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HOME >  教員紹介 >  羽鳥教授の徒然ブログ >  Vol.20 観劇雑感(4) オペラ2つ(2022/05/05)

Vol.20 観劇雑感(4) オペラ2つ(2022/05/05)


観劇雑感(4) オペラ2つ



時間の使い方が下手なことは今に始まったことではないが、昨年末から今の今まで忙(せわ)しく過ごしていて、この連休になり、やっと落ち着いた感がある。
メモ書きを整理していたら、昨年末のオペラ鑑賞メモが出てきた。その2作品を観劇雑感として記しておく。


●12月17日 音楽劇「マッチ売りの少女」 (ゼロワンネーブルハウス)


― 鍛えぬかれた声(1) ―


堺シティオペラが主催する二部構成のコンサートで、第一部がアンデルセン童話の音楽劇、第二部がクリスマスソング。出演は堺シティオペラの若手歌手たち。
劇場とはまたひと味違ったイベントスペースに70ほどのパイプ椅子が置かれ、客席とアクティングエリアは驚くほど近い。まさにアットホームな趣き。
「心温まる歌声は、優しい心根から発せられる」の言葉通り、日頃からトレーニングを積んでいる出演者ひとり一人の鍛え抜かれた声が、「優しさ」というフィルターを通して観客の心に響いていた。
小さいながらも真心のこもったコンサートで、私も「ホッコリ」した気持ちで帰宅の途についた。


●12月23日 ガラ・コンサート&「ラ・ボエーム」ハイライト (ベガ・ホール)


― 鍛えぬかれた声(2) ―

世界中で今なお愛されるミュージカル「レント」は、「ラ・ボエーム」が下敷きになっている。だからオペラに詳しくない私でもこの作品は親しみやすい。

さて、岩田道場の若手歌手たちによるパフォーマンスである。
「ラ・ボエーム」はハイライトで、大道具も小道具も最小限。ひたすら技量と感性の勝負というところか。いざ見参!

楽曲に乗った若手歌手たちの「歌声」が劇場空間に響き渡る。その鍛えぬかれた声は、ミュージカルが専門の私をも魅了する。もとより常人の出せる声ではない。声そのものが表現に到達するということを改めて認識した。
もちろん、「歌唱力に演技力が加わってこその表現力」ではあるが、クラシック唱法による鍛え抜かれた声は、声そのものが魅力であり、それだけで完結することもあり得る。
まさに声そのものが「芸術品」。

ただ、少し欲を言う。
「ラ・ボエーム」の登場人物たちは、皆、心の中で「対立と葛藤」を抱えている。
歌い手自身の感覚でその心模様が映し出され、さらにその所作にも必然性が見受けられるようになったら、「一級品である声」と相まってどんなに素晴らしい舞台になることだろう。

若手歌手たちの鍛えぬかれた声に魅了されたその夜、彼らのさらなる成長を期待しつつ、私は爽やかな気持ちで劇場を後にした。