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〈レポート〉DAIONミュージカル第11回公演「ヒヒ伝説」


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レポート

2022年3月12日(土)~14日(月)の3日間に渡って、ザ・カレッジ・オペラハウスで、ミュージカル・コースによる「DAIONミュージカル 第11回公演『ヒヒ伝説』」が上演されました。コロナ禍での公演であることに配慮し、舞台上でも「ソーシャルディスタンスの確保」「マウスシールドやフェイスシールドの装着」が徹底され、集団での歌唱パートは録音音源が使用されました。

— あ ら す じ —
舞台はヒトが誕生する前の「はるかに遠い昔」。かつては敵同士で戦いに明け暮れた2つの一族「ゴルデの民」と「メントの民」だったが、今はデルミーテの山を隔ててそれぞれが平和に暮らしており、神の戒め「戦うことなかれ」「奪うことなかれ」も遠い昔の言い伝えとなっていた。しかし、再び戦いを始めてしまう一族たち。見かねた神の激怒により、山は大噴火の兆しを見せる。この危機を救おうと立ち上がったのはゴルデの王子・コンテとメントの王女・テミシアだった。ふたりは神の下部・マグマンとの戦いに挑むが、実は「遠い未来の宇宙からの来訪者」であるテミシアには、帰らねばならない日が近づいていた———。

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*PIA LIVE STREAMでの配信を視聴予定の方へ。以下、ネタバレを含みます。
—— 物 語 ——

● 第 一 幕 ●

物語は「現代」「遠い未来の宇宙」そして「はるかに遠い昔」を行き来します。

「現代」で進化生物学を研究する女性教授が、生命の誕生について思いを馳せる場面から物語が始まります。舞台背景に銀河系が映し出されると、シーンは「遠い未来の宇宙」に存在する宇宙船の中。謎の生命体・テミシアが地球への憧れを語ると、指導教員・メガドロンは彼女をはるか遠い昔の地球送り、新しい肉体を持って生まれ、15年を生きるという「体験学習」をテミシアに課します。

テミシア(写真中央)

場面は変わって、背景にデルミーテの山が映し出されると、舞台は一気に「はるかに遠い昔」へ。コンテとテミシアの誕生から出会いの場面が描かれ、テミシアによる、地球への憧れや時を超えたコンテへの恋心が、聴衆の感情を揺さぶるような、美しく且つ芯の強い歌声でオペラハウスの隅々まで響き渡っていました。

コンテ

そして、注目すべきはヒヒたちの群れ。関節の動きなど、研究し尽くされた仕草もしっかりと再現されており、「ヒトが誕生する前」の世界に自然と入り込むことができました。氷河期に入ると、飢饉や内乱によって2つの一族の平和な暮らしが陰りを見せ始めます。獲物や作物を求めて、更なる新しい土地へと駆り立てられる「ヒヒの群れ」の様子が、複雑なフォーメーションを伴ったダンスでエネルギッシュに表現されました。
● 第 二 幕 ●

アオタマ・アカタマという物語の謎を解くカギを握るキャラクターのダンスで幕が上がります。

コンテやテミシアの嘆願も空しく、戦いを始めてしまった2つの一族。デルミーテの山の噴煙が激しくなり、溶岩が流れ出す気配が背景に映し出される中、激しいバトル(戦乱)が展開されます。鮮やかな照明の瞬きがヒヒたちの素早い動きを助長し、熱い闘志が伝わってきました。戦いはメントの民の圧勝に終わり、ゴルデの民が奴隷にされそうになります。平和的な解決がなされない場合は神の怒りが鎮まらず、デルミーテの山は大噴火し、群れが全滅することを知っているテミシアの前に、ヒヒたちの目には見えない魔物たちや神の下部・マグマンが現れます。彼らの姿を巫女によって見せられた2つの一族はようやく事の重大さに気づき、避難を開始。一方、コンテとテミシアは氷の女王の元に出向き、マグマンを倒す武器・氷の斧を入手。マグマンとの最後の戦いの前夜、2人は、肉体として一緒に地球に存在する時間は残りわずかでも、魂はいつまでも一緒だと二重唱を歌います。別れの悲しみよりも出会えた奇跡、幸せを噛みしめる2人の感情が、涙腺を刺激する音楽に乗せられて、見事に歌い上げられました。

マグマン

最後の戦いが終わり、平和な世界が戻ると、ゴルデとメントが「ヒヒ一族」として統一され、コンテが新しい王として即位します。最後は、コンテとテミシアの魂を彷彿とさせるようなダンサー2人の仲睦まじい優雅なダンスで、物語は静かに幕を閉じました。

コンテとテミシアの魂


「ヒヒ伝説」は、生命の不思議さや生きることの素晴らしさ、危機に面したときに何を大切なものとし、どう行動すべきかなど、普段の私たちの生き方にまっすぐ問いかけてくる作品でした。

物語が終わると、客席からはたちまち盛大な拍手が沸き起こりました。カーテンコールでは羽鳥教授によって出演者全員の名前が読み上げられ、さらなる熱い拍手が会場を満たしました。

DAIONミュージカルは第1回から今作まで、すべて羽鳥三実広教授による脚本・作詞・演出のオリジナル作品。学生たちの学びの一環として「物語の背景やセリフ、歌に乗せる感情などを一から創り上げるには、模倣ではなく、何もないところから掘り下げていく訓練が必要である」という羽鳥教授の教育理念によるものです。今回も音楽、映像、衣装などのすべてが「ヒヒ伝説」のための完全オリジナルで制作されました。また、舞台運行協力などでミュージックコミュニケーション専攻生が活躍するなど、専攻の垣根を越えた学びの場としての役割も担っています。
撮影/齋藤遥

「PIA LIVE STREAM」にて有料配信決定!

  • 配信期間:4月29日(金・祝)~5月8日(日)
  • 価格:1,000円(税込)+配信システム料220円
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