大阪音楽大学 広報誌「MUSE」

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音楽と生きる05

「現場ではいつも臨機応変に対応「声で表現するお仕事」は毎日が刺激的です」大河内雅子 (声優・ナレーター・歌手)

●おおこうち まさこ 大阪音楽大学音楽学部声楽学科卒。 青二プロダクションを経て現在フリーランス。 代表作に『ぐるみん』パリン(主役)、 『空の軌跡』シリーズ アネラス・エルフィード等。 2012 年発売予定『魔女と百騎兵』OPテーマ歌唱担当

友人のひと言で決まった人生!?

「声優を目指してみたら?」
大音生時代、友人に言われたそのひと言が、今のお仕事を決めるきっかけになりました。特にアニメに詳しいわけでもなかった私にとっては未知の職業です。でもなぜか「やってみたい!」と思いました。どうしてそう思ったのかは分かりませんが、何かしら魅力を感じたのだと思います。それからはもうその道に向かってまっしぐら。今では「声で表現するお仕事」にすっかりハマっています。

「声優」というお仕事は声を使うことはもちろん、役柄によってアクセントや言葉のニュアンスを変化させる、また音程やテンポ感の正確さが求められるなど、音楽に似ているところが非常に多くあります。

また、ナレーション等の場合、スタジオなどの現場に行って初めて台本を渡されることも少なくありません。事前に台本をもらって、自分でキャラクターを想定して、練習を重ねてから本番に臨んだとしても「違う」と言われたらその場でどんどん変えていかなくてはなりません。自分の中にたくさんの引き出しを用意しておいて、現場では、演出や相手役に応じて臨機応変に対応していくことが求められます。とにかく刺激的なお仕事です。

楽しかった学生生活でも進路には悩みました

中学・高校の頃は宝塚歌劇に憧れてバレエや歌を習っていました。とにかく舞台が好きで舞台に立って演技をしたいと思っていましたので、将来の目標は「歌って踊れる舞台女優」。

ただ、母親がピアノを弾くので自然とクラシックの世界に進むことになり大音を受験しました。
入学後はレッスンにも授業にも真面目に取り組んでいましたね。学生オペラに出演したり、オペラ研究部にも所属してオペラ漬けの日々。教職課程も履修していたので、とにかく忙しかったです。でも、同じ音楽を勉強する仲間が周りにたくさんいるので、みんなで高めあいながら本当に楽しい学生時代を送りました。

あまりに楽しすぎて「私将来どうしよう?」と4年生になってからはたと気づいてしまって。それほど楽しく無我夢中で音楽に没頭する毎日を送っていたために、卒業後の進路を考え始めるのが遅れたという感じでした。

それでも母校の中学・高校から非常勤講師の採用試験を受けないかと声を掛けていただいたりもしたのですが、試験には落ちてしまいました。

「あなたに向いている」後になって心に響いた先生の言葉

声優を目指し始めてからは一直線。
東京に出て養成所に通いました。考えてみれば小さい頃から学校で教科書を読まされると「上手だね」と言われていましたので、声のお仕事をする可能性の片鱗はあったのかもしれません。
そういえば、学生時代、声楽発表会の影アナウンスを任されたことがありました。先生からそのことをとてもほめていただいたことを記憶しています。
その頃私は「オペラがやりたい」の一点張りだったにも関わらず、先生には「あなたには童謡の方が向いている」などと言われていました。
その頃は受け入れられなかったのに、今となっては先生の冷静な分析に頭が下がります(笑)

「やりたいこと」「好きなこと」はもちろん大切ですが、「自分の素材を生かす」ことを考えて将来のお仕事を模索してみるのもいいのではないでしょうか。「あなたに向いている」と言われたことが、思いのほか自分に合っていて、それが好きになってしまうこともあります。
学生時代はどうしても偏ったものの見方をしてしまいがち。自分をどう生かしていけるか、かたくなにならずにいろいろな可能性を探した方が、より自分に近い道を見つけられるのではないかと思います。

私自身、声で表現するお仕事は奥が深くて、やればやるほどおもしろいと感じています。日常すべてが仕事に結び付いてくるので、いろいろな経験をして引き出しを増やし、これからのお仕事をさらに充実したものにしていけるよう、毎日を精一杯過ごしています。

トークショーに出演中の大河内さん

歌手としてコンサートも行っている


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