業後10年以内の演奏家によるコンサートを開催することになった
10月14、16日 20世紀オペラ・シリーズ ブリテン《ねじの回転》
「世界×音楽」をテーマとする当年の創立100周年記念プロジェクトの一つ。ヘンリー・ジェイムズの心理小説を題材とした13名の管弦楽と7名の歌手による室内オペラで、上演機会は少なく、原語での全幕上演は関西初。指揮の十束尚宏が関西でのオペラ・デビューを果たした。演出は岩田達宗。「劇場空間全体の完成度の点で出色の出来であった」と高く評価され、史上初の同一部門2度目の文化庁芸術祭大賞を受賞した

11月1日 大阪大学21世紀懐徳堂、大阪音楽大学連携支援センター及び豊中市による連携事業の実施に関する覚書に調印

11月2日 大学院定期演奏会2011
前年度、「Masters Concert」と「大学院演奏会」を統合し、「大学院演奏会2010」を開催。当年度より「大学院定期演奏会」として新しい形で開催することになった

院生たちによるシューベルト
《ピアノ五重奏「鱒」》

院生たちのピアノ五重奏の前に田中、岡原両教員が同じく歌曲の《鱒》を演奏

11月8、9日 東日本大震災被災地支援活動
クラリネット専攻生22名、声楽専攻生6名が本田耕一、和泉耕二両教員らとともに宮城県東松島市、石巻市の小中学校を訪問、音楽鑑賞会や吹奏楽部への指導など、音楽による支援活動を行った。石巻出身の和泉教員が故郷の復興を願って作曲した《石巻・わがふる里》などを披露。津波で教材を失った被災地への支援として、教職員、学生らに呼びかけ集まった楽譜約600冊とCD50枚を届けた
※こちらから《石巻・わがふる里》がお聴きになれます

11月15日 本学オリジナルグッズの販売開始
「ブレーメンの音楽隊」のイラストを公式キャラクターとし、それをあしらったオリジナルグッズをYAMAHA大阪音楽大学店で販売することになった。翌年8月、本学ホームページでONLINE STOREもオープン
12月9日 豊中市との連携協力に関する包括協定締結
大学・短大が豊中市と連携してそれぞれの活動の充実を図るとともに、「音楽があふれるまちづくり」に向けて、地域社会の持続的な発展を推進していくことになった

12月18日 第1回大阪大学・大阪音楽大学ジョイント企画「待兼山クリスマスコンサート2011」(大阪大学会館講堂)
11月の大阪大学、豊中市との連携協定締結を受け、豊中市にある2つの大学が互いの持ち味を生かして地域の文化振興に貢献しようと、大阪大学とのジョイント企画が始まった。第1回は本学クラリネット・オーケストラ、声楽専攻の学生、大阪大学のアカペラグループMoscow Muleが出演し、盛況であった。

平成23年度 特別講義
特別講義

ヴァルター・グリマー
(6月22日作曲)

ジャパン・ストリング・
クァルテット
(6月27日弦楽器)

スティーヴン・ミード
(10月25日ユーフォニアム)

工藤重典
(11月17日フルート)

日野原重明('12年1月13日大学院
(創立100年記念事業))

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 5月23~25日:クラウス・シルデ(ピアノ)
  • 7月26日、12月22日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 9月10日:文屋充徳(コントラバス)
  • 9月19、20日:ケマル・ゲキチ(ピアノ)
  • 9月24日:青柳いづみこ/クリストフ・ジョヴァニネッティ(大学院ピアノ)
  • 9月28日:アラン・ゴーサン(作曲)
  • 10月4日:小川浩美(声楽(フランス歌曲(オペラ))
  • 10月27日:パスカル・ポンス(作曲と打楽器(合同))
  • 11月7、8、14日:松田康子(ピアノ)
  • 11月18日:パスカル・モラゲス(クラリネット)
  • 11月30日:マティアス・ユング(合唱)
  • '12年1月14日:澤和樹(ヴァイオリン)
  • 1月23日:吉田秀(コントラバス)
  • 2月28日:吉野亜希菜(クラリネット)
以下の演奏会も開催。

ジャパン・ストリング・クァルテット コンサート(6月28日)
創立100周年記念プロジェクト
創立100周年を迎える2015年(平成27年)まであと5年となったこの年、中村孝義理事長は年頭挨拶に「2011年より2015年までの5年計画で大阪音楽大学を、ひいては音楽そのものを改めて社会に広く、また強くアピールし、社会におけるその存在感を揺るぎなきものにするために様々な施策を展開していきたいと考えている」と述べた。それは創立者永井幸次が遺した建学の精神を真摯に見つめ直し、深く読み解く中で見出した5つのテーマに沿って5年間、様々な記念行事を行うというものであった。
【建学の精神】
世界音樂 並ビニ 音樂ニ関連セル諸般ノ藝術ハ 之ノ學校ニヨッテ統一サレ
新音樂 新歌劇ノ 發生地タランコトヲ 祈願スルモノナリ

この中のキーワードをたどり、各年記念行事のテーマが次のように決定した。(Muse vol.218 2011年6月特別号掲載)

各年度、このテーマにちなんで、(1)講演等、(2)オペラ公演、(3)大学定期演奏会、(4)学生オペラ、(5)記念重点演奏会が選ばれた。2011年7月、本学吹奏楽団の世界吹奏楽大会(WASBE)2011年度国際大会への参加でこの一大プロジェクトがスタートする。100周年に向けて記念のロゴを作成、また新たに「ちから強く生きる“音楽人”を、ここから」というスローガンも決定した。

プロジェクト公演はそれぞれに意義のあるものであったが、特にオペラ公演は2011年(平成23年)のブリテン《ねじの回転》、2014年(平成26年)の鈴木英明《鬼娘恋首引》/ブリテン《カーリュー・リヴァー》が文化庁芸術祭大賞に輝き、2015年(平成27年)ヴェルディ《ファルスタッフ》も同じく芸術祭優秀賞(洋楽は大賞なし)を受賞、また2013年(平成25年)のブリテン《ピーター・グライムズ》は三菱UFJ信託音楽賞を受賞するなど、まさにこのプロジェクトの目的を果たし、本学の存在を社会にアピールするに余りあるほどの成果を上げた。記念重点演奏会とされた世界吹奏楽協会(WASBE)2011年度国際大会での本学吹奏楽団の演奏が国際的に高い評価を得たことも特筆すべきことである。

クラシックから邦楽、ジャズ、ポピュラー、電子オルガンやミュージカル、ダンスパフォーマンスまで、本学が創立以来100年の総力を込めた5年にわたるこの一大プロジェクトを終えた今、永井幸次が願った「諸般ノ藝術ハ 之ノ學校ニヨッテ統一サレ 新音樂 新歌劇ノ 發生地」としての姿を示し、関西唯一の音楽単科大学としての存在意義を追求することができたのではないだろうか。
2011年度 創立100周年記念プロジェクト
テーマ:「世界×音楽」(世界の表現形としての音楽)世界表現としての音楽の現代的可能性を考える

(1)シンポジウム・講演
2012年1月13日「人間にとってアートとは-生きる源-」
聖路加国際病院理事長・名誉院長 日野原重明
2012年1月31日「世界表現としての音楽(芸術)の現代的可能性を考える」
大阪音楽大学学長 中村孝義×前大阪大学総長 鷲田清一

(2)オペラ公演
7月8、10日 サマー・オペラ モーツァルト・シリーズ《魔笛》
指揮:大勝秀也、演出:岩田達宗(現・客員教授)

10月14、16日 20世紀オペラ・シリーズ ブリテン《ねじの回転》(年表掲出)
指揮:十束尚宏、演出:岩田達宗(現・客員教授)
平成23年度第66回文化庁芸術祭大賞受賞

(3)大阪音楽大学定期演奏会
12月2日 大阪音楽大学第54回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)
指揮:小野田宏之教員
(4)学生オペラ
2012年2月18日、19日 第23回大阪音楽大学学生オペラ モーツァルト《魔笛》(年表掲出)
指揮:小野田宏之教員、演出:中村敬一教員

(5)2011年度記念重点演奏会-世界表現としての音楽-
7月6、7日 世界吹奏楽大会(WASBE)2011年度国際大会出場(台湾・嘉義市)
指揮:北野徹教員
2012年3月4日 大阪音楽大学第43回吹奏楽演奏会(ザ・シンフォニーホール)
指揮:丸谷明夫教員 北野徹教員

11月25日 第34回邦楽演奏会「アジアの中の日本音楽 世界の中の日本音楽」
尺八のパートをルネ・シュメーがヴァイオリンで、ジャン・ピエール=ランパルがフルートで演奏して一躍世界に知られるようになった宮城道雄《春の海》。演奏会のテーマ「アジアの中の日本音楽 世界の中の日本音楽」に因んで、尺八、ヴァイオリン、フルートと箏による3つのヴァージョンで演奏した。

関西音楽の歴史

1月1日 オーギュスタン・デュメイが関西フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任
2008年9月より同団の首席客演指揮者を務めていた世界的ヴァイオリニストのデュメイが、同団史上初の音楽監督に就任し注目を浴びた

2月2日 「ずっと大阪を、もっと元気に!」コンサート(いずみホール)
近畿大阪銀行、関西フィルハーモニー管弦楽団、いずみホールの共催により開催。公演の運営資金を個人などの小口出資(寄付)で賄う「ファンドレイジング」を採用した国内初のコンサートとして話題となった

2月20日 京都市交響楽団特別演奏会 マスカーニ《イリス》関西初演(京都コンサートホール大ホール)
井上道義指揮・演出、京都市交響楽団、京都市民合唱団
19世紀中頃から欧州で流行したジャポニスム(日本趣味)の影響を受け作曲されたオペラを、セミステージ形式で上演
3月11日 東日本大震災

3月19日 京都アルティ合奏団第3回公演 高橋裕《双子の星》本邦初演(京都府立府民ホール・アルティ)
高橋裕指揮、平岡秀幸演出、京都アルティ合奏団
宮沢賢治の童話に基づいた創作オペラの初演。京都府立府民ホールの初オペラ制作であった

平成23年5月1日
関西音楽新聞より

4月1日 大阪センチュリー交響楽団が「日本センチュリー交響楽団」と改称
2008年来の大阪府財政改革に基づく補助金廃止を受け、財団法人大阪府文化振興財団の運営であった大阪センチュリー交響楽団は府から独立し公益財団法人へ移行。団名を「日本センチュリー交響楽団」と改称し民営化した
5月8日 東日本大震災復興チャリティコンサート 音のちから「集」(ザ・シンフォニーホール)
関西を中心に活動する5名の指揮者をはじめ、関西圏のアマチュア・オケ団員やフリーランス・プロ奏者、関西二期会の歌手など総勢250名が参加。オール関西の有志音楽家たちによる大規模なチャリティ公演となった

