グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  知ってほしい5つの強み >  特別鼎談2019「4年目を迎えたクリエーション専攻」

特別鼎談2019「4年目を迎えたクリエーション専攻」


このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年4月に開設され、2019年度には初の卒業生を送りだすミュージッククリエーション専攻。音楽を仕事にする仕組みが整いつつある現状や展望について、業界の第一線で活躍する講師陣に語り合ってもらいました。

※左から、足立知謙、渡邊崇、徳永暁人

*****************

――専攻開設から4年目を迎え、振り返ってみていかがですか?

渡邊:“職業作曲家”を育てることが第一の指針でしたが、実際、在学中からプロとして活動する学生も出てきましたし、学内プロダクション「大音ラボ」の実績も増えてきています。想像以上の成果ですよ。進んできた方向性は当初の理想通りですが、学生たちの習熟度が想定外でした。用意したものより授業のレベルを上げている状況です。

徳永:パソコンを初めて触る学生もいるなかで、Protoolsをインストールして支給したらどうなるのかという、実験のようなスタートだったんですけどね。入学して数カ月の1年生が全員、指定したジャンルのデモをつくれているのは驚きでしかないですよ。予想をはるかに超えるスピードで、技術に加えて音楽の知識もつけてきています。

足立:習熟が早かった理由として、意欲ある学生が一つの場所に集まっていることも大きいです。学年関係なく情報交換し、すぐに吸収して、次の授業ではもう活用していたりする。

渡邊:空き時間があれば、全学年が教室前のサロンに集っているんですよ。みんなが交流できるように用意したスペースですが、今年で4学年がそろい、めちゃくちゃにぎやかになってきました。

足立:合わせておよそ80人全員がProtoolsを使えるチームになっているのはすごいこと。毎日交されている情報の量や密度や速さは相当なものです。教えている内容のレベルも高いんですが、それを教わった彼らが相互に作用する成長速度までは計算していませんでしたから。

徳永:個人レッスンなら自作曲の評価だけで終わりますが、僕の“歌モノ”の授業では、各自が提出した楽曲を全員で聴くので、20曲分のレッスンを受けていることになる。年間でものすごい知識量と刺激になりますし、教えていること以上に学生同士で学び合う部分が大きいんじゃないかと。

足立:課題で提出される楽曲が、CMやドラマ、映画で使われても不思議じゃないぐらいのクオリティになってきています。

――成果が飛躍的に上がってきているわけですね。

渡邊:すでに学生を作家として劇場公開映画にも起用していますからね。自分で指導しておいて言うのもなんですが、まさかこれほど伸びるとは。教えたことを即実践して、即プロの目にさらされ、即世に出される環境は、やはり緊張感がある。学生たちのプロ意識が育っているのも感じます。

徳永:作曲家にとって歌えることも武器になるので、僕の課題では本人の歌も入れさせているんですが、学んでいくうちに上達し、アーティスト活動を始めている学生もいるんですよ。想定の枠を超え、活躍してくれているのもうれしいですね。

渡邊:卒業後の展望も上々です。業界大手の企業への就職や事務所との契約なども着々と決まってきています。学生たちが実績を出しているおかげで、「大音ラボ」への依頼も増えてきましたし。

足立:SNSを通じて監督とやり取りをしたり、YouTubeで作品を発表していくなかでアニメーターとコラボしたり、地元企業のCM仕事を取ってきたりと、独自に動いている学生も多いです。

徳永:iTunes Storeでリリースしたり、アイドルに楽曲を提供したり、もはや把握しきれないほど。学生のTwitterを見て、「うわぁ、すげぇ!」って初めて知ったりしますもん。

渡邊:1期生が頑張ってくれたので、続く年の学生たちは、上級生の活躍をお手本にして開拓しているようです。それが良い感じの伝統になり、広がってきているように感じます。

徳永:年に一度、一人10社以上の音楽事務所にデモテープを送付する、全員参加の“プロモ・フェス”をやっているんですが、返信が来て話が進んでいる学生もいます。1年次から就職活動ができるのも音楽業界ならではです。早い段階から挑戦するクセをつけることで、オーディションなどに応募する数も増え、結果につながってきていますよ。

――積極性や自主性も磨かれているんですね。

足立:やるのが普通になってきているのも良い傾向。レスポンスがないのも一つの評価です。別の学生の話が進んでいると刺激にもなりますし、自分には何が足りないのかを考える機会にもなる。

徳永:100本送ったって、普通は返事なんて来ないですよ。200本送ってやっと一つ反応があるぐらいで。それを最初からわかっておくと、打たれ強くなりますからね。我々なんて挫折の宝庫です。苦労話なんて滝のように出てきますよ(笑)。

