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新入生のみなさんへ <学長 本山秀毅より>


新入生のみなさんへ


 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。保護者、関係者の皆様にも合わせてお祝いを申し上げます。
 新入生の皆さんは、本日4月1日に入学式に参加され、入学許可宣言のもと大阪音楽大学、大阪音楽大学短期大学部に入学をされたことを名実ともに実感されるはずでした。校門の満開の桜やオペラハウスでの歓迎演奏に包まれて、心地よい緊張感の中、新たな世界への第一歩を踏み出されるところでした。
 しかしまことに残念ながら、現下の状況はそれを許容しませんでした。日程の延期も考慮しましたが、やむなく「入学式中止」の決定に至ったことは既にお伝えしている通りです。
 それでも、皆さんが本学の学びの一員に加わられた事実は些かも揺らぎません。われわれ教職員も一刻も早い事態の収束を心から願い、学校運営を軌道に乗せるために全力を尽くすつもりです。

 さて、皆さんは無数にある「進路」の可能性の中から「音楽」に関わりを持つべく、その学びの場を本学に求められました。皆さんの年齢にとってこの決断はきわめて重く、大きな意味を持つことは言うまでもありません。
 そこに至るまでには、様々な「出会い」があったことでしょう。まず「人との出会い」、背中を押してくれた保護者の方々、学校の音楽や部活の先生をはじめ、師事していた先生方など、皆さんの誰もが貴重な方との出会いを果たしておられるはずです。
 そして「音楽」との出会い。一つの音楽との出会いが、その人の生き方を変えたという話がけっして大袈裟ではないほど、音楽は人の心に強く響くものを持っています。
 皆さんは既にお気づきかもしれませんが、音楽は不思議な力を具えている、ということは皆さんの少し先を歩む者からもはっきりと言えることです。日常のふとした感動から、生き方を変えるような場面までその力は自在です。ここに、皆さんが人生の上での大きな決断を「音楽大学への進学」ということに委ねたことがそれを表しています。

 その潜在する力に気付いている皆さんでも、音楽にはまだ出会ったことのない無数の力が宿されています。深く理解することで、聴き手には慰めや喜びを与え、発信する側にとってはその探究はまさに一生を通した課題となります。その学びを深めるための手がかりが、本学にはジャンルを超えて無数に存在します。皆さんに音楽を通して向きあう先生方、学びの良きライバルとなる先輩や同級生、そして大学の持つ施設や環境、バックヤードを支える職員、そして、大学が積み重ねてきた100年を超える時間の中から生み出されてきた歴史。これまでに輩出した多くの卒業生と音楽に関わる仕事の拡がりは、他の音楽大学の追随を許しません。

 お知らせしている通り、新学期からの授業は変則的なものになることを余儀なくされています。スケジュールだけではなく方法についても柔軟な対応が必要になります。その一つがオンラインの可能性です。先日、滋賀県のびわ湖ホールにおいて、公演直前に中止になったオペラ公演が「無観客」で公演を実施し、それをオンラインで発信したことが、大きな反響を呼び高い評価を受けました。インターネットと向き合わねばならない時代に生きるわれわれにとって、音楽の新たなあり方が求められていることを示す出来事でした。本学においても、この困難な状況の中、何とか皆さんの学びに資する手段はないかと早急に検討したいと考えています。それと同時に、音楽大学の特色である「リアルタイムの音のやり取り」すなわち、対面の個人指導や集団によるアンサンブルの機会について、状況が許せば可能な限り迅速に取り戻したいと考えています。

 この新学期には、希望が叶って胸を高鳴らせて始業を待つ人、上手く先生や友人との関係性を築くことが出来るか不安な人、また、この場所が不本意ながらも新たな時の流れに身を任せている人、様々な思いが交錯することを、私は理解しています。しかしその新たな節目において停滞は何も生み出すことはありません。思い切って新しい出会いを謳歌して下さい。
 今一度、新入生の皆さんに人生の節目となる入学式が挙行出来なかったことをお詫びするとともに、本学に入学されたことに誇りと自信を持ち、音楽の更なる高みにチャレンジしてゆかれることを心から願っています。教職員一同、その思いを全力で受け止めて育んでゆくことをお約束します。
 入学おめでとう。


学長 本山秀毅