山口莉奈“SNS&MUSIC Special Talk!” SNSを活用して『音楽』を仕事にするには?

2026年3月22日(日)大阪音楽大学にてトークイベント「山口莉奈“SNS&MUSIC Special Talk!” SNSを活用して『音楽』を仕事にするには?」が行われました。日本を代表するギタリスト山口莉奈さんの経歴を振り返ると共に、SNSを活用した活動を紹介して頂きました。
| 山口莉奈プロフィール 濱田圭、藤井敬吾、福田進一各氏に師事。2013年大阪音楽大学クラシックギター専攻、特待生入学。2017年3月に同大学卒業、並びに優秀賞受賞。 ・第22回山陰ギターコンクールプロフェッショナル部門優勝 ・第42回ギター音楽大賞、大賞部門優勝、大阪府知事賞受賞 ・第26回名古屋ギターコンクール優勝 ・第50回クラシカルギターコンクール優勝 と数々のコンクールで優勝経験を持つ。2020年 兵庫県立芸術文化センター 主催の「ワンコイン・コンサート」に選出され、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールでソロコンサートを行う。2025年兵庫県立芸術文化センター主催の「ドリーム・コンチェルト 2025」に出演。兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで世界的に活躍されている原田慶太楼マエストロと協演。 ▸ ホームページ ▸ YouTube |
Q&A「受験生~卒業後まで」

受験生時代について
山口さんは何歳からギターを始めましか?また、いつ頃にプロになることを意識しましたか?
8歳からギターを始めました。プロを目指していたというよりも、もともと『人の心を動かす職業に就く』ことが幼い頃からの目標でした。そして音楽を突き詰めていたら知らず知らずの内にこのようになりました。
高校生の時に大阪音楽大学附属の音楽院(進学コース)に通っていましたが、きっかけはなんですか?
大学受験のためです。楽典、ソルフェージュを大学の先生から教えてもらえることはすごく良いことだと感じたからです。西洋音楽史の授業も年に2回(※当時)ありました。またクラシックギターのレッスンも受けていました。
大阪音楽大学 学生時代について
大阪音楽大学の学生生活について教えて下さい。
時間があれば練習室で練習をしていました。授業が終わった後にアルバイトもしていたため、空いている時間に授業で出された課題とコンクールの曲の練習をしていました。とても忙しかったです。
練習室が空いていなかった時や練習する気持ちが下がっていた時は、視聴覚室(※現在は図書館内)で洋画やミュージカルの映画をよく観ていました。レコードも聴けるようになっており、アンドレス・セゴビアの演奏もよく聴いていました。この経験も現在の表現の部分に活かされています。
そして音楽ホールを利用した発表会などを通してステージマナーを学ぶことができました。また、自分がリーダーとして発表会運営をすることや他専攻の友人との共演が現在の活動に役立っています。
練習室が空いていなかった時や練習する気持ちが下がっていた時は、視聴覚室(※現在は図書館内)で洋画やミュージカルの映画をよく観ていました。レコードも聴けるようになっており、アンドレス・セゴビアの演奏もよく聴いていました。この経験も現在の表現の部分に活かされています。
そして音楽ホールを利用した発表会などを通してステージマナーを学ぶことができました。また、自分がリーダーとして発表会運営をすることや他専攻の友人との共演が現在の活動に役立っています。

印象に残った授業はありますか?
「楽曲分析」では作曲者の意図を知る事で演奏者以外の視点からも音楽を考えるようになりました。
「西洋音楽史」や「音楽美学」の授業でも考え方が広がりました。「音楽美学」では『ノイズって何だろう?』という問いを全員に聞き、学生全員が違う回答を求められました。その中でノイズも音楽と捉えられる場合もあることに気づかされ、色々考えるきっかけとなりました。
「西洋音楽史」や「音楽美学」の授業でも考え方が広がりました。「音楽美学」では『ノイズって何だろう?』という問いを全員に聞き、学生全員が違う回答を求められました。その中でノイズも音楽と捉えられる場合もあることに気づかされ、色々考えるきっかけとなりました。
将来について悩むことはありましたか?
毎日悩んでいました。「将来への正解がない」特殊な世界のため、自分で目標を決めて、どのように進んでいくのか決断するしかないと思っていました。あまり考えると立ち止まってしまうことになり、時間がもったいないので、「コンクールで優勝する」ことを目標にして日々の練習を丁寧にこなしていきました。
コンクールについて
なぜコンクールを受けようと思いましたか?
音楽で仕事をするためには「コンクール優勝」という経歴が必要だと思っていたからです。
そしてコンクールはさまざまな場所で開催されます。いろんな場所で私の名前を知ってもらえるチャンスだと思っていました。名前を知ってもらい、実際に関西だけではなく、全国各地で演奏ができるようになりました。
そしてコンクールはさまざまな場所で開催されます。いろんな場所で私の名前を知ってもらえるチャンスだと思っていました。名前を知ってもらい、実際に関西だけではなく、全国各地で演奏ができるようになりました。
数多くのコンクールに優勝されていますが、優勝した時のことを教えて下さい。
優勝したコンクールのほとんどでゾーンに入れた感覚がありました。楽器を演奏される皆さんならきっと分かってもらえると思いますが、精神も体力も良好で尚且つ集中力が研ぎ澄まされないとゾーンには入れません。とても貴重な体験ができました。
コンクールを受けようとしている人にアドバイスをするとしたら?
とにかく丁寧に練習することと、早めに練習を始めることです。
卒業後について
卒業後はどうされていましたか?
音楽は修行だと思っています。卒業後は学生時代にアルバイトしていたところを継続し、先生にレッスンを受け、とにかくたくさんのマスタークラスを受けに行き、コンサートもたくさん聴きに行きました。また、卒業から1年後くらいからレッスンを始めました。
SNSについて

