音を描き、人生を編む ―卒業生の活躍

4人の指揮者による「ニュークラシックプロジェクト」受賞作品世界初演コンサートにて。中央左が山田竜雅さん、右は指揮の山田和樹さん。
2023年5月、東京オペラシティ コンサートホール(写真提供:ジャパン・アーツ)
比類なき音楽的感性を発露する若手作曲家、山田竜雅さん(作曲専攻卒)。在学中に管弦楽曲「《祈り》〜女声と管弦楽のための〜」が「ニュークラシックプロジェクト」※で受賞し、プロのオーケストラによって世界初演されました。今年10月に行われた大阪音楽大学創立110周年記念演奏会での「創立110周年記念吹奏楽作品作曲コンクール本選」では「《吹奏楽のための挽歌》」が最優秀賞に輝くなど、次世代を担う気鋭の作曲家として注目されています。
恩師との出会い、大学での学び、創作の喜びと苦悩、そして未来への展望についてご寄稿いただきました。
※クラシック音楽界を牽引する4人の指揮者が、オーケストラの新作を日本から世界へ発信するプロジェクト。2022年に作品の募集が行われ、44作品の中から4作品が選出された。
作曲のはじまりは、高校の部活動から
小学生の頃に金管クラブでテューバを始め、中学・高校の吹奏楽部でもテューバを吹いていました(今も趣味で演奏しています)。中学生の頃からお遊び程度の作曲はしていましたが、本格的に作曲を始めたのは高校生になってからです。確か2年生のときに書いた体育祭のファンファーレが公の場で披露した最初の曲だったと思います。吹奏楽部の顧問の先生がとても理解のある方で、文化祭や定期演奏会でも、僕が書いた曲をよく演奏させていただいていました。
昔は音楽大学に行かないと作曲家にはなれないと思い込んでいて、家からも近い大音に進学することを中学時代からすでに決めていました。高校2年の3月に大音の作曲トライアルレッスンを受けに行き、そこで初めて高昌帥先生と出会いました。それ以来、定期的に高先生のご自宅にお伺いし、大学受験、そして入学に向けて、作曲だけでなく和声法や対位法、楽曲分析などをレッスンしていただいていました。
昔は音楽大学に行かないと作曲家にはなれないと思い込んでいて、家からも近い大音に進学することを中学時代からすでに決めていました。高校2年の3月に大音の作曲トライアルレッスンを受けに行き、そこで初めて高昌帥先生と出会いました。それ以来、定期的に高先生のご自宅にお伺いし、大学受験、そして入学に向けて、作曲だけでなく和声法や対位法、楽曲分析などをレッスンしていただいていました。

高校2年から指導を受けている高昌帥教授
学びの中で見つけた、自分の音のかたち
大学時代の行事の中では作曲作品発表会が一番思い出に残っています。2年生から出品できるようになるのですが、入学時から「絶対に吹奏楽をやるぞ!」と意気込んでいて、1年の前期のうちにメンバーを揃えてしまいました。その翌年から新型コロナウイルスが流行し始めて、しばらくは吹奏楽など到底できる状況ではなくなりましたが、それでもなんとか2年の後期に実現することができました。

大学2年後期、第114回作曲作品発表会ゲネプロ後(2020年11月、大阪音楽大学ミレニアム・ホール)