平成23年6月1日
ClassicNoteより

5月11日 ソウル・フィルハーモニー管弦楽団関西初公演(ザ・シンフォニーホール)
5月21~23日 佐渡裕がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会に客演

5月28、29日 関西二期会第74回オペラ公演 プッチーニ《つばめ》(初版)関西初演(アルカイックホール)
寺岡清高指揮、中村敬一演出、大阪交響楽団、関西二期会合唱団

関西二期会提供『関西二期会創立50周年記念誌第2巻』より

9月24、25日 第20回みつなかオペラ ドニゼッティ《ラ・ファヴォリータ》関西初演(川西市みつなかホール)
牧村邦彦指揮、井原広樹演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、みつなかオペラ合唱団

(撮影:仲野達也)
平成23年11月1日 関西音楽新聞より

9月25日 関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル(京都コンサートホール大ホール)
学生の交流や技術向上などを目的として、本学を含む京阪神の8つの音楽系大学の選抜学生450名が参加。多大学が連携し、大規模な混成オーケストラと合唱団を編成するという全国的にも珍しい試みとなった

10月2日 Vivava Opera Company vol.17 ツィアーニ《ロードペとダミーラの運命》本邦初演(伊丹アイフォニックホール)

(撮影:浅野豪)平成23年11月1日 関西音楽新聞より

大森地塩指揮・演出、バロック・アンサンブル・VOC
ロンドン大学の音楽学者・松本直美が、17世紀以降上演記録のない当バロック・オペラの史料(印刷台本や手稿譜)を収集し校訂。「世界現代初演」と銘打った歴史的な上演となった
東日本大震災復興を願う関西からの音楽的支援
2011年(平成23年)3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0という日本国内観測史上最大規模の「東北地方太平洋沖地震」が三陸沖で発生。東北地方を中心とした太平洋沿岸部を地震による巨大津波が襲った。この津波などの影響により「東京電力福島第一原子力発電所事故」が起こり、放射性物質の飛散・漏出という、実に深刻な事態をもたらした。政府は4月1日、当地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害について「東日本大震災」と命名することを閣議決定。この震災による被災地域は東北地方を中心に北海道から関東地方の広範囲に及び、人的被害は死者・行方不明者を合わせて18,000人を超える甚大なものとなった。また、原発事故による電力供給の制約、そしてサプライチェーンの寸断などは、国内の経済、社会、文化など様々な分野に大きな影響を及ぼすに至った。
クラシック音楽界では、多大な被害を被った東北地方はもとより、首都圏でも演奏会場の被災や演奏家の自粛などによりコンサートの中止や延期が相次いだ。来日中のフィレンツェ歌劇場やチェコ・フィルハーモニー管弦楽団が急遽帰国となるケースや、様々な海外演奏家の来日が突如キャンセルになるなど、音楽業界は不測の事態に混乱を極めた。芸術活動に対する自粛ムードが国内に広がる中、4月12日に時の文化庁長官・近藤誠一が公式メッセージ「当面の文化芸術活動について」を発表し、被災地への哀悼の意を表しつつ、復興に向けたできる限りの文化芸術活動の推進を呼びかけた。
関西でも震災後、様々な公演の中止や内容の変更、国際コンクールや音楽祭の規模縮小などが目立った。その一方、被災地に思いを寄せる関西の音楽家たちが、チャリティ公演や追悼公演、慰問演奏などに積極的に取り組み始めた。

2011年(平成23年)の主だったチャリティ公演・追悼公演・慰問演奏
  • 4月7日:大阪フィルハーモニー交響楽団「東日本大震災チャリティコンサート」(ザ・シンフォニーホール)
  • 4月8~14日:東日本大震災復興祈念ウィーク(兵庫県立芸術文化センター)
  • 4月23日:アンサンブル・神戸「東日本大震災チャリティーコンサート」(神戸新聞松方ホール)
  • 4月26日:大植英次「阪急クラシック」チャリティーコンサート(宝塚バウホール、他)
  • 4月28日:被災地支援コンサート@大阪市役所(大阪市役所本庁舎内会場)
  • 5月3日:日本テレマン協会第199回定期演奏会「東日本大震災追悼コンサート」(夙川カトリック教会聖堂)
  • 5月8日:東日本大震災復興チャリティコンサート 音のちから「集」(ザ・シンフォニーホール)
  • 6月29日:~7月21日:関西音楽人クラブ「オール関西クラシック がんばろう日本!」(いずみホール、他)
  • 7月19日:The TARO Singers「宮城県石巻市震災被災地慰問コンサート」(石巻市役所、ほか)
  • 8月7~9日:「鎮魂のタクト」佐渡裕被災地訪問プロジェクト(福島県いわき市小名浜市民会館、他)
  • 9月4日:アンサンブル・神戸「東日本大震災復興支援コンサート」(神戸新聞松方ホール)
  • 11月15日:「一日だけのオーケストラ」が贈る東日本大震災で失われた幼き命への追悼(いずみホール)
  • 11月29、30日:ローム・被災地支援コンサート「京フィルコンサート」(岩手県宮古市・田老第1中学校ほか)
上記以外にも、関西の楽団やソロ奏者などが震災直後より公演会場にて義援金を募ったほか、中学・高校の吹奏楽部や市民合唱団などが開いたコンサートに震災避難者を招待するなど、様々な形の被災者支援が行われた。中でも、とりわけ象徴的であったのは、阪神地区を拠点とする音楽家たちの活発な復興支援活動である。これは、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を身をもって経験したことによる犠牲者・被災者へのより深い共感や、「ボランティア元年」といわれるほどに当時全国各地から惜しみなく差し伸べられた復興支援への厚い謝意などが込められた、まさに心からの音楽的支援であったということができるだろう。

関西音楽人クラブ「オール関西クラシック がんばろう日本!」
リーフレット表紙

「一日だけのオーケストラ」が贈る東日本大震災で失われた幼き命への追悼チラシ


2012年(平成24年)

大阪音楽大学の歴史

1月23日 ザ・カレッジ・オペラハウス、平成23年度文化庁芸術祭大賞受賞
前年の20世紀オペラ・シリーズ《ねじの回転》の成果により、オペラハウスが2度目の芸術祭大賞を受賞。同一部門、同一団体の2度の受賞は史上初。大阪市内ホテル(シェラトン都ホテル大阪)で贈呈式が行われた

平成23年度文化庁芸術祭賞贈呈式
贈呈式で表彰を受ける中村理事長・学長
2月18、19日 第23回学生オペラ《魔笛》

2月20、27、28日、3月5、6日 修士リサイタル
修士課程2年間の研究を進める上で、1年目の成果発表の修士リサイタル(前年度試行)を当年度より導入した。5日間、ミレニアムホールで開催
2月21日 教員養成のための豊能地区3市2町教育委員会との連携協力締結

2月23日 短大ミュージカル・コース 第1回試演会「あの鐘を鳴らすのは あなた」
当年度より専任教員を配置して体制を刷新。羽鳥三実広教員の台本・演出で、70年代Jポップの名曲を用いたオリジナル・ミュージカルを上演した

3月10日 シンポジウム「社会に貢献しえる音楽とは」開催
2009年度に採択された文部科学省「大学教育・学生支援事業」学生支援プログラムである「音楽の仕事情報館構築による学生の音楽仕事力育成と就職支援」が最終年度である3年目を迎え、最終報告会兼シンポジウムを開催した

4月1日 第7代学長に武藤好男就任
土岐英史、有森博、クラウディオ・ソアレス、特任教授に就任
岩崎洸、工藤重典、クロード・ドゥラングル、スティーブン・ミード、重松みか、中村敬一、
アラン・ゴーサン、礒山雅、竹本節子、松位浩、客員教授に就任

4月1日 大学院入学・収容定員変更
入学定員10名→13名
収容定員20名→26名

4月1日 2013年度入試より特待生授業料減免制度導入
これによりフレッシュマン給付奨学金制度は廃止となった

4月1日 大学・短大組織変更
大学音楽学部の作曲、声楽、器楽の3学科を「音楽学科」の1学科に改組。「クラシックギター専攻」「電子オルガン専攻」「ジャズ専攻」を新設し、1学科12専攻とした(入学定員210名、同3年次編入学定員30名、収容定員900名)。 短大に「クラシックギター・コース」「ダンスパフォーマンス・コース」を新設、1学科13コースとした

4月1日 副専攻制度導入
個人実技レッスン以外に全専攻共通の選択科目として、「音楽マネジメント」「音楽療法」「音楽指導者」「音楽研究」の4つのプログラムを開講。指定の科目群を修得し一定の成績を修めることで、卒業時に「副専攻修了」と認定

4~9月 ザ・カレッジ・オペラハウス改修工事
竣工から23年が経過し、老朽化した建物・設備等の安全性の確保を主目的に行った

4月20日 甦る大阪の響き~大栗裕没後30年記念演奏会~(ザ・シンフォニーホール)
28年の長きにわたり本学教員として奉職した大栗裕の没後30年を記念した演奏会を共催。本学OBホルン・アンサンブルや本学教員らが出演した
4月21日 短大ポピュラー・コース オープンカレッジ開始
高校生を対象に、毎回違ったテーマで土曜日に開催(年間16回)。受講は無料で、希望する回に申し込んで自由に参加できるというもの。短大ポピュラー・コースに展開されている高大連携事業が発展した形で始動した。2014年度よりダンスパフォーマンス・コースも開催

6月1日 事務局改組
人事事務部門、戦略企画事務室、広報統括事務室、音楽博物館事務室を設置。政策企画本部、研究事務部門の業務は分割して他の事務部門、事務室へ移管した

7月3日 デポール大学(米)と姉妹校提携締結

7月20日 新国立劇場と連携協力の協定締結
新国立劇場での公演・人材交流・人材育成などについて連携・協力する協定を締結した。同劇場では日本人の出演機会を増やすことが重要な課題とされ、各音楽大学との協力関係を構築する中、首都圏以外の大学としては初の締結となった。これまでにも本学出身の歌手は度々公演に登用され、難関であるオペラ研修所に5名の卒業生・修了生が合格している

