高校生が「音づくりの本質」に触れた出張授業

常翔学園高等学校にて
「どちらの映像に合う音楽だと思いますか?」——スクリーンに映し出された2つの映像を前に、教室がざわめきました。2026年7月6日、常翔学園高等学校(大阪市旭区)の2年生を対象に実施した出張模擬授業のテーマは、「音楽制作体験 ―DAWを使った打ち込みとアレンジ」。本学クリエイター専攻の授業内容を高校生向けに凝縮し、実演と体験を通して音楽制作のプロセスを直接感じてもらう機会となりました。

川崎泰弘 特任准教授
授業を担当したのは、本学で指導にあたる作曲家・川崎泰弘氏。AKB48やU-KISS、伊東歌詞太郎、ジェル(すとぷり)、山崎あおいなどの作品を手がけるほか、番組ジングルやCM音楽、施設ショー、ゲーム・アプリ・テレビ番組のBGM制作など、多岐にわたる分野で活動しています。冒頭では、音楽の仕事に携わるまでの道のりや現在の制作環境についても語られ、仕事をしながら音楽を学び、お金をもらって仕事を任されるようになるまでの"修業期間"があったことなど、実際のキャリアの歩みが高校生に丁寧に伝えられました。
音で印象が変わる ― 音楽の役割を体感するクイズとプロの現場
授業はまず、2つの映像を並べて音楽を鳴らし、どちらの映像に合うかを考えるワークから始まりました。生徒たちは使われている楽器や曲調から映像との関係性を読み取り、答え合わせでは多くの生徒の予想が実際の組み合わせと一致したり、半数に分かれたりしました。音楽が持つ「情報を補い、没入感を高める」力を、生徒たちは理屈より先に、体で理解した瞬間でした。

続いて、川崎氏が実際に手がけたCM音楽やゲーム音楽のプロジェクトデータを公開し、プロの現場でどのように曲が組み立てられていくのかが解説されました。
紹介されたのは、過去に手がけたスマホアプリゲームのCM音楽で、夜のたき火を見つめる男性が主人公のシーン。まずは映像だけ流して、正解の音楽のほかに雰囲気の異なる音楽を当ててみせました。映像の印象がホラーのように様変わりするなどして、教室には笑いと驚きが広がりました。「同じ映像でも、音を変えるだけでここまで印象が変わる」――その一瞬のギャップに、生徒たちは音楽の力を強く実感した様子でした。
正解の音楽では、映像に合わせて音色を選び、生演奏では難しい表現をDAWならではの加工で補っていく手法が示されました。1曲の完成形には100以上のトラックが使われることもあるといい、その緻密さに生徒たちは驚いた様子でした。また、発注書にはキャラクター設定や参考曲が添えられ、それをもとに一から曲を作り上げていくという、依頼から完成までの流れも見えてきました。
紹介されたのは、過去に手がけたスマホアプリゲームのCM音楽で、夜のたき火を見つめる男性が主人公のシーン。まずは映像だけ流して、正解の音楽のほかに雰囲気の異なる音楽を当ててみせました。映像の印象がホラーのように様変わりするなどして、教室には笑いと驚きが広がりました。「同じ映像でも、音を変えるだけでここまで印象が変わる」――その一瞬のギャップに、生徒たちは音楽の力を強く実感した様子でした。
正解の音楽では、映像に合わせて音色を選び、生演奏では難しい表現をDAWならではの加工で補っていく手法が示されました。1曲の完成形には100以上のトラックが使われることもあるといい、その緻密さに生徒たちは驚いた様子でした。また、発注書にはキャラクター設定や参考曲が添えられ、それをもとに一から曲を作り上げていくという、依頼から完成までの流れも見えてきました。

DAWを使った音楽制作体験 ― 音が「自分の手で変わる」瞬間
続いては、本学の授業でも使用しているDAWを使った音楽制作体験です。題材は星野源の「恋」。メロディとコードを打ち込んだ状態から、ドラム、ベース、ギターなどのパートを高校生が順番に入力していきました。
リズムのずれを一括で修正したり、ミスした部分だけを打ち直したり、トレモロやディレイで雰囲気を変えたり――。「実際の生演奏ではできないこともできるのがDAWの面白いところ」と川崎氏は語りました。
さらに、歌声合成ソフトを使い、同じメロディを複数の声質で歌わせるデモも披露されました。声のパラメーターを変えるだけで印象が大きく変わることに、生徒たちは興味深そうに耳を傾けていました。
リズムのずれを一括で修正したり、ミスした部分だけを打ち直したり、トレモロやディレイで雰囲気を変えたり――。「実際の生演奏ではできないこともできるのがDAWの面白いところ」と川崎氏は語りました。
さらに、歌声合成ソフトを使い、同じメロディを複数の声質で歌わせるデモも披露されました。声のパラメーターを変えるだけで印象が大きく変わることに、生徒たちは興味深そうに耳を傾けていました。

