活発化する様々な「連携」

本学はこれまでも大阪府や豊中市、高槻市など近郊の自治体と共催で講座を行うなど、地域の文化振興に寄与すべく、様々な協力を行ってきた。また、「関西音楽の歴史」2008年(平成20年)のコラムにあるような経費削減を目的としたオペラの共同制作も、モーツァルト作品などにおいて横浜や広島のオペラ団体と、いち早く行っていた。しかしこの頃から各地で「連携」が活発化するのに伴い、本学もさらに様々な連携を試みるようになった

まず2006年(平成18年)に豊中市教育委員会と連携協力に関する覚書を交わし、「サウンドスクール」事業に協力を開始。これは同市が市立の小中学校を対象に「音楽あふれる学校づくり」をめざし、児童・生徒が音楽のすばらしさに触れる機会を充実させ、情操教育の一環として進めるもので、本学の学生、卒業生らが「生きた演奏支援活動」「伝統音楽の普及」を実践している。本学の学生らにとっては音楽を子供たちに提供するとともに、演奏の機会、また教育現場を体験する機会を得ることができる。 

豊中市とはその後2009、2011年(平成21、23年)に連携協定を結び、2012年からは同市の文化芸術振興プランの一つ「音楽あふれるまちとよなか」の推進事業として市が企画した「とよなか音楽月間」に参加。秋の2か月、市内各地で催される音楽イベントでの演奏、本学主催公演の冠化やワークショップ、オペラのゲネプロ(最終総括練習)公開などの特別企画を行っている。2015年(平成27年)より同市が創設した豊中音楽コンクールには共催団体として協力を開始した。また2011年に大阪大学21世紀懐徳堂と大阪音楽大学連携支援センター、豊中市の三者で連携協力実施に関する覚書を締結。これは、豊中市が同じ市内にある本学と大阪大学との連携事業を通じて、教育文化都市豊中にふさわしい魅力を創出しようという「大学のあるまちとよなか」推進事業を実行するためのものであった。同年12月18日、第1回のジョイント企画「待兼山クリスマスコンサート」を大阪大学会館 講堂で開催した。「演奏事務部門」が「連携・演奏事務部門」となったのもこの年で、連携事業が多く行われるようになったことを示している。

この他、自治体との連携としては2006年から羽曳野市開催の「はびきの市民大学」で講座を担当、2011年からは富田林市のすばる音楽祭に協力、2013年(平成25年)には寝屋川市と包括連携協定を結び、翌年ミュージカル「寝屋のはちかづき」を制作。短大ミュージカル・コースの学生、卒業生が出演した。

一方、教育機関同士の連携も見られるようになる。1999年(平成11年)の中央教育審議会の答申を機に高大連携が全国的に広がったが、本学は2003年(平成15年)、音楽コースのある大阪府立池田北高等学校と初めて協定を交わし、2009年帝塚山学院高等学校、2011年帝塚山高等学校(奈良)、桜塚高等学校と次々に連携校を増やした。2013年には短大ポピュラー・コースに「高大連携特別推薦制度」を導入。2007年(平成19年)、大学は神戸親和女子大学と提携し、次年度から通信教育による「小学校教諭免許状(一種)取得プログラム」を開始した。

また2007年にはいずみホールと産学提携し、ホール運営の全容を学ぶ「音楽産業論」の授業を開始。本学が社会で即戦力となる人材育成を図り、産業界との連携を模索していたところ、同ホールからアイデアの提案があり実現した。ホール側にも若者へのいずみホールの認知度を高め、彼らの音楽志向をつかめる上、人材発掘の手がかりになるなどのメリットがあった。授業以外にもパイプオルガン専攻の学生が年に数回、同ホールのオルガンをレッスンに使用させてもらうなどの多面的な連携も行われた。

このような幅広い連携協力の取り組みは、本学の社会に対する文化振興の貢献度を増すとともに、より多様な社会のニーズに対応する音楽人を輩出することにつながるものであった。