新国立劇場での締結式
(公財)新国立劇場運営財団福地重雄理事長(右)と中村孝義理事長

2014年10月23日、新国立劇場オペラ研修所の「授業見学」と「バックステージツアー」を実施。この連携協定により実現したもので、中村敬一教員の引率で学生16名が参加した
9月29日~11月30日 「とよなか音楽月間」に参加
「音楽あふれるまちとよなか」を掲げる豊中市がその文化事業推進のため、「とよなか音楽月間」と題して市内各地での音楽イベントを企画。同市との包括連携協定に基づき、本学も当事業に参加協力を行った。以後、この催しは毎年開催され、本学も継続的に協力している

音楽博物館での
「ガムランを叩いてみよう!」

10月26、28日 20世紀オペラ・シリーズ ヴォルフ=フェラーリ《イル・カンピエッロ》
半年間のリニューアル工事後初のオペラ公演で、当年度の創立100周年記念プロジェクトの一つ。オペラハウスでは2年ぶりの顔合わせとなる大勝秀也指揮、粟國淳演出による 関西初演

11月2~4日 大学祭「Top of Music」

12月4日 野々村彩乃(大3) 第66回全日本学生音楽コンクール全国大会 声楽部門(大学・一般の部)第1位受賞
平成24年度 特別講義
特別講義

市原ひかり
(6月13日ジャズ・トランペット)

重松みか
(6月28日声楽)

ヨズア・バルチュ
(7月23日、'13年1月18日声楽)

スティーヴン・ミード
(12月18日ユーフォニアム)

福田進一
(’13年3月14日ギター)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 5月17日:川井弘子(ボディマッピング)
  • 5月30日:カルロ・フォルリヴェジ作曲)
  • 6月13日:市原ひかり(ジャズ・トランペット)
  • 6月15日:若尾圭介(オーボエ)
  • 7月11日:、12月13日:礒山雅(音楽学)
  • 7月26日:工藤重典(フルート)
  • 9月28日:松田昌恵(声楽)
  • 10月23日:村井秀清(ピアノ)
  • 10月30日:野村誠(音楽学)
  • 11月7日:吉田秀(コントラバス)
  • 11月8、12、13、15、16日:松田康子(ピアノ)
  • ’13年1月17日:栢本淑子/寺松光子/中井理映子/植田定和(声楽)
  • 2月25日:渡邉玲雄(コントラバス)
2012年度 創立100周年記念プロジェクト
テーマ:「芸術×音楽」(アートと音楽)音楽と諸芸術との関わり、音楽のアート性、技巧的を考える

(1)シンポジウム・講演
10月31日 第3回大阪大学×大阪音楽大学ジョイント企画 講演「平田オリザ」(とよなか音楽月間参加公演)
(2)オペラ公演
10月26日、28日 20世紀オペラ・シリーズ ヴォルフ=フェッラーリ《イル・カンピエッロ》(年表掲出)
指揮:大勝秀也、演出:粟國淳

(3)大阪音楽大学定期演奏会
12月7日 大阪音楽大学第55回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)
指揮:小田野宏之教員、ピアノ独奏:有森博教員
(4)学生オペラ
2013年2月16日、17日 第24回学生オペラ《フィガロの結婚》(年表掲出)
指揮:小田野宏之教員、演出:中村敬一教員

(5)2012年度記念重点演奏会-音楽のアート性、技巧性-
大阪音楽大学ピアノ専攻演奏会
10月3日 ピアノ~華麗なる響きの饗宴~ 第一夜 コンチェルトの夕べ

10月5日 ピアノ~華麗なる響きの饗宴~ 第二夜 アンサンブルの夕べ

大学院演奏会
11月1日 大阪音楽大学大学院定期演奏会

その他
9月30日 ミシェル・アリニョン クラリネット・リサイタル

10月3日 ミシェル・アリニョン客員教授 クラリネット・マスタークラス

10月17日 クロード・ドゥラングル サクソフォーン・リサイタル

11月1日 フィリップ・ベロー クラリネット・ミニ・リサイタル&マスタークラス

11月12日 ファブリス・モレッティ サクソフォーン・リサイタル

創立100周年記念連携事業
2013年3月14日、16日 大阪音楽大学・兵庫県立芸術文化センター・大阪アーティスト協会連携
オペラ公演 團伊玖磨《夕鶴》(兵庫県立芸術文化センター中ホール)

関西音楽の歴史

3月31日 大阪フィルハーモニー交響楽団 大植英次スペシャルコンサート(ザ・シンフォニーホール)
大植の9年間にわたる同団音楽監督としての最終公演で、ブルックナー《交響曲第8番》を演奏(ファンのアンケートをもとに選曲)。大植は同ポスト退任後、桂冠指揮者となった。2014年4月より同団首席指揮者に井上道義が就任
4月5日 大阪市改革プロジェクトチームが「施策・事業の見直し(試案)」を公表
1934年4月より市の直轄事業として運営されていた大阪市音楽団の廃止などが盛り込まれた

4月8日 オリックス劇場新生開館
国の「年金・健康保険福祉施設に係る整理合理化計画」に基づき、2005年に売却の対象となった旧・大阪厚生年金会館を2009年にオリックス不動産が落札。同館の大ホールがリノベーションされ新名称にてオープンした

4月14日 神戸市演奏協会 特別演奏会「生涯を音楽に捧げた 故ゲルハルト・ボッセ音楽監督とのお別れの会」(神戸文化ホール大ホール)
同年2月1日に90歳で死去した神戸市室内合奏団音楽監督のボッセを偲び、追悼演奏などが行われた
4月20日 甦る大阪の響き~大栗裕没後30年記念演奏会(ザ・シンフォニーホール)
ホルン奏者、作曲家として活躍し、本学にも28年の長きにわたり奉職した大栗の作品回顧展。民俗的作風により「東洋のバルトーク」と称された大栗とゆかりのある大阪フィルをはじめ、本学のOBホルン・アンサンブルなど総勢450名の奏者が参加した。この他の記念公演として、フィルハーモニック・ウインズ大阪による「大栗裕よ永遠に」(4月、いずみホール)や、帝塚山学園ギターマンドリンクラブOG有志による「響け!大栗裕マンドリン音楽の世界」(11月、高槻現代劇場中ホール)などが開催された

5月5日 GO!GO!市音! 大阪市音をほめる会(大阪城野外音楽堂)
大阪市市政改革の一環として廃止の方向性が示された大阪市音楽団を応援する無料コンサート。同団アーティスティック・デイレクターの宮川彬良が指揮し、約3,000人の聴衆が会場を埋めた

5月19日 関西オーケストラ プロジェクト2012(いずみホール)
関西を拠点に活躍する重鎮作曲家4人の新作初演で、その多くが東日本大震災の影響を受けて作曲された点が特徴的であった。公演の成果により同実行委員会(代表・鈴木英明)は平成24年度大阪文化祭賞受賞

6月14~24日 ムジークフェストなら2012
奈良県などの主催による初開催の音楽祭で、世界遺産の寺社などを会場に市内各地でクラシック音楽を中心とした様々なジャンルの無料コンサートが行われた
6月27日 「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律(劇場法)」公布・施行

10月14日 ザ・シンフォニーホール開館30周年記念 ガラ・コンサート(ザ・シンフォニーホール)
開館30周年を迎えた同ホールであるが、その所有権は前月末に朝日放送から(株)滋慶に譲渡された(2013年末まで朝日放送が同ホールを運営)

パンフレット表紙

10月24日~11月25日 「ウィーン音楽祭 in OSAKA」最終回(いずみホール)
同音楽祭は、いずみホールがウィーン楽友協会の企画協力を得て1993年に初開催。当年7回目の開催にして最終回となった
10月26、28日 ザ・カレッジ・オペラハウス 20世紀オペラ・シリーズ ヴォルフ=フェッラーリ《イル・カンピエッロ》関西初演(ザ・カレッジ・オペラハウス)
大勝秀也指揮、粟國淳演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団・合唱団
親しみやすい喜歌劇的内容をもち、1990年代半ば以降国内では関東を中心に度々上演されてきたオペラで、2015年の創立100周年に向けた本学の記念プロジェクト(前年より開始)の一環として上演

2013年(平成25年)

大阪音楽大学の歴史

2月5日 「フライデー・ジャズ・ナイト」開始(阪急うめだ本店)
前年11月に「劇場型百貨店」としてグランドオープンした阪急うめだ本店と本学のコラボ企画を開始。「金曜日の夜はお洒落な大人の空間」をコンセプトに、短大ジャズ・コースの卒業生たちが9階祝祭広場、3階・4階婦人服フロアで演奏した。この他にもJR大阪駅「時空の広場」でのミニコンサートやG1レースでのファンファーレ演奏など、学外での学生主体の演奏活動を積極的に展開するようになる

2月21~22日 東日本大震災復興支援活動(宮城県石巻)

2011年に被災地で披露した和泉耕二教員作曲の《石巻・わがふる里》を本学クラリネット・オーケストラの演奏会で収録し、CDを制作。学生代表2名と和泉、本田両教員らが市内の中学・高校計11校を訪問し、卒業生への記念品として約1,000枚を進呈した
2月16、17日 第24回学生オペラ《フィガロの結婚》

4月1日 短大入学定員150名、収容定員300名に変更

4月1日 石井彰、森下幸路、特任教授に就任

4月1日 国内外コンクール参加奨励金制度導入

4月1日 2014年度入試より大学・短大に「教員特別推薦制度」導入
大学にも「専門実技認定制度」「音楽系クラブ特別推薦制度」導入
短大ポピュラー・コースに「高大連携特別推薦制度」導入

4月1日 学生相談室設置

4月1日 人事評価制度の導入
専任教職員・幼稚園教諭を対象とし、次年度に専任嘱託職員まで拡大

8月26日 大阪音楽大学ジャズコンサート 土岐英史・石井彰&大阪音楽大学(阪急うめだホール)
「フライデー・ジャズ・ナイト」の集大成として土岐英史、石井彰の両教員も出演して、ジャズコンサートを開催した。創立100周年記念プロジェクト

10月12、14日 20世紀オペラ・シリーズ ブリテン《ピーター・グライムズ》
創立100周年記念プロジェクトで、ブリテン生誕100年記念となる公演。指揮はオペラでは初登場となる高関健、演出は中村敬一教員。選抜学生27名が合唱で出演し、「合唱オペラ」といわれるこの作品の成功に貢献した。公演は高く評価され、第22回三菱UFJ信託音楽賞を受賞

10月23、29日 かんさい・ミュージアム連携企画「楽器に親しむ」
当年度、大阪を中心に、本学音楽博物館を含む関西圏11の大学ミュージアムにより「かんさい・大学ミュージアムネットワーク」が設立された。連携事業「交流する大学ミュージアムを目指して─人材育成の手法と実践─」が平成25年度文化庁「地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」に採択され、この一環として音楽博物館が展示室において実演付ガイドツアーとバリ・ガムランのワークショップを実施した