大学4年後期、第118回作曲作品発表会ゲネプロ(2022年11月、大阪音楽大学ミレニアム・ホール)
授業でいうと、1年と4年の楽曲分析でお世話になった千原英喜先生の言葉がとても印象に残っています。授業の中で「作曲の勉強は卒業してからが本番、4年間では全然足りない」とおっしゃったのですが、卒業して数年が経ち、この言葉の意味を痛感するばかりです。"これからたくさんの仕事や現場を経験しながら日々精進しなさい"という風に解釈して、今もこの言葉を胸に刻んでいます。
「《祈り》〜女声と管弦楽のための〜」はもともとは室内楽編成で書いていた曲で、4年の後期に作曲作品発表会で初演しました。ちょうどこの頃にニュークラシックプロジェクトの作品公募があったので、管弦楽編成に書き改めて応募したところ、運良く受賞作品に選ばれました。メールで受賞の連絡を頂いたのですが、驚きすぎて何度も本文を読み返したのを覚えています。高先生に電話でご報告した際、まるで自分のことのように喜んでくださり、とても嬉しかったです。全音楽譜出版社から楽譜が出版されるにあたり、高校生の頃からお世話になっている感謝の気持ちを込めて、この曲を高先生に献呈しました。
「《祈り》〜女声と管弦楽のための〜」はもともとは室内楽編成で書いていた曲で、4年の後期に作曲作品発表会で初演しました。ちょうどこの頃にニュークラシックプロジェクトの作品公募があったので、管弦楽編成に書き改めて応募したところ、運良く受賞作品に選ばれました。メールで受賞の連絡を頂いたのですが、驚きすぎて何度も本文を読み返したのを覚えています。高先生に電話でご報告した際、まるで自分のことのように喜んでくださり、とても嬉しかったです。全音楽譜出版社から楽譜が出版されるにあたり、高校生の頃からお世話になっている感謝の気持ちを込めて、この曲を高先生に献呈しました。

高昌帥教授と
同曲は2023年5月、4人の指揮者による「ニュークラシックプロジェクト」受賞作品世界初演コンサートで演奏していただきました。山田和樹さんのような世界的な指揮者に自作曲を振っていただく機会など、今後の人生も含めてほとんど無いことだと思うので、ただただ感激していました。受賞作品とは言え未熟な点も多々ありましたが、山田和樹さんの手にかかると、変幻自在で活き活きとした音楽に聴こえてきて、最初のリハーサルから本番まで、ずっと魔法にかけられたかのような気持ちでいました。大学での初演時からお世話になっているソプラノ歌手の安江陽奈子さんをはじめ、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と愛知室内オーケストラの皆さんも相当な熱量を持って演奏に臨んでくださり、作曲者冥利に尽きる想いでした。

4人の指揮者による「ニュークラシックプロジェクト」受賞作品世界初演コンサート
2023年5月、東京オペラシティ コンサートホール(写真提供:ジャパン・アーツ)
仕事と創作——ふたつのリズムを生きる
現在、大学職員として勤務していますが、初めは就職せずに、アルバイトをしながら細々と作曲を続けていこうと考えていました。卒業する1ヶ月くらい前にキャリア支援センターに行って、何か音楽系の仕事はないかと相談を投げかけたところ、大学職員の求人が出ていることを教えてもらい、そこで大学に就職しようと決意しました。卒業後も先生方や学生との繋がりを持ち続けられるのがとてもありがたいので、自分にはこの進路が最善の選択だったと感じています。
平日は9時〜17時まで大学の仕事があるので、帰宅してからの数時間と、土日に集中して作曲に取り組んでいます。ありがたいことに作・編曲のご依頼をたくさん頂くので、納期に間に合うよう、毎日コツコツと譜面を書いています。
作曲するときは、初めに曲全体の構想を練ります。そして旋律や和声といった、音楽を構成する材料がある程度揃った段階で、Sibelius(楽譜浄書ソフト)を使って譜面に起こしていきます。一日中机に向かって何も浮かばなかった、あるいは浮かんだ楽想に納得がいかず、全て破棄してしまったときには凄まじい虚無感を覚えますが、反対にすらすらと筆が進むこともあり、芸術の女神ミューズに翻弄される日々です。
平日は9時〜17時まで大学の仕事があるので、帰宅してからの数時間と、土日に集中して作曲に取り組んでいます。ありがたいことに作・編曲のご依頼をたくさん頂くので、納期に間に合うよう、毎日コツコツと譜面を書いています。
作曲するときは、初めに曲全体の構想を練ります。そして旋律や和声といった、音楽を構成する材料がある程度揃った段階で、Sibelius(楽譜浄書ソフト)を使って譜面に起こしていきます。一日中机に向かって何も浮かばなかった、あるいは浮かんだ楽想に納得がいかず、全て破棄してしまったときには凄まじい虚無感を覚えますが、反対にすらすらと筆が進むこともあり、芸術の女神ミューズに翻弄される日々です。

