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Vol.13 「湖底のブラームス」パンフレット掲載文② ―そぞろ歩き~創作ー (2020/3/25)




そぞろ歩き ~ 創作

いつも新作ミュージカルの題材を考えている。無意識の場合もあるし、意識的に行うこともある。あてもなく歩いているような感覚(そぞろ歩き)の中で。

1昨年の夏(1998年)、朝日新聞の記事やNHKテレビの特集番組で偶然「駅の子」の存在を知った。
「駅の子」とは75年前の終戦後、全国各地の大きな駅に寝泊まりしていた「浮浪児」のこと。空襲や戦闘、病気で親を亡くした戦争孤児たちである。
「これを書くべきだ」と瞬間的に思った。「異国の丘(2001年劇団四季)」という作品で戦争を背景にしたミュージカル台本を書いたことはあるが、この「駅の子」のことは知らなかった。ちょうど「楽器」を題材にした作品を創ろうと考えていたので、早速この二つをモチーフにした物語づくりを始めた。

 というわけで、今年もまた新作のオリジナルミュージカルを上演する。
毎年申し上げていることだが、たとえ出演者が学生主体であっても、DAIONミュージカルは発表会レベルではなく、作品そのものは一般公演レベルに達していると自負する。
我々がオリジナルミュージカルにこだわる理由(わけ)は、本学ミュージカルコースのウエブサイトのムービーの中で私が申し上げている(関東圏放送の「ラジオ日本」の2日間にわたる番組)。そちらをお聴き頂ければ幸いである。
とまれ、我々のミュージカルはブロードウエイのヒット作品のように華麗ではないし、豪華さもない。しかし、ストーリー展開と楽曲構成を主軸にし、心に残る「余韻」を醸し出す作品づくりを目指している。「新古典主義」と言って良く、誠にオーソドックスである。

さて、今作品。台本を書き始めたのが昨年の3月。5月に作曲を依頼し、7月には学生らによる第1回目の読み合わせを行った。そして夏休み明けの9月から本格的な稽古(授業)を開始。その後は例年のごとく「産みの苦しみ」を味わう。試行錯誤を繰り返し、実際の上演台本は第5稿となった。

今回の特筆事項は3点。
(1)本学教授・上塚憲一氏のお力を借り、弦楽器専攻学生による楽曲制作を一部行った(出演もしているかもしれない…)。
(2)本学教授・熊谷美紀氏(ソルフェージュ)に一部編曲をお願いした。
(3)本学出身者4名、他大学1名、計5名の声楽家に助演を依頼。

すべて新しい試みであるが、これにより今後の創作活動に一つの指針が見えた。ミュージカルは「総合芸術」。本学が音楽の単科大学である特徴を生かし、台本、作詞、作曲、編曲、演奏、合唱等々で他の専攻とタイアップし、協働で作品創りができたら、どんな素敵なミュージカルが出来上がるのだろう。そんなことを夢想してしまう。

まずは本日の「湖底のブラームス」、お楽しみ頂ければ幸いである。
最後に今一度、ご協力頂いた上塚憲一先生と熊谷美紀先生、そして弦楽器専攻の学生たちに心からお礼を申し上げます。