11月 キャンパス再編マスタープラン策定
教職員及び設計事務所による施設整備事業検討プロジェクトチームを組織し、今後30年程度の「キャンパス再編マスタープラン」を策定。老朽化の激しいK号館、耐震化対策が必要なC号館の機能を複合させた代替校舎について、新校舎基本計画検討委員会が第一段階として、野田校地新校舎基本計画を策定した

11月10日 東日本大震災被災地復興支援「上映会&ミニコンサート」「吹奏楽交流コンサート」
とよなか音楽月間・創立100周年記念プロジェクトで、豊中市共催。石巻市の門脇小学校の児童、教職員、保護者らの証言を紡いで作られたドキュメンタリー映画を上映し、和泉教員作曲の《石巻・わがふる里》によるミニコンサートを行った。また、岩手県から大槌高等学校吹奏楽部が来阪。大阪府立桜塚高等学校吹奏楽部、本学吹奏楽団による交流コンサートを開催した。最後は丸谷教員の指揮で、総勢100名を超える出演者全員による合同演奏が行われた

上映会&ミニコンサート
(最後に《石巻・わがふる里》を再び会場全員で歌った)

吹奏楽交流コンサート

11月1~3日 大学祭「『躍』~音楽をくれなきゃいたずらするぞっ♪~」

11月16日 作曲特別演奏会
創立100周年記念プロジェクトで当年度のテーマ「創造×音楽」による公演。海外提携校の仏ビヤンクール地方音楽院教授らを招き、同院教員・学生による作品と本学院生による作品を演奏した

12月3日 斉戸英美子(院1) 第67回全日本学生音楽コンクール全国大会 声楽部門(大学の部)第1位受賞

12月18日 寝屋川市と包括連携協定締結
ミュージカルの制作や寝屋川市アルカスピアノコンクール開催などで連携してきた寝屋川市と改めて協定を結び、文化振興をはじめ、様々な分野における協働を進めることで相互の発展をめざすことになった
平成25年度 特別講義
特別講義

ディルク・アルトマン
(4月16日クラリネット)

ブライアン・ボーマン
(5月14日ユーフォニアム )

松位浩
(7月1日声楽)

ジャック・モージェ
(7月1日トロンボーン)

ヨズア・バルチュ
(7月17日、12月16日声楽)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 4月12日:ヴォルフガング・ヴィプフラー(ホルン)
  • 5月20日:ヘクトル・マクドナルド(ホルン)
  • 6月5日:ピエール・モンティ(作曲)
  • 6月13日:オリアンヌ・モレッティ(声楽)
  • 7月3日:スチュアート・マンスフィールド/スティーヴ・エヴァンス(ポピュラー)
  • 7月16日、12月13日:礒山雅(音楽学)
  • 10月24、25日:リー・カムシン(ピアノ)
  • 10月24日、全10回:松田康子(室内楽(弦)、ピアノ)
  • 10月29日:ダグラス・ウッドフル=ハリス(音楽学)
  • 10月31日:パスカル・モラゲス(クラリネット)
  • 11月4日:クロード・ドゥラングル(サクソフォン)
  • 11月12日:小玉晃(声楽)
  • 11月13、14日:ジャン・リュック・エルヴェ(作曲)
  • 11月20日:竹本節子(声楽)
  • 12月5、6日:工藤重典(フルート)
  • ’14年1月25日:岩崎洸(チェロ)
キャンパス再編、新校舎建設へ
当時ボーリング場であった建物を第二校地として取得し、水川記念館としてオープンして以来30数年。K号館の激しい老朽化、及びC号館を中心とした第1キャンパスの耐震補強工事についてはかねてより懸案事項であった。K号館については費用対効果を鑑みた結果、改修工事よりも代替の新校舎を建設する方向で検討され、2012年(平成24年)1月、短大副学長を座長に新校舎建設検討委員会が発足。授業担当の教員からのヒアリングを取りまとめ、同年7月に代替校舎についての規模を理事長に報告した。これを受けて、理事長を中心とする校地・校舎再編検討委員会が設置される。学生数の推移に則したキャンパス規模への最適化などを図り、専門的な見解も踏まえながら各館単位ではないキャンパス全体の構想を計画していくことが決定した。
翌2013年度(平成25年度)、計画を具現化するため、教職員と設計事務所による施設整備事業プロジェクトチームが結成され、将来を見据えた上での今後30年程度の「キャンパス再編マスタープラン」を策定。新校舎基本計画検討委員会がその第一段階として、野田校地新校舎基本計画を決定した。このプランに基づき、次年度には新校舎をK号館とC号館の機能を複合させたものにすることが決まり、その建設に向けた事業が始動。建築士を交えたプロジェクトチームが新校舎の基本計画を策定し、各専攻の教員に改めてヒアリングを行って、基本設計から実施設計へと進めた。
新校舎建設に伴い、建設資金の一部、特に環境整備、緑化事業、学生使用施設の内装充実に資することを目的とした「創立100周年記念新校舎建設募金」活動を2014年9月16日から実施した。2015年度(平成27年度)末の時点で、個人約800件、法人約80件の寄付があり、目標額を上回る金額が集まった。
2015年7月21日、地鎮祭を行い、2016年(平成28年)10月完成に向けて工事が始まった。創立100周年記念事業として建設することになったこの新校舎は単なる教育研究施設ではなく、音楽博物館や図書館を備えた音楽文化の向上、研究に資する拠点となることを構想。K号館を水川記念館として設立した時の「開かれた大学をめざす」というその理念は、ここに受け継がれることとなった。

新校舎「100周年記念館」完成パース画

新校舎建設状況

7月21日 地鎮祭

7月31日

11月4日

2016年1月30日

3月25日 卒業式

5月14日

8月17日

9月3日

2013年度 創立100周年記念プロジェクト
テーマ:「創造×音楽」(音楽の創造性)社会と歴史を動かしてきた音楽の創造性を考える

(1)シンポジウム・講演
なし
(2)オペラ公演
10月12日、14日 20世紀オペラ・シリーズ ブリテン《ピーター・グライムズ》(年表掲出)
指揮:高関健、演出:中村敬一

(3)大阪音楽大学定期演奏会
12月7日 大阪音楽大学第56回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)
指揮:小田野宏之教員 フルート独奏:工藤重典教員
(4)学生オペラ
2014年2月15日、16日 第25回学生オペラ「魔笛」(年表掲出)
指揮:小田野宏之教員 演出:中村敬一教員
(5)2013年度記念重点演奏会-社会と歴史を動かしてきた音楽の創造性-
作曲関係演奏会
11月16日 作曲特別演奏会(年表掲出)
ジャズ・コース、ポピュラー・コース、ミュージカル・コース、電子オルガンコース、ダンスパフォーマンス・コース演奏会
8月26日 大阪音楽大学ジャズ・コンサート「土岐英史・石井彰&大阪音楽大学」(阪急うめだホール)(年表掲出)

10月4日 AUTUMN JAZZ NIGHT~大阪音楽大学教員によるコンボ~(豊中市立ローズ文化ホール)

その他
6月26日 フローラン・エオー&パトリック・ジグマノフスキー フランス音楽の夕べ

9月5日 ファブリツィオ・メローニ クラリネット・マスタークラス&リサイタル

9月9日 マッシモ・ラ・ローサ トロンボーン・マスタークラス&リサイタル

10月11日 オスター・エスピナ=ルイス クラリネット・レクチャー・コンサート

関西音楽の歴史

1月12日~4月14日 「朝比奈隆~生涯現役を貫いた不滅の指揮者~」展(民音音楽博物館西日本館)
同展は前年9~12月に東京の民音音楽博物館で先行開催。朝比奈の遺品や秘蔵映像などを通じ、その足跡と人間像に迫る内容であった

2月2日 いずみシンフォニエッタ大阪 第30回定期演奏会「西村朗~光と影の響像1970-2013~」(いずみホール)
同団音楽監督の作曲家・西村明の還暦を記念し、処女作から委嘱新作に至る作品個展を開催
2月23日 バッハ・コレギウム・ジャパン 第223回神戸松蔭チャペルコンサート J.S.バッハ:教会カンタータシリーズVol.64(神戸松蔭女子学院大学チャペル)
鈴木雅明の指揮により、同団が1995年以来取り組んできたバッハの《教会カンタータ》全曲演奏シリーズ(スウェーデンBISによる録音も並行して行われた)の最終回であった。翌24日は東京オペラシティコンサートホールにて開催

3月14、16日 日本オペラプロジェクト2012 團伊玖磨《夕鶴》(兵庫県立芸術文化センター・阪急中ホール)
牧村邦彦指揮、岩田達宗演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、西宮少年合唱団
邦人作曲家のオペラ上演の活性化を図るため、関西の産官学が連携し(大阪アーティスト協会、兵庫県立芸術文化センター、大阪音楽大学が共催)、音楽評論家・日下部吉彦を総合プロデューサーとして初開催

平成25年5月1日
関西音楽新聞より

4月10日~11月6日 第51回大阪国際フェスティバル2013(フェスティバルホール)
2009年から前年までフェスティバルホールの建替閉館のため休止されていた当フェスティバルが、中之島フェスティバルタワー内に建設された新・フェスティバルホールにおいて5年振りに再開。新生ホールの杮落しを兼ねたフェスティバル開幕公演としてフェニーチェ歌劇場が来演し、ヴェルディ生誕200年を記念したガラ・コンサートや《オテロ》上演など3演目を華々しく開催した(4月10~13日)。ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(4月16日)やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(11月6日)の来演のほか、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団が大作マーラーの《交響曲第2番「復活」》を演奏し注目を集めた(4月26日)。なお、当回よりフェスティバルの会期は長期型となり、邦楽公演の休止など新たな方向性が打ち出された

《フェニーチェ歌劇場》
チラシ

《ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団》チラシ

4月27日~6月17日 日本テレマン協会創立五十周年事業「大大阪ターフェル・ムジーク」
同協会の感謝祭イヴェントで、大阪市をはじめとする関西5都市の様々な場所で無料コンサートを中心とした全38公演(及び特別公演4公演)を開催
7月 大阪アーツカウンシル発足
大阪府・市の文化事業の検証・評価、助成事業の審査などを行う文化振興会議の専門部会として設置

9月24、25日 ミラノ・スカラ座「ヴェルディ生誕200年祭」大阪特別公演(フェスティバルホール)
ヴェルディ・イヤーに因み、《アイーダ》(演奏会形式)、特別演奏会(ヴェルディ・ガラ・コンサート)を開催。同オペラ座、実に25年振りの関西来演であった