山口莉奈さんのYouTubeとInstagram、X、ブログなどの「解説動画」「演奏動画」「オンラインレッスンの広告」を例に挙げ、企画の組み立て方や苦労した所、ポイントをご紹介頂きました。
見やすい動画にするための工夫や、丁寧に行き届いた解説・説明が確実にフォロワーを獲得することにも繋がっているようでした。
見やすい動画にするための工夫や、丁寧に行き届いた解説・説明が確実にフォロワーを獲得することにも繋がっているようでした。
SNSの活動で良かったことを教えて下さい。
SNSがなければ、今のお仕事はできていません。全て良かったです。YouTubeやInstagramを見て、実際にレッスンのお申し込みに繋がっていますし、コンサートにも来て下さっています。
オンラインレッスンについて
オンラインレッスンを展開するにあたっての様々な工夫をご紹介頂きました。SNS投稿もですが、対象者となる層をしっかり意識することが需要を的確に捉えることに繋がっていると感じました。

どのような年齢層の方が受講されていますか?
小学生からご高齢の方までです。
どういった方が受講していますか?
私に習いたいからと言って下さる方が多いです。そして夜の時間帯もレッスンをしているため、仕事が忙しくても夜に受講できる。また近くにギター教室がないからという方もいらっしゃいました。
オンラインレッスンの強味はなんでしょうか?
受講生には日本各地はもちろんですが、時差を考慮すれば海外までレッスンの幅を広げられる所です。レッスンする場所代がいらない点もメリットです。
生徒を増やすための工夫をしていますか?
はい。私は初級者~中級者の方々に目に留まるように宣伝しています。そういう方たちが興味のありそうなテーマの動画の投稿にも力を入れています。また、オンラインレッスン受講の流れを説明するブログや動画を通して安心して頂けるようにしています。
演奏活動について
全国で演奏活動をされている山口さん。取り分け思い出深いコンサートについてお伺いしました。