響きを未来へつなぐために
「《祈り》〜女声と管弦楽のための〜」が2026年10月、関西フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で演奏されることになりました。ニュークラシックプロジェクトのリハーサル中に、藤岡幸夫さんが「いつになるか分からないけど、関西フィルでも絶対演奏するから!」と言ってくださいましたが、正直そのときは半信半疑で聞いていたので、まさか本当に再演されるとは思ってもみませんでした。さらにソプラノ独唱は石橋栄実先生、会場は大阪が誇るクラシック音楽の殿堂ザ・シンフォニーホールということで、もうすでに縮みあがりそうな気分ですが、せっかく地元で演奏されるので、ぜひたくさんの方に会場で聴いていただきたいと思っています。
大阪音楽大学創立110周年記念演奏会の「創立110周年記念吹奏楽作品作曲コンクール本選」では、《吹奏楽のための挽歌》で最優秀賞をいただきました。おおよそ記念式典にはそぐわないタイトルですが、完成した曲に相応しい言葉を思索した結果、「挽歌」と名づけるに至りました。曲全体を通して仄暗い空気が漂っていて、クライマックスでは管楽器のトゥッティによる強烈な不協和音が鳴り響く、絶望的な音楽に仕上がっています。
曲の内容はともあれ、母校の名を冠する作曲コンクールということで「絶対に1位を獲りたい!」と意気込んでいたので、目標を達成することができて本当に良かったです。今度の「大阪音楽大学 第57回 吹奏楽演奏会」(2026年3月1日)では、この曲を高先生の指揮で演奏していただけるということで、今から楽しみでなりません。
優れた作家は30代(半ば)で重要な仕事をすると聞いたことがあります。僕はちょうど10年後に35歳を迎えますが、自分も”優れた作家”に仲間入りできるよう、現状に甘んじることなく、日々邁進していきたいと思います。
大阪音楽大学創立110周年記念演奏会の「創立110周年記念吹奏楽作品作曲コンクール本選」では、《吹奏楽のための挽歌》で最優秀賞をいただきました。おおよそ記念式典にはそぐわないタイトルですが、完成した曲に相応しい言葉を思索した結果、「挽歌」と名づけるに至りました。曲全体を通して仄暗い空気が漂っていて、クライマックスでは管楽器のトゥッティによる強烈な不協和音が鳴り響く、絶望的な音楽に仕上がっています。
曲の内容はともあれ、母校の名を冠する作曲コンクールということで「絶対に1位を獲りたい!」と意気込んでいたので、目標を達成することができて本当に良かったです。今度の「大阪音楽大学 第57回 吹奏楽演奏会」(2026年3月1日)では、この曲を高先生の指揮で演奏していただけるということで、今から楽しみでなりません。
優れた作家は30代(半ば)で重要な仕事をすると聞いたことがあります。僕はちょうど10年後に35歳を迎えますが、自分も”優れた作家”に仲間入りできるよう、現状に甘んじることなく、日々邁進していきたいと思います。

「吹奏楽のための挽歌」スケッチの一部
Report & Photo/山田竜雅

山田竜雅(Ryuga Yamada)
大阪府池田市出身。大阪府立豊島高等学校を経て、大阪音楽大学作曲専攻卒業。大学卒業時に優秀賞を受賞、卒業演奏会に出演。作曲を高昌帥氏に師事。関西現代音楽交流協会会員。
主な作品
・《祈り》〜女声と管弦楽のための〜(ニュークラシックプロジェクト受賞作品)
・吹奏楽のための挽歌(大阪音楽大学創立110周年記念演奏会「創立110周年記念吹奏楽作品作曲コンクール本選」最優秀賞受賞作品)
大阪府池田市出身。大阪府立豊島高等学校を経て、大阪音楽大学作曲専攻卒業。大学卒業時に優秀賞を受賞、卒業演奏会に出演。作曲を高昌帥氏に師事。関西現代音楽交流協会会員。
主な作品
・《祈り》〜女声と管弦楽のための〜(ニュークラシックプロジェクト受賞作品)
・吹奏楽のための挽歌(大阪音楽大学創立110周年記念演奏会「創立110周年記念吹奏楽作品作曲コンクール本選」最優秀賞受賞作品)