9月28日~10月6日 ザイラーピアノデュオ連弾連続演奏会(かやぶき音楽堂《迦陵頻窟》)
同デュオが1989年に京都府南丹市に建設したかやぶき音楽堂(2006年より国の登録有形文化財)でコンサートを開始して25年。これを記念し、ドイツ語圏の作曲家によって書かれた連弾曲25作を選曲、全8回公演を開催した

10月12日 びわ湖ホール開館「15周年記念コンサート」(びわ湖ホール大ホール)
10月23日 ‘響の都’オペラの祭典 マルティーニ《音楽の先生》《ドン・キホーテ》本邦初演(清水寺本堂・特設舞台)
創立250周年のボローニャ歌劇場と日本芸術振興協会の共同制作。京都の名所旧跡を舞台会場としてオペラ公演を開催するプロジェクトの第1回公演であった
オペラ作曲家たちのアニヴァーサリー・イヤー
2013年(平成25年)は、多数のクラシック音楽作曲家のアニヴァーサリー・イヤーとなった。没後記念の主だった作曲家としては、パウル・ヒンデミット(1895~1963、没後50年)、フランシス・プーランク(1899~1963、没後50年)、セルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953、没後60年)、セルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943、没後70年)などで、関西でもこれら作曲家の様々なジャンルの作品が取り上げられ演奏された。
また奇しくも当年、「オペラ作曲家」として音楽史に名を残す作曲家たちが相次いで生誕記念を迎えた。ベンジャミン・ブリテン(1913~1976、生誕100年)、ピエトロ・マスカーニ(1863~1945、生誕150年)、リヒャルト・ヴァーグナー(1813~1883、生誕200年)、そしてジュゼッペ・ヴェルディ(1813~1901、生誕200年)である。これを記念し、関西では本学のザ・カレッジ・オペラハウスが「20世紀オペラ・シリーズ」としてブリテン《ピーター・グライムズ》(10月12、14日:ザ・カレッジ・オペラハウス)を、びわ湖ホールが自主制作のプロデュース・オペラとしてヴァーグナー《ヴァルキューレ》(9月21、22日:びわ湖ホール大ホール)を上演。アニヴァーサリー・イヤー中、両作曲家のオペラとしては各々関西唯一の上演という貴重な機会となった。
これに比して、関西においてヴェルディのオペラ関係の公演は外来を含め多数に上り、まさにイタリアの「歌劇王」たる不動の存在感とその人気の高さを改めて印象付けた。没後100年記念に当たった2001年(平成13年)にも様々なヴェルディのオペラが上演されたが、当生誕200年は、大規模なグランド・オペラとしての公演から、コンサート形式、そして親密な室内オペラ風上演に至るまで、ヴェルディのオペラに対する実に多様な舞台づくりがなされたのが特徴であったと言えるだろう。

関西におけるヴェルディのオペラ関係の主だった公演
  • 3月9、10日:びわ湖ホールプロデュースオペラ 《椿姫》(びわ湖ホール大ホール)
  • 4月10~13日:フェニーチェ歌劇場 《オテロ》ほか(フェスティバルホール)
  • 5月4日:河内長野マイタウンオペラ・小ホールシリーズVOL.11 《オテロ》(ラブリーホール・小ホール)
  • 6月22日:いずみホール・オペラ2013 《シモン・ボッカネグラ》(いずみホール)
  • 6月27日:関西二期会 オペラ・ガラ・コンサート(いずみホール)
  • 6月29、30日:ハンガリー国立歌劇場 《椿姫》(フェスティバルホール、神戸文化ホール)
  • 6月29、30日:関西歌劇団第95回定期公演 《仮面舞踏会》(メイシアター大ホール)
  • 9月24、25日:ミラノ・スカラ座 《アイーダ》(演奏会形式)ほか(フェスティバルホール)
  • 11月30日:関西歌劇団第1回コンチェルトオペラ 《椿姫》(あましんアルカイックホール・オクト)

2014年(平成26年)

大阪音楽大学の歴史

2月1日 ミュージカル「寝屋のはちかづき」(アルカスホール)
包括協定を結ぶ寝屋川市との連携事業。寝屋川に伝わる民話を基に、構成・演出を羽鳥三実広教員、音楽を森本友記教員が担当してミュージカルを制作した。ミュージカル・コースの在学生5名がキャストとして出演、多くの卒業生も参加した

2月14日 ダンスパフォーマンス・コース 第1回発表会(豊中市立ローズ文化ホール)
2012年度に短大に新設の当コースの完成年度となり、初めての発表会を開催した

2月15、16日 第25回学生オペラ《魔笛》

チラシ

3月28日 ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団・新国立劇場合唱団合同演奏会とオペラ合唱ワークショップ
文化庁委託事業「平成25年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」として本学が文化庁と共催した。若い歌手を対象に、東西のオペラ専門合唱団であるザ・カレッジ・オペラハウス合唱団と新国立劇場合唱団とともに歌い、演じることにより、オペラ合唱の基本と舞台表現の方法論を体得することを目的に実施。最終日はオペラハウスでその成果を発表する演奏会を行った

4月1日 西本智実、丸谷明夫、フローラン・エオー、客員教授に就任

4月1日 短大専攻科にクラシックギター・コース、ダンスパフォーマンス・コースを開設
ピアノ専攻に「ピアノ指導者コース」開設

実学中心のカリキュラムでピアノ指導者としてのスキルを身につけ、在学中に資格取得をめざす目標直結型のコースを開設した。実技や指導法に加え、音楽教室運営法などについても学ぶ

4月1日 「DAI-ONミュージカル研究会」設立
大阪発信のミュージカル作品の上演をめざし、その中心メンバーとなる俳優の育成を目的に設立。短大専攻科卒業生を中心とした外部団体。羽鳥三実広教員が代表を務め、本学教員が指導
4月1日 図書館事務室業務を全面的に委託化

4月5日 新入生歓迎祭開催
入寮生を対象とする1泊2日の「フレッシュマンキャンプ」を新入生全員参加型の1日イベント「新入生歓迎祭」にリニューアルし、専攻・コースを越えた学生間交流を図った

(左)オリエンテーション、(中)班別ディスカッション、
(右)演奏鑑賞

4月12日 ぱうぜランチタイムコンサート開始
食事をしながらでも気軽に聴けるコンサートをコンセプトに、ぱうぜ2階で無料のランチタイムコンサートを開始した

5月1日 創立100周年記念誌「Web年表サイト」開設
本サイトに掲載の資料は、音楽博物館が音楽文化研究所の頃より機関研究のために半世紀にわたり収集してきたものである

5月10日 「中高生のための作曲入門講座」開講
若い人材を育て、作曲家志望者の裾野を広げることを目的に、中高生を対象にした作曲入門講座を開講。大学内で行う教室版と通信教育で添削を行う通信版(学習経験者向け)で、社会人も参加可能とした。11月には「実践編」がスタート

本学ホームページ案内

5月22日~6月15日 わらべ館「永井幸次生誕140周年記念特別展」開催
本学創立者永井幸次の生誕140周年を記念して、出身地鳥取県にあるわらべ館が「関西に音楽文化を根付かせた音楽家 永井幸次」と題した特別展を開催。本学からも永井直筆の自伝の原稿などを貸し出した。6月14日には自伝を基にした「永井幸次音楽朗読劇とミニコンサート」も開催

展示風景

「永井幸次音楽朗読劇とミニコンサート」鳥取在住の本学出身ソプラノ歌手らが演奏

9月 練習室予約システム構築
練習室予約方法の改善策として、スマートフォン及び学内パソコンを使った予約システムを構築し導入した

9月10日 ザ・カレッジ・オペラハウス、第22回三菱UFJ信託音楽賞受賞
前年公演の20世紀オペラ・シリーズ《ピーター・グライムズ》の成果によるもの

表彰を受ける中村理事長

賞状

9月16日 「新校舎建設募金」事業開始
キャンパスマスタープランの第一段階として策定した新校舎建設に伴い、「創立100周年記念新校舎建設募金」活動を実施した

募金趣意書

特別座談会冊子

10月11、13日 20世紀オペラ・シリーズ 鈴木英明《鬼娘恋首引》/ブリテン《カーリュー・リヴァー》

オペラハウス開館25周年記念公演で、「現代×オペラ」をテーマとする当年度の創立100周年記念プロジェクトの一つ。能と狂言という日本の古典芸能を20世紀の現代の視点でいかにオペラ化したのかを日英2人の作曲家の作品を通じて探る試みであった。
指揮はオペラハウスに7年ぶりの登場となる山下一史名誉指揮者、演出は井原広樹(現・客員教授)で、プロジェクションマッピングを使用した。この公演の成果により本学は3度目の文化庁芸術祭大賞を受賞

《鬼娘恋首引》

《カーリュー・リヴァー》

10月30日 杉本友樹(院修・現教員) 第83回日本音楽コンクール作曲部門第1位受賞

11月2、3日 大学祭「音楽の輪2014」
平成26年度 特別講義
特別講義

フローラン・エオー
(4月17日クラリネット)

幸田浩子
(7月3日声楽)

西本智実
(7月11日オーケストラ)

安永徹
(9月18、19日ヴァイオリン)

グレッグ・エイトキン/
サラ・ウィルソン/
ピーター・ラフ
(10月3日オーケストラ)

