グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



  1. Home
  2.  >  News
  3.  >  「第64回グラミー賞(2022)」 授賞式参加レポート by 卒業生

「第64回グラミー賞(2022)」 授賞式参加レポート by 卒業生


\ Let's share! /

レポート

2月5日(現地時間)に開催される「第65回グラミー賞」。開催が間近に迫り、各部門の受賞者予想をされている方もいらっしゃるでしょうか。グラミー賞は、世界で最も権威があるとされる音楽賞で、今年の審査部門は91部門におよびます。今年で3年連続ノミネートとなったBTSの受賞の行方も、日本の皆さんの関心を集めるポイントかもしれません。

そこで今回お届けするのは、昨年開催の「第64回グラミー賞」のお話。本学卒業生でニューヨーク在住のジャズピアニスト・早間美紀さんが制作に携わった、ニーナ・フリーロンのアルバム『Time Traveler』が、Best Jazz Vocal Album部門(最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム)でノミネートを果たし、早間さんも授賞式に参加されました。参加した早間さんにしか話せない、現地の熱狂ぶりも感じられるリアルなレポートをどうぞ!


ノミネート作品について

第64回グラミー賞 Best Jazz Vocal Album部門ノミネート
『Time Traveler』Nnenna Freelon(タイム・トラベラー/ニーナ・フリーロン)


このアルバムでは、音楽監督、アレンジャー、プロデュースを担当しました。また、ピアニスト、キーボーディストとして、演奏でも参加しています。ちなみにニーナ・フリーロンは過去に6度もグラミー賞にノミネートされている世界的ジャズヴォーカリストで、私は彼女のバンドで約13年間演奏していました。

授賞式でのエピソード


「第64回グラミー賞」は、当初予定されていた2022年1月下旬から、コロナの影響を受けて4月3日(現地時間)に延期され、ロサンゼルスからラスベガスに会場を移しての開催になりました。

私は今回初めてグラミー賞授賞式に参加させていただきました。アメリカに渡り、まさか自分がこのような経験をするなんて想像したこともなく、人生最初で最後かもしれないこの瞬間をたっぷり味わおうと、とてもワクワクしていました。

授賞式は昼の部「Grammy Premiere Ceremony」と夜の部「Grammy Awards Live Telecast」の2つに分かれています。昼の部は夜の部とは別会場で、ジャズやラテン、ビッグバンドなど、夜の部で発表しないすべてのジャンル・部門が対象。夜の部はテレビで生放送され、主要4部門(レコード、楽曲、アルバム、新人)の他、ポップやR&B、ロックなどの発表や有名ミュージシャンたちによるパフォーマンスも行われます。

ニーナのアルバムがノミネートされた最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム部門の発表は、昼の部でした。ニーナはオープニングで歌い、その後はハウス・ビッグバンドやフィーチャー・ミュージシャンの演奏を挟みながら、各部門の発表が行われました。最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムに輝いたのは、エスペランサ・スポルディング『Songwrights Apothecary Lab』でした。が、彼女は授賞式を欠席していました。実は彼女だけではなく、他にも多くのミュージシャンが出席していませんでした。コロナや日程変更、恒例のアフターパーティーも今回は開催がなかったので、諸々の影響があったのだと思います。

グラミー賞のパネルをバックに撮影できるフォトスポットは長蛇の列で、暑い外で並びました。ドレスにハイヒールでなかなか大変です。順番が来るまでに1時間半ほどかかりました。


夜の部はMGM Grand Arenaで開催されました。会場入口が大混雑で、1時間くらいはぎゅうぎゅう詰めで待っていました。ドレスアップでの我慢大会になっていましたが、周りの皆さんも美しく着飾っている光景に圧倒され、アドレナリンが出ていたこともあり、それほど苦痛は感じませんでした。

数時間後、やっとのことで会場に入り、なんとか着席することができました。テレビ中継が始まると、シルク・ソニック(ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるユニット)、ジャスティン・ビーバーなどのそうそうたるミュージシャンのパフォーマンスが続き、楽しかったです。カメラクルーやプロダクション、舞台の動きなどのテレビ中継の裏側を見ることができたのも良い経験でした。