「目標を掲げることで夢が現実に繋がった」お話があるそうですが、聞かせて下さい。
高校生の時に兵庫県立芸術文化センター大ホールでピアニストの辻井伸行さんのコンサートに行く機会がありました。大きなホールが満席で、演奏が始まった瞬間、たった1音で聴衆を魅了するものでした。また音楽が好きという気持ちが全面に出ているようでした。私を含め多くの方が感動して泣いていました。そして終演後のスタンディングオベーションは拍手の振動が凄かったです。当時『人の心を動かす職業に就きたい』ことを漠然と考えていましたが、その時に、このホールでクラシックギターを演奏し、多くの人に感動してもらうことこそ自分のやりたい事だと確信しました。
その後大阪音楽大学を入学、卒業し、活動する中でクラシックギターでは大ホールで弾く機会は来ないだろうと思っていました(※クラシックギターは音量面や集客面から小ホール規模で行われることが多い)。ですが、なんと兵庫県立芸術文化センター大ホールで行われる「ワンコインコンサート」という企画のオファーがきたのです。
凄く嬉しい反面、不安は拭えませんでした。そして本番を迎えました。演奏を始めると、ギターの音をホールが温かく包み込むような感覚でした。スッと不安はなくなり、なんとか自分の音をここに残したい!と思い、表現することに集中しました。演奏後多くの温かいメッセージを頂きました。まだまだ自分は未熟であると感じながらですが、一つ夢が叶いました。
その後、(2025年)兵庫県立芸術文化センター主催のコンサート「ドリーム・コンチェルト」において原田慶太楼マエストロのもと、テデスコのギター協奏曲を弾く機会を頂きました。マエストロと素晴らしいオーケストラのみなさまと共演できて大変光栄な瞬間でした。
その後大阪音楽大学を入学、卒業し、活動する中でクラシックギターでは大ホールで弾く機会は来ないだろうと思っていました(※クラシックギターは音量面や集客面から小ホール規模で行われることが多い)。ですが、なんと兵庫県立芸術文化センター大ホールで行われる「ワンコインコンサート」という企画のオファーがきたのです。
凄く嬉しい反面、不安は拭えませんでした。そして本番を迎えました。演奏を始めると、ギターの音をホールが温かく包み込むような感覚でした。スッと不安はなくなり、なんとか自分の音をここに残したい!と思い、表現することに集中しました。演奏後多くの温かいメッセージを頂きました。まだまだ自分は未熟であると感じながらですが、一つ夢が叶いました。
その後、(2025年)兵庫県立芸術文化センター主催のコンサート「ドリーム・コンチェルト」において原田慶太楼マエストロのもと、テデスコのギター協奏曲を弾く機会を頂きました。マエストロと素晴らしいオーケストラのみなさまと共演できて大変光栄な瞬間でした。
日本各地で演奏活動を行っていますが、SNSでの活動が役立っていますか?
はい。もちろんです。コンサートの主催者の方は集客についてとても敏感です。SNSで宣伝ができるとより多くの方に目が止まることになります。主催者の方から私の投稿を見てお申し込みされた方が何人もいましたよと、よく言っていただけます。そして演奏者はその次のお仕事に呼んでもらえるかどうかもとても重要です。SNSでの影響力を強くしておくと今後にも繋げやすいと実感しています。
音楽を仕事にするみなさまへ

振り返ってみて、音楽を仕事をするにあたって必要なスキルはなんでしょうか?
考えることです。私が今まで出会ってきた人の中で、仕事ができる人や演奏が上手な人、人として尊敬できるなと感じた人は皆「考える」ことに長けている人でした。
それはどのような考え方でしょうか?例を挙げて頂けますか?
例えば、演奏をすることもレッスンをすることも必ず「相手」がいます。相手の立場になって考えてみることです。また、演奏であれば、相手にどのようにすれば作曲家の意図が伝えられるのか。レッスンであれば、どのように伝えれば弾けていないフレーズが弾けるようになるのか。などです。
音楽を仕事にする(したい)皆さんへ一言メッセージをお願いします。
大前提として演奏の技術を高めることが大切です。
自分で自分をプロデュースすることができるように演奏以外に得意なことや、興味があることにも挑戦することが大切です。
自分で自分をプロデュースすることができるように演奏以外に得意なことや、興味があることにも挑戦することが大切です。
山口莉奈さんの将来の展望、夢などを教えて下さい。
CDを作ることです。最近になって今の私の演奏をきちんと音源に残したいと思うようになりました。
また、高校生の時に『人の心を動かす職業に就きたい』と思うようになったきっかけはディズニーでした。音楽に興味を持ったのもディズニーでした。私のクラシックギター演奏で何かお仕事をすることが昔からの夢です。願うだけでなく、努力を続けます。
また、高校生の時に『人の心を動かす職業に就きたい』と思うようになったきっかけはディズニーでした。音楽に興味を持ったのもディズニーでした。私のクラシックギター演奏で何かお仕事をすることが昔からの夢です。願うだけでなく、努力を続けます。
まとめ
今回のトークイベントは「SNSを活かした仕事」がテーマでした。山口莉奈さんは「需要」をしっかり捉えて「供給」を正確に行っていました。企画力、実行力共にしっかりしていることが動画コンテンツのクオリティの高さに繋がっていることを再認識しました。また、自分らしさを失わず、自然体で無理せず活動していることが多くの人に受け入れられている理由だと感じました。
大学やマスタークラスでの研鑽、コンクールやコンサートの多くの経験をSNSやオンラインレッスンによってさらに広がりを持たせることができました。これは「ここ最近」の音楽の仕事の形の一つで今後も注目すべき分野です。聴講生の方々も参考になることが多かったのではないでしょうか。
今回様々なことを惜しみなく話して頂きました。今後の山口莉奈さんのさらなる活躍を期待しています。
大学やマスタークラスでの研鑽、コンクールやコンサートの多くの経験をSNSやオンラインレッスンによってさらに広がりを持たせることができました。これは「ここ最近」の音楽の仕事の形の一つで今後も注目すべき分野です。聴講生の方々も参考になることが多かったのではないでしょうか。
今回様々なことを惜しみなく話して頂きました。今後の山口莉奈さんのさらなる活躍を期待しています。


Report / 大西洋二朗(本学講師)