釜山国楽チェンバーオーケストラ
(10月20日邦楽)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 4月4日:小川浩美(声楽)
  • 4月17日:松田康子(室内楽)
  • 4月26日:ヴォルフガング・ヴィプフラー(ホルン)
  • 5月20日:有森博(ピアノ)
  • 6月17日:重松みか(声楽)
  • 6月25日:大坂昌彦(ジャズ)
  • 6月30日:ギリアード・ミショリ(ピアノ)
  • 7月5日:バジル・クリッツァー(トロンボーン)
  • 7月8日:礒山雅(音楽学)
  • 7月14日:パトリック・ジグマノフスキー(ピアノ)
  • 7月19日:青柳いづみこ(ピアノ)
  • 7月26日、’15年2月3日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 9月18日:伊藤隆之(ピアノ)
  • 9月26日:野村誠(音楽学)
  • 10月23日:工藤重典(フルート)
  • 10月28日:クロード・ドゥラングル(サクソフォン)
  • 10月29日:クリスチャン・レオッタ(ピアノ)
  • 11月6日:竹本節子(声楽)
  • 11月10日:松原友(声楽)
  • 11月11日:ファブリス・モレッティ(サクソフォン)
  • 11月11日、全7回:松田康子(ピアノ)
  • 12月12、15日:ジョージ・ヴァチナーゼ(ピアノ)
  • 12月18日:戸田弥生(ヴァイオリン)
  • 12月22日:スティーヴン・ミード(ユーフォニアム)
  • ’15年1月14日:マルティン・ブリッゲンストーファー(作曲)
  • 1月15日:菅沼準二(ヴィオラ)
作曲家、鈴木英明と《鬼娘恋首引》
初演は1980年(昭和55年)4月18日、創作オペラの会「葦」からの委嘱をうけて、芦屋ルナ・ホールで上演された。台本、演出は茂山千之丞である。狂言「首引」を種本とし、「理屈抜きで楽しめる作品を」という茂山の意図をくんだ作品となっている。初演時より10回を越える再演を重ね、本学のザ・カレッジ・オペラハウスには2006年(平成18年)の改訂版初演、2009年(平成21年)の抜粋上演、そして2014年(平成26年)10月11日、13日の上演では井原広樹(現・客員教授)演出により、同時上演のブリテン《カリュー・リヴァー》とともに文化庁芸術祭大賞を受賞した。
歌曲の作曲を通して、鈴木は日本語のリズム、抑揚を生き生きと歌うことにこだわってきた。《鬼娘》では茂山千之丞に台本を狂言として読んでもらい、その録音を繰り返し聞くことで、ことばのリズムなどを身体に染み込ませ作曲した、と述べている。
また、鈴木は退職記念の特別講義(2007年3月)のなかで、日本人がヨーロッパの音楽を学ぶ上で、無批判であってはならず、消化し、発酵させることの大切さと同時に「文化は地域に根ざした伝統や生活のなかで芽生え、育っていくものです。文化を深く理解するには、ルーツを求め見極めていく必要があります」と述べている。東洋的な音楽に、若い時期、何の興味も抱かなかった鈴木が、「中年を過ぎる頃より、かつて母親がつまびいていた三味線音楽に深く共感を覚えるようになった」と述懐していることからも、その感性と関心の変遷をうかがい知ることができる。《鬼娘》は鈴木が、東洋、日本の文化に対して真摯に向き合うようになったその結実として捉えることができるだろう。
今回の井原広樹による演出は、茂山演出が狂言色を強く打ち出していたのとは全く異なる現代的味わいをもった舞台であった。鈴木自身はこの上演のために、練習にしばしば立会い、ゲネプロ(最終総括練習)の最後の瞬間までスコアを手にし、オーケストラに細かな注文を出し続けた。

[ 鈴木英明 ]
静岡県出身、1963年、東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。
歌曲をはじめ、ピアノ曲、管弦楽、オペラなど様々なジャンルの作品を手がけてきた。
これまでに作品数は400にのぼり、オペラ《鬼娘恋首引》は代表作の一つである。
オペラ作品には他にグランド・オペラ《源氏物語》、《イワイさまおじゃったか》、《出口なし》などがある。
101年目に向けた新たな挑戦
本学は関西唯一の音楽単科大学として誕生以来、作曲家や実演家、教育者の育成を通じ、音楽による社会的貢献のできる人材の輩出をめざしてきた。しかし創立から100年の時を経て音楽環境も著しく変わり、少子化、長引く不透明な経済状況など、本学を取り巻く情勢は一変した。これまでにも本学は日本の音楽大学で初めてジャズ・ポピュラー部門を導入するなど、極めて柔軟に若者の音楽志向の多様化に対応しつつ、新分野へアカデミックな教育の開拓を行ってきた。だが、今後の日本の音楽文化を展望し、一層の難局を打開するため、2014年(平成26年)、さらに新たな発想で2年後の2016年度より、大学に2つの専攻を開設することを決定した。「ミュージッククリエーション」と「ミュージックコミュニケーション」である。「音楽で、はたらこう。」をコンセプトに、キャリアを意識した教育の実施をめざすこととなった。
「ミュージッククリエーション」は商業音楽のクリエーター養成を目的としており、クラシック音楽の作曲技法をベースに、コンピューターを駆使して映画やCM、ゲーム、ポピュラー音楽など多様な音楽の創造を学ぶ。本学で学ぶ最大のメリットは、あらゆる音楽に応用できるクラシック音楽の基礎を習得できることである。理論と感性の両面から創作することによって楽曲に深みが増し、商業音楽家としてより幅広いリクエストに対応することが可能となる。さらに音楽大学ならではの豊富な音楽科目を選択することで、曲を生み出すヒントを多く得ることができる。
「ミュージックコミュニケーション」は既存の音楽学専攻をリニューアルするもので、音楽の専門的知識を身につけ、音楽で人や社会をつなぐ、コミュニケーションの場を生み出すことのできる人材育成を目的とする。具体的にはイベントのプロデューサーやプランナー、音楽マネージャー、音楽評論家、レコード会社スタッフなど、多岐の分野で活躍する音楽産業人である。例えば現在全国の自治体で指定管理者制度をとるホールが多数あるが、実際にその任に当たる人材不足は課題となっている。こうした社会的ニーズに応え、文化振興の担い手を育てるべく、この専攻では、「音楽あふれるまち」を標榜して「とよなか音楽月間」などを開催する地元の豊中市と連携し、イベントの企画や運営などを実地で学ぶ授業も取り入れている。また、演奏能力は問わないので、専門的な音楽教育を受けたことはなくても音楽関係の就職を希望する人に適している。なおこの専攻の開設に伴い、2016年度に音楽学専攻の募集は停止することになった。
いずれも実践的なカリキュラムによって、これからの音楽産業界で需要の見込まれる「音楽で働く」即戦力を社会に送り出すことを目標としている。それには一方でたゆまぬ努力によって芸術を追求し、実技を磨く学生たちとともに学ぶことが理想的な環境となる。そして実技系の学生たちにとってもこの新専攻の学生たちとのコラボレーションによって、互いの相乗効果が生み出されることが期待される。100年間の伝統に培われた実技教育を継承しつつ、その上で実演を伴わずに音楽で社会に貢献する次世代の音楽人を育てる──「音楽の総合大学」としての本学101年目の挑戦である。
新専攻リーフレット

新専攻リーフレット(表)

新専攻リーフレット(裏)

ミュージッククリエーション
リーフレット(表)

ミュージックコミュニケーション
パンフレット(表紙)

2014年度 創立100周年記念プロジェクト
テーマ:「現代×音楽」(現代オペラの可能性)総合芸術としてのオペラの現代的な可能性と意義を考える

(1)シンポジウム・講演
2015年1月25日 第6回大阪大学・大阪音楽大学ジョイント企画
「人とはなにか。心とはなにか。~芸術と技術、科学と哲学の交わるところ」
(2)オペラ公演
10月11日、10月13日 20世紀オペラ・シリーズ 鈴木英明《鬼娘恋首引》/ブリテン《カーリュー・リヴァ—》
指揮:山下一史 演出:井原広樹(現・客員教授)(年表掲出)
平成26年度文化庁芸術祭賞大賞受賞

(3)大阪音楽大学定期演奏会
12月5日 大阪音楽大学 第57回 定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)
指揮:小田野宏之教員、ピアノ独奏:田村響(院2)
(4)学生オペラ
2015年2月21、22日 第26回学生オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》(年表掲出)
指揮:小田野宏之教員、演出:中村敬一教員
(5)2014年度記念重点演奏会
6月13日 オーボエ&クラリネット「室内楽の愉しみ」名手若尾圭介とパスカル・モラゲスを迎えて

10月18日 ジュネーブ公式楽団 ランドヴェール音楽隊 国際交流演奏会

10月31日 スティーヴ・コーエン クラリネット・マスタークラス&リサイタル

関西音楽の歴史

1月 ザ・シンフォニーホール(1982年開館)の運営が朝日放送から滋慶学園グループ傘下の「株式会社ザ・シンフォニーホール」へ移管

2月22、23日 市民創作オペラ ビゼー《カルメン》(神戸文化ホール大ホール)
矢澤定明指揮 井原広樹演出 日本センチュリー交響楽団 神戸フォーレ協会 市民コーラス 須磨ニュータウン少年少女合唱団
神戸市などの主催による神戸文化ホール開館40周年記念公演。当公演の成功により、オペラ振興を目指す後続事業として“神戸のオペラ座”という意味の新たな市民オペラ「オペラ de 神戸」が発足。2016年3月にプッチーニ《蝶々夫人》を上演した

(写真提供:神戸市民文化振興財団)
平成26年4月1日 関西音楽新聞より

3月8、9日 沼尻竜典オペラセレクション コルンゴルト《死の都》本邦舞台初演(びわ湖ホール大ホール)
沼尻竜典指揮、栗山昌良演出、京都市交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブル、大津児童合唱団
当オペラは1996年9月、井上道義指揮の京都市交響楽団第387回定期演奏会(京都コンサートホール大ホール)にて演奏会形式の本邦初演が行われていた

びわ湖ホール声楽アンサンブル
平成28年度新メンバー募集要項より

4月1日 アーツサポート関西発足
個人や企業からの寄付などを原資とし、関西で芸術・文化活動を行う法人・団体・個人を助成する民間の支援組織として発足

4月1日 大阪市音楽団民営化
大阪市の市政改革の一環により、1934年来の市直営が当年3月末で廃止となり、前年12月に発足していた一般社団法人大阪市音楽団の運営に移行した。翌年3月には団名を「Osaka Shion Wind Orchestra」と改称

4月4、6日 宝塚歌劇100周年 夢の祭典「時を奏でるスミレの花たち」(宝塚大劇場)
1914年に宝塚少女歌劇として初公演以来、日舞を取り入れた和製歌劇の上演や、フランス流行のレヴューを日本初上演するなど、和洋兼備のユニークなエンターテインメント文化を発展させて1世紀。同団歴代トップスターが一堂に会し、新旧タカラジェンヌによる宝塚歌劇の100年の歴史を華やかに辿る全3公演が開催された
4月12日~9月19日 第52回大阪国際フェスティバル2014(フェスティバルホール)
新制作の團伊玖磨《夕鶴》公演で開幕。市川右近(演出)、千住博(美術)、森英恵(衣装)といった豪華スタッフが話題を呼んだ。外来団体として、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団(4月13日)、フランス国立リヨン歌劇場管弦楽団・合唱団(6月29日)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(9月19日)が来演。当年のR.シュトラウス生誕150年に因み、大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団が《アルプス交響曲》を取り上げた(4月26日)