質疑応答 ― 音楽を学ぶこと・仕事にすることへの関心が広がる
質疑応答の時間には次々と率直な質問の声が上がりました。
💭音楽の道に進んだきっかけは?
大学時代、初音ミクの登場や軽音ブームと重なり、趣味として始めたバンド活動が音楽との出会いだったという川崎氏。その後、作曲を続ける中でネットに公開した曲が作家事務所の目に留まり、AKB48への楽曲提供につながったという経緯を明かしました。
大学時代、初音ミクの登場や軽音ブームと重なり、趣味として始めたバンド活動が音楽との出会いだったという川崎氏。その後、作曲を続ける中でネットに公開した曲が作家事務所の目に留まり、AKB48への楽曲提供につながったという経緯を明かしました。
💭受験に必要な知識は?大学で学ぶ内容は?
入学者選抜では、楽典の基礎的な知識が確認されます。入学後はコード進行、メロディの書き方、楽器演奏、吹奏楽授業など、作曲に必要な基礎から応用まで体系的に学べる仕組みが紹介されました。ピアノやギターなど、作曲に役立つ楽器の個人レッスンも受講できます。
入学者選抜では、楽典の基礎的な知識が確認されます。入学後はコード進行、メロディの書き方、楽器演奏、吹奏楽授業など、作曲に必要な基礎から応用まで体系的に学べる仕組みが紹介されました。ピアノやギターなど、作曲に役立つ楽器の個人レッスンも受講できます。
💭DJになるにはどうしたらいい?
DJを志望する生徒からの質問には、リミックス制作をネットに公開し、横のつながりを広げながらイベント出演の機会を得る現代的な方法が紹介されました。本学にもDJ活動を行う学生が多く、仲間と協力しながら活動を広げている実例も挙げられました。
DJを志望する生徒からの質問には、リミックス制作をネットに公開し、横のつながりを広げながらイベント出演の機会を得る現代的な方法が紹介されました。本学にもDJ活動を行う学生が多く、仲間と協力しながら活動を広げている実例も挙げられました。
💭作曲で大切にしていることは?
川崎氏は「曲が生まれることで世界が少しでも変わるかどうか」を意識していると明かしました。AKB48への楽曲提供につながる以前、最初の仕事は、スキルマーケットサービスを通じて依頼された、「結婚10年目を迎える奥様へのオリジナル曲」の制作。依頼者はアコースティックギターの弾き語りはできるものの、それ以外の楽器やアレンジはできないため、その部分を手伝う形で完成させたといいます。この曲が依頼者とその奥様に深く喜ばれた経験や、ライブ現場で自身の曲が空気を変える瞬間を重ねてきたことを振り返りました。
川崎氏は「曲が生まれることで世界が少しでも変わるかどうか」を意識していると明かしました。AKB48への楽曲提供につながる以前、最初の仕事は、スキルマーケットサービスを通じて依頼された、「結婚10年目を迎える奥様へのオリジナル曲」の制作。依頼者はアコースティックギターの弾き語りはできるものの、それ以外の楽器やアレンジはできないため、その部分を手伝う形で完成させたといいます。この曲が依頼者とその奥様に深く喜ばれた経験や、ライブ現場で自身の曲が空気を変える瞬間を重ねてきたことを振り返りました。
💭音楽を仕事にする難しさと可能性
「音楽の仕事は難しい印象がある」という声には、作曲家は実際には人手不足であり、現在ではSNSでの発信をきっかけに仕事につながる例がほとんどだと川崎氏が答えました。川崎氏の教え子の中には、好きなゲーム音楽の作曲家にSNSのダイレクトメッセージで連絡を取ったことがきっかけでやり取りが始まり、師弟のような関係を築きながら、その作曲家の仕事を手伝うようになった学生もいるといいます。
「音楽の仕事は難しい印象がある」という声には、作曲家は実際には人手不足であり、現在ではSNSでの発信をきっかけに仕事につながる例がほとんどだと川崎氏が答えました。川崎氏の教え子の中には、好きなゲーム音楽の作曲家にSNSのダイレクトメッセージで連絡を取ったことがきっかけでやり取りが始まり、師弟のような関係を築きながら、その作曲家の仕事を手伝うようになった学生もいるといいます。
💭作曲を学ぶ環境ならではの魅力
本学には授業を横断して学べる環境があり、他の学年や専攻の授業も聴講できることなどが紹介されました。加えて、作曲は身近に同じ道を志す仲間がいないまま始める人がほとんどですが、本学に入れば同学年だけで約50人の作曲家を目指す仲間に出会えることに触れ、そうした環境が学生同士のネットワークとして仕事にもつながっていくと説明しました。
本学には授業を横断して学べる環境があり、他の学年や専攻の授業も聴講できることなどが紹介されました。加えて、作曲は身近に同じ道を志す仲間がいないまま始める人がほとんどですが、本学に入れば同学年だけで約50人の作曲家を目指す仲間に出会えることに触れ、そうした環境が学生同士のネットワークとして仕事にもつながっていくと説明しました。
大学としての学びを高校生へ
授業終了後、打ち込みを体験した生徒は「ふだんギターを演奏していますが、実際に弦を弾くのと違って、キーボードを指で打ち込むだけで済むのはとても簡単でした。ミスしてもすぐ修正できるのもDAWのいいところ。先生が作ったゲームCMの曲を聴いて、ゲームそのものではなくCMの雰囲気に合わせて作られた音楽だと知り、驚いた」と嬉しそうに話していました。
「曲が生まれることで世界が少しでも変わるかどうか」――川崎氏が作曲において大切にしているというその視点は、この日の授業そのものにも重なるものでした。本学はこれからも新しい音楽との出会いの場を広げてまいります。
「曲が生まれることで世界が少しでも変わるかどうか」――川崎氏が作曲において大切にしているというその視点は、この日の授業そのものにも重なるものでした。本学はこれからも新しい音楽との出会いの場を広げてまいります。

