大阪文化祭賞W受賞

1992年(平成4年)、大阪文化祭に参加した2公演の成果により、ザ・カレッジ・オペラハウスと本学が同時に大阪文化祭賞第4部門(洋舞・洋楽)本賞を受賞するという栄誉に輝いた。2公演とはハンス・ヴェルナー・ヘンツェのオペラ《若い恋人たちのエレジー》と「再現演奏会と資料展示『関西洋楽事始(かんさいようがくことはじめ)』」である。

前者はザ・カレッジ・オペラハウスのディスカバー・オペラ・シリーズの最終回として10月17、18日に公演したもので、ダブル・キャストによる原語上演(独語)であった。1961年(昭和36年)に初演されたこのオペラは20世紀オペラの傑作といわれ、1966年(昭和41年)に東京の日生劇場でベルリン・ドイツ・オペラが日本初演を行ったが、日本人による上演はこれが初めてであり、関西では初演であった。ヨーロッパでも上演機会の少ない無調の難曲で、挫折寸前の出演者も出るなど、苦労のエピソードは尽きなかったという。それだけに、この受賞を受けて関係者の喜びはひとしおであった。批評家各氏からも難解な作品を単に紹介しただけでなく、楽しめるものとして上演したことが高く評価された。そしてほぼ演劇のように台詞で進行するこのオペラの理解を大きく助けたのが本公演から使用した字幕装置で、簡潔かつ要領を得た高橋浩子教員による字幕訳の秀逸さも同時に高い評価を得た。また、本公演で主役ミッテンホーファーを演じた川下登教員が“出色の舞台”と評価され、平成4年度大阪府民劇場賞を受賞した。

一方、後者の「再現演奏会と資料展示『関西洋楽事始』」は音楽研究所の音楽文化史研究室が制作、11月7日に行った研究公演である。これは同研究室が20数年にわたり収集してきた関西の洋楽文化史資料を基に、西洋音楽が関西に根づき始めた頃の明治中期の演奏会を再現、資料展示とともに、関西人の洋楽受容の様子を紹介するという企画であった。演奏曲目、楽譜、楽器編成、演奏方法、演奏様式、服装、髪型に至るまで、全て可能な限り忠実に当時の演奏会に近づけるべく、企画から約2年間の調査・研究を重ねた。会場にもこだわり、大阪で現存最古の演奏会場として大阪市中央公会堂(大正7年11月建設)を選んだ。最も困難を要したのは “音”の再現で、レコード普及以前の日本人演奏家による記録音源が実在しない中、現存する明治末期から大正初期の音源や当時の新聞・雑誌の演奏会評、楽譜・教則本等の出版物その他からの推考が頼りであった。出演は本学教職員・卒業生・在学生の他、関西の洋楽普及に大きく貢献した陸軍第四師団軍楽隊を母体とする大阪市音楽団(現・Osaka Shion Wind Orchestra)。遅めのテンポで表情乏しく、わざと音程を外すなど、推考に基づく100年前の人々の技量に合わせて演奏を行った。展示については、明治期の楽器、楽譜、教則本や演奏会プログラム、写真など、研究室所蔵のもの以外にもスタッフが古道具屋を巡ったり、所有する個人や諸機関に協力を仰ぐなどして集めた157点を客席横のスペースに陳列した。日本の洋楽受容研究において、音楽文化史研究室は草分け的存在であり、このような企画はおそらく全国でも初めてのものであった。マスコミ各社に取り上げられ、公演当日もテレビ局の取材を受けるなど大きな反響を呼んだ。同研究室による本学の受賞は『大阪音楽文化史資料 明治・大正編』刊行(1968年)に対して1969年(昭和44年)に音楽クリティック・クラブ特別賞を受賞(年表参照)して以来2度目のことであった。


 

 【ディスカバー・オペラ・シリーズⅣ ヘンツェ 《若い恋人たちへのエレジー》】
 
キャストによる音楽練習 オーケストラと指揮の松尾教員 本作の為に導入した字幕装置
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菅沼潤教員による初のプレ・トーク
(開演前の作品解説)
   
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大阪府民劇場賞受賞の川下登教員 自ら字幕の合図を送る高橋教員(左) 終演後の表情
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 【再現演奏会と資料展示「関西洋楽事始」】
 
チラシ  
画像 当時の演奏会の最大の特徴は“和洋折衷”。 
・洋楽と邦楽が入り混じった曲目構成
洋楽器による邦楽演奏
洋楽器と邦楽器による合奏
外国曲に日本語の歌詞をつけた唱歌
和装による洋楽演奏
などである。
 
会場入口に長蛇の列 受付嬢も振袖姿 1,000人を超す来場者 取材を受ける
西岡信雄音楽研究所所長
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<再現演奏>
一部、明治期の楽器も使用。衣裳監修は当時の金蘭短期大学(現・千里金蘭大学)横川公子教員に依頼した。来場者に100年前へのタイムスリップを体験してもらえるような演出を凝らした。
 
司会の西岡所長 軍楽隊奏楽 合唱《薩摩潟》
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フロック・コートに身を包み解説を行った
大阪市音楽団が陸軍第四師団軍楽隊に扮して演奏
原曲はシューマン
《Zigeunerleben流浪の民》
 
風琴楽隊 洋琴独奏 鉄道唱歌
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手風琴(アコーディオン)に打楽器や管楽器を加えた楽隊
振袖による洋琴(ピアノ)演奏
一世を風靡した大阪発の大ヒット曲、多梅雅作曲《鉄道唱歌》を出演者、来場者全員で歌った
 

<資料展示>
「ハイカラ音楽品々陳列」と銘打った展示には、開演前から来場者の人垣ができた。大阪市音楽団をはじめとする18の諸機関、13名の個人による協力・資料提供を受けた。
 
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大阪文化祭賞本賞 賞状
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