5月15日~11月20日 日本テレマン協会「ベートーヴェン ピアノ協奏曲全曲公演」(大阪市中央公会堂 中集会室)
高田泰治(Fp)をソリストとした同協会による全3回のツィクルスで、クラシカル楽器を使用。11月の最終回ではベートーヴェン初期のピアノ協奏曲WoO4(通称0番)が関西初演された
10月11、13日 ザ・カレッジ・オペラハウス 20世紀オペラ・シリーズ 鈴木英明《鬼娘恋首引》、ブリテン《カーリュー・リヴァー》(ザ・カレッジ・オペラハウス)
山下一史指揮、井原広樹演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団・合唱団、西宮少年合唱団
狂言と能という日本の伝統的芸能を素材とした日・英の両オペラの様式的対比を示す斬新な上演。特に《カーリュー・リヴァー》は、当オペラハウスが1999年に手掛けた《アルバート・へリング》から通算5作目となるブリテンのオペラ制作で、20世紀を代表するオペラ作曲家の作品を関西で積極的に上演し続けてきたことは大いに意義のあることであったと言えよう。当公演の成果により平成26年度文化庁芸術祭賞大賞受賞
11月29、30日 堺シティオペラ第29回定期公演 青島広志《黄金の国》(ソフィア・堺ホール)
青島広志指揮、岩田達宗演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、神戸市混声合唱団
遠藤周作の戯曲に基づく青島広志のオペラ処女作(1982年)を上演(同オペラは1983年7月、東京オペラ・プロデュースの公演で関西初演)。本公演の成果により、第35回(2014年)音楽クリティック・クラブ賞本賞受賞

(写真提供:ひかり写真室)
平成27年1月1日 関西音楽新聞より


2015年(平成27年)

大阪音楽大学の歴史

1月23日 平成26年度文化庁芸術祭賞大賞受賞
前年の20世紀オペラ・シリーズ《鬼娘恋首引》/《カーリュー・リヴァー》の公演成果により学校法人大阪音楽大学が受賞。同一部門、同一団体の3度にわたる大賞受賞は他に類を見ない快挙。「狂言と能を題材にした喜劇と悲劇の上演は、両者の見事なバランスと極めて上質な演奏で聴衆に深い感銘を与えた」と評価され、最大の受賞理由にザ・カレッジ・オペラハウス全体のよく練れた緊密なアンサンブルが挙げられた

賞状

3度の芸術祭大賞トロフィー

2月1日 「オペラな庄内」プロジェクト開始
地元庄内西口商店会が町ぐるみで本学の創立100周年を盛り上げる企画として、協賛各店舗で利用特典付きの「庄内サービスパスポート」を発行。本学催しの来場者に配布した
2月21、22日 第26回学生オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》

チラシ

3月21日 DAIONミュージカル《ガラスの戦士》(豊中市立アクア文化ホール)
豊中市との連携により、当年度から同市との共催となった2014年度短大ミュージカル・コースの第4回試演会(昼夜2回公演)。「市民開放」の付随事業として、公演前に7~8回の「ミュージカル・ワークショップ」を実施し、定員を大きく上回る応募者53名が受講した。この事業は豊中市が翌年、「平成27年度文化庁文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業」の助成申請を行い、採択された

3月26日 大学・短大認証評価「適合」認定取得
大学、短大が同時受審し、平成26年度(財)日本高等教育評価機構による認証評価の結果、評価機構の定める評価基準にいずれも「適合」していると認定された

3月29日 新専攻説明会スペシャルイベント開催
「音楽で、はたらこう。」をコンセプトに2016年度より大学に開設することになった「ミュージッククリエーション」と「ミュージックコミュニケーション」の2つの新専攻を紹介するイベントをオープンキャンパスで開催した

ミュージッククリエーション

ミュージックコミュニケーション

4月1日 粟國淳、井原広樹、岩田達宗、三橋貴風、平田オリザ、林伸光、客員教授に就任
中村恵理、岩崎拓矢、客員准教授に就任 田村響、客員講師に就任
新通英洋、望月哲也、小餅谷哲男、林美智子、幸田浩子、特任准教授に就任

4月1日 大学院声楽専攻研究室を改組
当年度入学生よりオペラ・歌曲研究室を声楽研究室に統合した

4月2日 創立100周年記念祝賀会
創立100周年度の幕開きを祝い、教職員向けの祝賀会をオペラハウスとぱうぜにおいて開催した

学生によるファンファーレ演奏

武藤好男学長による挨拶

4月9日 アルベルト・ゼッダに特別名誉教授の称号
第53回大阪国際フェスティバル2015のオペラ公演《ランスへの旅》に出演の本学学生に対し、指揮者として指導をしたことにより、歴代4人目となる特別名誉教授の称号を贈呈した

左から武藤学長、アルベルト・ゼッダ特別名誉教授、中村理事長

同特別名誉教授直筆メッセージ
称号授与への謝意が記されている

4月11日 創立100周年企画展示「創立者 永井幸次」開始
音楽博物館が創立100周年を記念して創立者永井幸次ゆかりの品々を展示、その功績を顕彰した
4月18日 第53回大阪国際フェスティバル ロッシーニ《ランスへの旅》共同制作(フェスティバルホール)

創立100周年を記念して、ザ・カレッジ・オペラハウスが大阪国際フェスティバルの開幕公演を共同制作した。ロッシーニの世界的権威であるアルベルト・ゼッダの指揮のもと、指揮者自らがオーディションで選んだ本学教員・卒業生・学生からなるソリスト、合唱団(カバーキャスト兼)がザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団とともに、ロッシーニ・アカデミー修了生、藤原歌劇団の歌手らと共演した。松本重孝の新演出による上演であった

(公財)朝日新聞文化財団提供

指揮者アルフレード・ゼッダ
(公財)朝日新聞文化財団提供

5月30、31日 第1回豊中音楽コンクール共催
「音楽あふれるまち」を掲げる豊中市が、時代を担う優れた演奏家を発掘・育成し、音楽文化の振興を図る為、音楽コンクールを創設。本学は共催団体として運営協力し、会場提供及び本学教員が審査員を務めた。音楽大学共催のコンクールは全国的にも珍しい。「とよなか音楽月間」参加公演として、11月には受賞者記念コンサートも開催

募集要項

第1回 受賞記念コンサート チラシ

7月21日 新校舎「創立100周年記念館」地鎮祭
キャンパス再編マスタープランの第一段階として策定されていた新校舎建設が6月の理事会で正式に決定。地鎮祭を執り行い、2016年10月完成に向けて工事を開始した

10月15日 創立100周年記念式典(フェスティバルホール)
記念式典とベートーヴェン《交響曲第9番》による特別演奏会を開催し、創立100周年を祝った

記念式典プログラム

特別記念演奏会(フェスティバルホール)

指揮:西本智実教員

10月15日 オリジナルワイン「Opera(オペラ)」製造販売
創立100周年を記念して、仕上げに本学公演のモーツァルトのオペラ《魔笛》を聴かせたオリジナルワインを周辺地域業者と共同製作し、限定販売を行った

10月30日、11月1日 創立100周年記念オペラ ヴェルディ《ファルスタッフ》

創立100周年を記念する演目として、オペラハウスこけら落とし公演と同じ《ファルスタッフ》を選んだ。日本初のオペラハウスを開場した記念すべき演目で100周年を祝うとともに、四半世紀にわたる本学のオペラ活動の蓄積を集約したいとの意図によるものであった。指揮は初登場となる下野竜也、演出は岩田達宗。注目を集めたこの公演は高く評価され、前年に続いて文化庁芸術祭賞優秀賞(大賞なし)を受賞した
10月31日~11月1日 大学祭「オンガクノワ2015」

11月15日 DAIONセンチュリーパレード&コンサート
創立100周年を祝って、本学卒業生が指導する中学高校の吹奏楽部10校約700名が豊中南消防署から商店街を通って大学まで演奏しながらパレードし、オペラハウスで祝祭コンサートを行った。商店街や沿道は多くの人でにぎわい、地域をあげての祝福ムードが盛り上がった
11月30日 学長選挙 武藤好男を再選
平成27年度 特別講義
特別講義

西本智実
(7月9、10日オーケストラ)

ユルンヤーコブ・ティム
(10月19、20日弦楽器)

パトリック・ジグマノフスキー
(12月18日ピアノ)