川崎 泰弘(Yasuhiro Kawasaki)
キャットミュージックカレッジ専門学校 総合音楽専攻卒業。AKB48、U-KISS、伊東歌詞太郎、ジェル(すとぷり)、山崎あおい等、現代に活躍するアーティストの作編曲を多数担当。「オールナイトニッポン0」ジングル、「ハウステンボス」CM楽曲、「須磨海浜水族園」イルカショーBGM、その他ゲーム・アプリ・テレビ番組のBGMを制作。音楽制作チーム「Atelier LadyBird」名義での自身の楽曲制作も継続的に行っている。ゲーム主題歌、舞台主題歌の他、アイドル、シンガーへの楽曲提供、企業VPのBGMなどを広く手掛ける。代表曲「バルーン」はYouTube再生数300万回を突破。ボーカル楽曲の制作においては特に、コライト(共作)を積極的に行う。シンガーソングライター、スタジオミュージシャン、音楽講師、声優、役者など、様々な「得意」を結集することでクオリティの向上を図るとともに、それぞれの分野で活躍する素晴らしい才能を世に届けることも信念としている。大阪音楽大学音楽クリエイター専攻の特任准教授に就任。
キャットミュージックカレッジ専門学校 総合音楽専攻卒業。AKB48、U-KISS、伊東歌詞太郎、ジェル(すとぷり)、山崎あおい等、現代に活躍するアーティストの作編曲を多数担当。「オールナイトニッポン0」ジングル、「ハウステンボス」CM楽曲、「須磨海浜水族園」イルカショーBGM、その他ゲーム・アプリ・テレビ番組のBGMを制作。音楽制作チーム「Atelier LadyBird」名義での自身の楽曲制作も継続的に行っている。ゲーム主題歌、舞台主題歌の他、アイドル、シンガーへの楽曲提供、企業VPのBGMなどを広く手掛ける。代表曲「バルーン」はYouTube再生数300万回を突破。ボーカル楽曲の制作においては特に、コライト(共作)を積極的に行う。シンガーソングライター、スタジオミュージシャン、音楽講師、声優、役者など、様々な「得意」を結集することでクオリティの向上を図るとともに、それぞれの分野で活躍する素晴らしい才能を世に届けることも信念としている。大阪音楽大学音楽クリエイター専攻の特任准教授に就任。











