大阪音楽大学 広報誌「MUSE」

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音楽と生きる06

「音楽を人生の一部 仕事を通じてこの世界に接してゆけるのはかなり幸せです」西川信次 (ヤマハ株式会社勤務)

●にしかわ しんじ 1993 年大阪音楽大学器楽学科管楽器専攻卒。 尼崎市立日新中学校吹奏楽部でトランペットに出会う。故加藤隆功氏、松原健二氏、ダニエル・ドワイヨ氏に師事。 ヤマハ新人演奏会、尼崎市新人演奏会に出演。現在ヤマハ株式会社管弦打学校営業部西日本営業所勤務。

「音楽のすばらしさ」を伝えたい

あなたにとって、音楽とは。「自分の人生にとって、なくてはならない存在。演奏も、聴くことも、プレーヤーと接することも含めて、もう人生の一部みたいな感じですね。
音楽と関係のない仕事に就くことを考えた時期もありましたが、今は端っこかもしれないけど、この仕事を通じて接してゆける。かなり幸せかな、と思っています」

大勢の観光客で賑わうユニバーサルスタジオジャパンにほど近い、ビルの10階にあるヤマハの西日本営業所。
西川信次さんは、このオフィスを拠点に、管弦打楽器営業部の「普及プロデューサー」として、多忙な毎日を送っています。
西日本全域をエリアに、ヤマハ管楽器特約店を通じ、インストラクターを派遣しての小中学校や高校でのバンド指導や、小学校低学年を対象としたリコーダーなどの指導。
そして、教師を対象に、授業での効果的な楽器利用を提案する講習。あるいは、かつて楽器をやっていたものの、現在は演奏していない"休眠層"を呼び戻すための働きかけ。その仕事は、実に多彩です。

「楽器メーカーの中でも、これほどの規模で普及活動をしているのは、ヤマハだけだと自負しています。もちろん、最終的には楽器が売れてくれないと、給料も出ないのですが(笑)、売るだけではだめです。まず、音楽のすばらしさを伝えたい。 そして、『良い楽器がほしい』と思うほど、音楽を好きになってもらうにはどうしたらいいか、日々考えています」

大学で頑張り切ったことが僕のベースです

「原点は、中学のブラスバンドの3年間」と言う西川さん。「『地区大会で代表になった』『県大会で金賞を受賞した!!』……という中で、音楽にどんどんのめり込んで……今も変わらない気持ちのままですね(笑)」。 ごく自然に、プロ奏者を目指すようになります。「指導に来たプロの先生の演奏や話を聴くうち、『もっと自分を高めて、プロを目指したい』と思うようになりました」。

高校時代は、音大受験にターゲットを絞った3年間に。あえて高校の吹奏楽部には所属せず、個人レッスンに通う一方、社会人バンドで腕を磨きました。 大阪音楽大学を選ぶことに「迷いはなかった」と西川さん。トランペットの師で大阪フィル奏者だった故・加藤隆功さんが教鞭を執っていたことが、大きな理由でした。

そして、「よく練習した」と振り返る大学時代。「今の活動も含めて、自分の土台を作ってくれた場所。大学まで頑張り切ったことがベースとなり、今も頑張れているんだと思います」。
そんな大学生活の中で、Tuttiオペラの"復活"に携ったのが「何よりの思い出」と言います。  「計画の中心だった友人が、声を掛けてくれました。それで、私がオケを取りまとめる形に……」。声楽とオーケストラ、裏方が一体となり、実現した《カヴァレリア・ルスティカーナ》。 「募金活動まで全部、自分たちでやり、面白かった。『学生の自主活動によるオペラ』と、大学が誇らしく紹介しているのを見た時は、本当にうれしかったですね」

管楽器の世界を広げ演奏家を支えていきたい

卒業後はフリーランスの奏者として活動し、プロ・オーケストラのオーディションに挑戦する毎日。
一方で、インストラクターとして吹奏楽の指導も手掛け、やがてこの仕事に面白さを感じ、傾倒するようになります。
そんな西川さんに「ヤマハの普及プロデューサーとして働かないか」と声がかかったのは、7年前の春のことでした。

「現場での指導や演奏という、楽しんできた部分を諦めなければならない一方、自分の知識や人脈が生かせ、思いを酌んでくれる仕事。
大きく一歩を踏み出す価値があると感じました。迷いはなく、むしろ良いタイミングでした」。

さばさばとした表情が、爽やかです。「プロのオケに入るという目標は叶わなかった訳ですが、今は、夢を叶えた人や、夢に向かって頑張っている人たちを全力で応援したい」と話す西川さん。 仕事が多忙なため、レギュラーの音楽活動は困難と言いますが、ホルン奏者の奥様と共に、幼稚園や施設などでボランティアのステージを続けています。
それでは、今の夢は何でしょう。「ヤマハの仕事を通じてもっと多くの人と関わりたい。そしてプロ、アマチュア問わず様々な音楽の世界を広げてゆきたい。そのためには、大きなことも、小さなことも、きっちりやっていこうと思います。 すべてが、今やっていることの延長線上にありますね」。柔らかな笑顔は、確かな充実感に裏打ちされていました。

「やりたいこと」「好きなこと」はもちろん大切ですが、「自分の素材を生かす」ことを考えて将来のお仕事を模索してみるのもいいのではないでしょうか。「あなたに向いている」と言われたことが、思いのほか自分に合っていて、それが好きになってしまうこともあります。
学生時代はどうしても偏ったものの見方をしてしまいがち。自分をどう生かしていけるか、かたくなにならずにいろいろな可能性を探した方が、より自分に近い道を見つけられるのではないかと思います。

インタビュー・文 笹田 和人(音楽ライター)

『ブラスジャンボリー』というイベントにてインタビュー中の西川さん

トランペットひとすじだった学生時代


日時 2012年10月13日(土)
場所 梅田スカイビルステラホール
ゲスト キダ・タロー
一般 3000円(税込)/おひとり
家族割引 2500円(税込)/おひとり(ご家族2名様以上での申し込みが必要です)

※ 詳しくは「ブラスジャンボリー2012 in 大阪」のHPをご覧ください。

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