当年度は、この他に以下の特別講義・公開レッスンを開催。
  • 4月6日、全8回:幸田浩子(声楽)
  • 4月13日、全7回:林美智子(声楽)
  • 4月27日、全7回:望月哲也(声楽)
  • 5月11日:岩崎洸(チェロ)
  • 5月12日:ヴォルフガング・ヴィフプラー(ホルン)
  • 5月14、15日:シャオ・サイモン(弦楽器)
  • 6月1日:堀江政生(大学院ピアノ)
  • 6月3日:ドミニック・ヴィダル(作曲)
  • 6月8日:バジル・クリッツァー (トロンボーン)
  • 6月8日:アオンソニー・プログ (トランペット)
  • 7月1日:片岡雄三(ジャズ)
  • 7月4日:澤和樹 (弦楽器)
  • 7月13日:熊本佳永(声楽)
  • 7月22日、'16年1月28日:ヨズア・バルチュ(声楽)
  • 7月23日:水中豊太郎(テューバ)
  • 9月9日:レックス・マーティン(金管)
  • 9月16日:ヤツェック・クリムキェーヴィッチ(弦楽器)
  • 9月16日:小林秀子(弦楽器)
  • 9月24日:マインハルト・プリンツ(ピアノ)
  • 10月5日:工藤重典(フルート)
  • 10月13日:アルバロ・コヤオ・レオン(サクソフォン)
  • 10月16日:ギリアード・ミショリ(ピアノ)
  • 10月26、27日:リー・カムシン(大学院ピアノ
  • 11月4日、全4回:松田康子(ピアノ)
  • 11月6日:福田清美(声楽)
  • 11月6日:三橋貴風(邦楽)
  • 11月9日:松原友(声楽)
  • 11月10日:ファブリス・モレッティ(サクソフォン)
  • 12月19日:フローラン・エオー(クラリネット)
  • 12月22日:佐藤淳一(サクソフォン)
パイオニアとして歩み続けた1世紀
1915年(大正4年)10月15日。授業開始日のその日は金曜日で、校則により男子生徒の授業であった(当時、男女共学は許されなかったため月水金曜は男子、火木土曜は女子とされていた)。ちょうど狩猟の解禁日で、早朝から淀川、築港あたりで銃声が鳴り響いていたという。それから100年──2015年(平成27年)10月15日木曜日。本学にとって歴史的な一日となるこの日、大阪は穏やかな秋晴れに包まれた。
1958年(昭和33年)の四年制大学昇格の時以来、記念すべき日を迎えてきた中之島フェスティバルホールで、創立100周年の記念式典と特別演奏会を開催した。式典には来賓、本学関係者、卒業生、在学生ら約1,500名が出席。開会の辞が宣言され、池田重一教員指揮の力強いファンファーレで式典が始まった。国歌斉唱の後、中村孝義理事長が式辞を述べ、スクリーンに投影した写真とともに本学100年の歩みについて、「関西音楽界の発展の中に本学の歴史を刻んで来た」と語った。そして、「新音楽 新歌劇ノ発生地タラン」という建学の精神を受け継ぎ、本学から日本の音楽文化を牽引していきたいとの決意を力強く宣言した。。
続いて武藤好男学長が101年目に開設する2つの新専攻と将来の展望、社会における芸術の貢献について述べた。来賓の挨拶が続き、学生、卒業生、教員、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団・同合唱団による特別編成の「大阪音楽大学創立100周年記念管弦楽団・同合唱団」が上塚憲一教員の指揮でエルガー《威風堂々》を祝奏。最後は100年歌い継がれた創立者永井幸次作詞作曲の校歌が出席者全員の演奏で会場を満たし、厳かに式典を締めくくった。
式典後に開催した創立100周年記念特別演奏会では、さらに増員した「大阪音楽大学創立100周年記念管弦楽団・同合唱団」総勢約300名が、ホールを埋めた約2,000人の聴衆を前に、卒業生の西本智実客員教授の指揮で100周年を祝う「歓喜の歌」を高らかに演奏した。
「大正四年 豊秋に わが大君は 高御座 のぼりまししを ことほぎて 開き始めし このまなびや」──本学校歌にあるように、この年の11月に大正天皇の即位儀礼である御大典が行われた。このめでたき日に向けて文部省が募集した《御大典奉祝唱歌》に応募した永井の作品が、応募総数1,629曲の中から選外第一席(佳作)に選ばれた。小学唱歌には程度が高すぎると承知していたが、西洋人などに聞かれてもはずかしくない曲だとして、永井はこの曲を当時まだ申請中であった本学の校歌にすることを思いつく。そして自ら付したのが先の歌詞である。この受賞により手にした賞金百円が学校設立の基金となった。同年10月5日に大阪府から認可が下り、11日に開校。15日が冒頭に述べた授業開始日であり、この日をもって創立日と定めた。校長となった永井41歳の時である。大阪市に寄贈された南区塩町(現・南船場)の医師藤中泰の旧邸を市から無償で借り受け、木造2階建て、和室5部屋の教室兼練習室に自身のピアノ1台、オルガン2台を運び込み、本学の歴史が始まった。
以来、音楽不毛といわれた大阪の地に、永井は生涯をかけて関西音楽界を切り拓き、本学創立から半世紀の1965年(昭和40年)、この世を去った。永井亡き後の半世紀、本学はその大志が刻まれた建学の精神を受け継ぎ、次々に創立者の夢を実現した。音楽幼稚園、大学院設立、邦楽やジャズ・ポピュラー部門の導入、そして日本初のオペラハウスの建設。それらはまさに永井が歩んだパイオニアとしての道を追求し続けるものであった。大学、短大、大学院を擁する関西唯一の音楽単科大学として、のべ35,000人を超す音楽人を世界に送り出し、創立100周年を迎えた。「世界音楽 並ニ 音楽ニ関連セル諸般ノ藝術ハ 之ノ学校ニヨッテ統一サレ…」と永井が願った言葉の通り、現在、本学にはクラシック、邦楽、ジャズ、ポピュラー、電子オルガン、ミュージカル、ダンスパフォーマンスまで大学、短大合わせて15の専攻・コースがある。そして創立から101年目を迎える今、新校舎設立、大学に2つの新専攻開設と、これからの100年に向かってまた一歩、次なる道を進もうとしているのである。
2015年度 創立100周年記念プロジェクト
創立100周年を迎える最終年度となり、さらに総力を挙げて多彩な公演を展開。10月15日の創立記念日から年度末まで6つの特別演奏会を開催した。
テーマ:「未来×音楽」(音楽の未来形)
大阪音楽大学が提案する音楽の未来形。音楽による世界との連携、世界への貢献、、世界への発信の新たな可能性

(1)シンポジウム・講演
なし

(2)オペラ公演
4月18日 創立100周年記念共同制作オペラ公演 第53回大阪国際フェスティバル2015 ロッシーニ《ランスへの旅》(フェスティバルホール)(年表掲出)
主催:朝日新聞文化財団、朝日新聞社、フェスティバルホール、大阪国際フェスティバル協会、日本オペラ振興会(藤原歌劇団)、ニッセイ文化振興財団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウス
指揮:アルベルト・ゼッダ、演出:松本重孝、公演監督:荒田祐子教員

(3)大阪音楽大学定期演奏会
12月6日 大阪音楽大学第58回定期演奏会
指揮:大通英洋
(4)学生オペラ
2月20、21日 第27回学生オペラ《ドン・ジョヴァンニ》
指揮:新通英洋教員、演出:中村敬一教員
(5)2015年度記念重点演奏会─大阪音楽大学が提案する音楽の未来形。音楽による世界との連携、世界への貢献、世界への発信の新たな可能性─

創立100周年記念特別演奏会

10月15日 大阪音楽大学創立100周年記念特別演奏会(フェスティバルホール)(年表掲出)
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
指揮:西本智実教員、独唱:石橋栄実教員(Sop) 竹本節子(Alt) 望月哲也教員(Ten) 田中勉教員(Bar)

10月30日、11月1日 創立100周年記念オペラ ヴェルディ《ファルスタッフ》(年表掲出)
指揮:下野 竜也、演出:岩田達宗教員
平成27年度(第70回)文化庁芸術祭優秀賞受賞(洋楽は大賞なし)

11月18日 第66回文化庁芸術祭賞受賞記念 岡原慎也 ピアノリサイタル

11月26日 第65回文化庁芸術祭賞受賞記念 田中勉 バリトンリサイタル

12月21日 デュオ「エオー=ジグマノフスキー」リサイタル

3月6日 大阪音楽大学創立100周年記念吹奏楽特別演奏会(フェスティバルホール)
指揮:井上道義

ジャズ・ポピュラー関係特別演奏会
2016年1月31日 ポピュラー特別演奏会(サンケイホールブリーゼ)

関西音楽の歴史

2月28日、3月1日 関西二期会創立50周年記念 第82回オペラ公演 團伊玖磨《夕鶴》(メイシアター大ホール)
時任康文指揮、中村敬一演出、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、メイシアター少年少女合唱団
前年に創立50周年を迎えた同会の記念事業の一環で、定期公演における同会初の《夕鶴》上演であった

関西二期会提供『関西二期会創立50周年記念誌』より

4月18日~11月25日 第53回大阪国際フェスティバル2015(フェスティバルホール)
本学の創立100年記念共同制作オペラ公演「ロッシーニ《ランスへの旅》」(新演出)で開幕(大阪国際フェスティバル、フェスティバルホール、ザ・カレッジ・オペラハウス、藤原歌劇団などによる共同制作)。

当オペラの関西初の本格的な舞台上演にして、1世紀を誇る本学の記念事業として当フェスティバルの歴史に足跡を残すメモリアルな公演となった。外来オーケストラとして、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(10月2日)やミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(11月25日)が来演。在阪の主要オーケストラ4団体が連携し、1つの舞台で交互に演奏する「大阪4大オーケストラの饗演」(4月22日)という当地ならではの画期的なコンサートも反響を呼んだ
5月28日 大阪市が「なにわの芸術応援募金」開始

6月4日 ヨナス・カウフマン関西初公演(ザ・シンフォニーホール)
世界的な人気を誇るドイツ人テノール歌手で、初来日は2000年。2003年の再来日以後2011年及び2014年に来日が予定されるも実現せず、12年振りとなった当年の日本ツアーにおいて初の来阪公演が行われた

6月28日 大阪コレギウム・ムジクム創立40周年記念 第25回現代音楽シリーズ 「千原英喜と宮沢賢治~その魅力の音世界~」(いずみホール)
本学出身の当間修一が演奏団体「大阪コレギウム・ムジクム」を結成して40周年にあたり、これを記念して大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団による定期公演(第49回)を開催。同団体と多数の共同制作を行ってきた作曲家(本学教員)千原英喜の作品個展となった
7月14~26日 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2015 ヴェルディ《椿姫》(兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)
佐渡裕指揮、ロッコ・モルテッリーティ演出、兵庫芸術文化センター管弦楽団、ひょうごプロデュースオペラ合唱団
同センター開館10周年を記念した公演で、関西では異例のマチネーのみの全10公演を行い話題を呼んだ

リーフレット表紙

平成27年12月
ひょうご舞台芸術特別号より

9月5日 里井宏次&The TARO Singers 20周年記念コンサート《ア・カペラの芸術》(ザ・シンフォニーホール)
本学教員の里井宏次のもと本学卒業生を主体として結成され、1998年よりア・カペラに取り組んできた当合唱団が演奏活動を展開して20年。大阪アーティスト協会設立30周年記念日スペシャルコンサートの一環として開催された
9月13日 ロームシアター京都竣工
多目的公立文化ホールとして1960年に開館した京都会館が、老朽化のため2013年9月より再整備が施され、リニューアル竣工。ローム株式会社が命名権を取得し当ネーミングライツ名称となった(再整備後50年間)。同シアターは、オペラなどにも対応するメインホール(2005席)のほか、中規模のサウスホール(716席)、新設された小規模のノースホール(200席)などを有する総合劇場として、翌2016年1月10日に開館

ロームミュージックフェスティバル
​パンフレット裏表紙より

10月15日 大阪音楽大学創立100年記念特別演奏会(フェスティバルホール)
本学創立100周年記念日に際し、「建学の精神」に育まれた学生や卒業生らによる特別編成管弦楽団・合唱団が、西本智実(本学客員教授)の指揮によりベートーヴェン《交響曲第9番「合唱付き」》を祝奏した

11月20、22日 戦後70年 信時潔没後50年記念 交声曲《海道東征》(ザ・シンフォニーホール)


大阪生まれの作曲家・信時潔の没後50年を記念した公演。信時が戦時ナショナリズムのさなかの1940年に皇紀2600年奉祝曲として作曲、日本初のカンタータとなった交声曲《海道東征》(北原白秋詩)などが演奏され注目を浴びた。当公演は「戦後70年」と銘打たれており、同じくこの戦後メモリアルとして、翌12月には広島原爆投下を題材としたアールトネンの《交響曲第2番「HIROSHIMA」》が、井上道義指揮大阪フィルにより本邦初演以来60年振りに再演された(兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)