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Vol.15 「ヒヒ伝説」パンフレット掲載文 ―コロナ禍を乗り越えて―(2022/3/24)


 ミュージカルを学ぶために入学してきた学生に、本格的なミュージカル作品に出演するまでの指導を行うのが我々教員の責任と義務と考えている。だから毎年度末に行われるDAIONミュージカル公演への出演機会は学生ら全員が平等に有する。
 しかし配役は不平等。学年に関係なく、すべて能力次第。歌える学生が歌い、踊れる学生が踊り、演技を得意とする者はキャラクターを演じる。また稽古の進捗状況で配役が変更になることも少なくない。配役は学生ら一人ひとりのその時々の力量を映し出す手厳しい鏡なのだ。

 この年度末公演で力を発揮するために、学生らは一年間、歌・踊り・演技の三つの技能を高める努力を重ねてきた。それは自分の身体と心を見つめる一年間でもあったはずだ。こうありたいと思う自分と、そうなっていない自分とのギャップに焦る学生たち。泣いたり、笑ったり、怒ったり。時には落ち込んだりしながらも、皆が皆、作品を創り上げていく一員として、配役された役に全力で取り組んできた。

―― 為すべきことを為し、自分に与えられた役割を全力で果たす ――

 これこそがミュージカル・コース、二年間の学びである。
 他者と比較することなく、「重ねた努力は決して無駄にはならない」との自己肯定感を卒業後も持っていて欲しいと強く願う。

 DAIONミュージカルは第一回公演からすべてオリジナル作品。教育のみならず、作品を創るプロでもある我々指導陣は、どの作品も学生らと共に「本気」で創りあげてきた。今回も然り。
 だが、舞台を終えてカーテンコールに並び立つ学生らに我々が送る拍手は、作品の成功や技能の向上に向けたものではない。一年間における学生らのあらゆる努力に対してである。
 そして、今日、「本気の二年間の学び」を経て卒業していく二年生に、我々は心から敬意を表する。この学年は「コロナ禍を乗り越えた学生」として、深く我々の記憶に残ることだろう。

 最後に、本作品から創作スタッフとして参加して頂いた本学作曲専攻の高昌帥氏、作曲・デザインコースの古山丈氏のお二人に心から感謝申し上げる。

 本日のご来場、誠にありがとうございました。