その後しばらくの間、グラミー賞のことが頭から離れませんでした。一生に一度の貴重な経験を味わうことができ、大変充実した1日になりました。

今後の活動について


現在は5つほどのツアーバンドを掛け持ちで演奏しています。昨年は毎月のようにツアーに出かけ、ヨーロッパには6回も訪れました。今後の目標は、自分自身の音楽活動(演奏やアルバム制作)を再開すること。ニューヨークで10年前に出産しましたが、子育てをしながらの音楽活動はなかなか大変なものです。ここ12年間は、他のバンドの活動で忙しく、自分の音楽をする時間と余裕がありませんでしたが、少しずつ変えていきたいと思っています。


Report & Photo/早間美紀

早間美紀(Miki Hayama)
京都に生まれる。6歳の頃より、クラシックピアノと和太鼓を学ぶ。大阪音楽大学短期大学部ピアノ科卒業。ジャズピアノを藤井貞泰氏に師事。96年、横浜プロムナードコンペティションに早間美紀トリオで応募し、関西初の優勝ならびに洗足学園賞を受賞。90年代後半にニューヨークに初渡米し、日本、ニューヨーク間を行き来し、2003年よりNY を拠点とする。ビンセント・ハーリング・カルテット、又グラミー賞受賞サックス奏者 ケニー・ギャレット・バンドのピアニストとして、ジャズフェスティバルに出演し、ニューヨークのジャズ界に大きくデビューする。2004年、Art Union @Jazz Labelよりデビューアルバム『ヴァイブラント』を発表。NY の一流ジャズクラブ『ジャズ・ギャラリー』に早間美紀クインテットで出演し超満員の中話題を呼んだ。2枚目アルバム『プレリュード・トゥー・ア・キス』がスイング・ジャーナル批評5星を貰う。2007年にはニューヨークのセントラルパークで開催された第一回『JAPAN DAY』では音楽監督をつとめ、自己のバンドを率いて出演した。また歌手アレサ・フランクリンのキーボーディストも務めた。2009 年1月、ワシントンDC にて第44代アメリカ大統領バラック・オバマ就任式パーティーに招かれ演奏。春には3 枚目アルバム『ワイド・アングル』を発売。アルバムはスイング・ジャーナル選定ゴールドディスク賞を獲得。
2010 年1月、アルバム『ワイド・アングル』がスイング・ジャーナル・ジャズ・ディスク大賞『制作企画賞』を受賞。その後NYで妊娠出産を経て、第一児の母となり、2016年ライブ・アルバム『Live in Kobe』を発表。現在、なかなか他民族が入りにくい黒人教会で毎週日曜日にハモンド・オルガン奏者として雇われ、ゴスペル音楽を演奏し、グラミー賞ノミネート・ジャズ・ボーカリスト、ニーナ・フリーロン・バンド初め、他多数のバンドのメンバーでツアーやレコーディングに参加し、世界を飛び回る世界的ピアニスト。2019 年5月にはケニヤ、ナイロビで開催されたInternational Jazz Dayに招待され演奏やクリニックなどの文化交流を繰り広げた。2022年にアレンジャー、音楽監督、プロデュースを務め、ピアニストとしても参加したアルバム、ニーナ・フリーロン“タイム・トラベラー”がベスト・ジャズ・ボーカル部門でグラミー賞ノミネートされ、表彰式に参加。
https://www.mikihayama.com/

【主な共演者】
ケニー・ギャレット、ラルフ・ピーターソン、ロイ・ハーグローブ、ショーン・ジョーンズ、シンディ・ブラックマン・サンタナ、ティア・フラー、グレッグ・オズビー、ゲイリー・トーマス、ニーナ・フリーロン、ジャズミーア・ホーン、ディー・ディーブリッジウォーター、アリサ・フランクリンら著名ミュージシャン他多数。

【演奏国】
アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、ニカラグア、中国、日本、アイルランド、イギリス、スペイン、フランス、ネザーランド、チェコ共和国、ロシア、ウクライナ、ターキー、クロアチア、ギリシャ、オーストリア、ノルウェー、ドイツ、ポーランド、スイス、イタリア、ケニヤ、サウス・アフリカ、モロッコ。