渡邊:そういうリアルを伝えるのも大切かなと。それに音楽業界の職種は作曲家だけじゃない。学外プロジェクトなどを通じて、違う仕事に興味を持ち始める学生もいますから。一人ひとりの可能性を広げ、後押しできるよう気を配っています。うちがProtoolsを採用しているのもその一環。作曲をするだけなら、もっと簡単で使いやすいソフトもあるんですが、Protoolsは現在、レコーディングスタジオの世界標準になっているんで、作曲家以外のスタッフ側に回ったときにも使えると役立つツールなんですよ。

徳永:実際、マネージャーをめざして就職活動した学生もいますし。ディレクターやプロデューサー的な視点からミュージシャンに指示をする授業など、スタッフの練習も早くから始め、いろんな関連職種へ進めるように体制を整えています。相当濃密な授業をやっているので、とくに1年生は大変だと思いますが、そこを乗り越えた学生たちはみんな超人になっていく。

渡邊:今日から我々と同じ土俵に立ったつもりで音楽をやっていこうという話を、入学初日に毎年するんです。ファンとしてじゃなく、プロの作家として音楽に接すると、聴こえ方も変わってきますし。

――入学早々から意識づけをしていくわけですね。

渡邊:ただ、音楽を仕事にできればそれでいいとは思っていなくて。仕事として一生続けていくためには、技術習得だけでなく、音楽との向き合い方もしっかりと考えてほしい。まず、人に何か言われるのを待っていてはだめです。何をするにしても自分たちで考え、自分たちで動けと最初に話しています。

足立:毎週、さまざまな業界の第一線で活躍しているプロの話を聴く「音楽ジャンル研究」を1年次に受ける影響も大きいと思いますよ。年間で約25人ものトップランナーの考え方や生き様に、いきなり触れるわけですからね。ガツンと頭を打たれて、固定概念をふにゃふにゃにさせられる。4年間という時間の使い方を考えるきっかけにもなっているようです。

徳永:考える力をつける機会は多いですよね。自分の持って来た曲をプレゼンする授業もありますし。どんな企業に勤めても必要なのに、日本の教育で足りていないのがディベートとプレゼンテーションです。広告宣伝マンや営業マンになったつもりで話す経験を今のうちに積んでおけば、世界が広がるでしょ? どうせなら楽しみながら学べたほうがいい。自分たちの好きな音楽という分野を通して、さまざまなことを勉強させるカリキュラムを組んでいます。

――どの業界にも通じる社会勉強もできるんですね。

足立:「ショートコンテンツ実践」では基本、企業研究をしてから広告音楽をつくるんですけど、それって就職活動においても大事な部分ですからね。音楽を題材にはしていますが、交渉の仕方とか、予算やスケジュールの立て方とか、社会に出て行くうえで知っておくべきノウハウが身につくようにも考えています。商品の魅力をどういう形で表現するかは、多くの仕事においても重要なことですし、企画を通すためには新しいアイデアが必要になってくる。そのあたりの学びから、広告や宣伝に興味を示す学生も出てくるはず。

渡邊:音楽業界に限らず、ここ出身の学生がいろんな業界に浸透していって、クリエーションの哲学みたいなものが広がっていくと面白いですよね。

足立:幅広く学べているおかげで、一つの課題やプロジェクトも、いろんな角度から見られるようにもなってきています。日ごとに増えている引き出しは、これから長くキャリアを積み上げていく助けになるでしょう。

徳永:音楽は生き物なので、常にアップデートしていかなければなりません。今週のヒットチャートも常に意識する必要がある。時流に合わせて指導内容は毎週相談しながら調整していますし、テキストもオリジナルでつくって毎年変えています。古くて要らない理論は全部カットして、独自の音楽理論で教えているので、すごいスピードで曲が書けるようになっているんですよ。「ここは研究所だから、みんなで最新の音楽を研究して、俺たちで理論をつくっていこうぜ」なんて姿勢で、学生たちとも向き合っています。

――専攻発のものがどんどん生まれ、今後ますます広がりが出てきそうですね。最後に、進路を模索している人たちにメッセージをお願いします!

渡邊:職業作曲家の育成をめざしていますが、広くは、好きなことを一生続けて生きていこうぜという専攻です。好きなことをやって生きていける人が増えれば、世の中もっと幸せにもなるでしょうし。音楽が好きならここに来て、一緒に考えていこうよと伝えたいですね。教えられることはすべて教えます。僕らがプロになる前に知っておきたかったことを集めたカリキュラムなので、相当な近道になりますよ。

足立:およそ40歳までに出会うであろう困難を先に知れますからね。音楽を仕事にするには情熱と技術の両方が必要です。今はまだ情熱だけに偏っているでしょうが、技術やビジネスにする方法は我々が教えます。だから大勢の仲間が集まるこの場所に、飛び込んで来てもらえたらなと。

徳永:現時点で何もできなくていいんですよ。作曲はもちろん、ピアノもバンドも経験していなくていい。このページを見た段階で、アンテナを張っているあなたは才能アリです。すでに一つクリアしているから、その次の壁を上って、僕らに会いに来てください。一緒に音楽をやりましょう!