学生オペラ復活

1988年(昭和63年)5月の設置当初から、オペラハウス運営委員会はこけら落とし後のオペラハウスの活用について、討議を重ねていた。様々な案が出されたが、オペラについてはA企画:卒業生・教員が出演するもので、本学の力量を世に問うもの(4月頃開催)、B企画:選抜された学生が出演するもの(9月頃開催)、C企画:研究的色彩が濃いもの(11月頃開催)という3つの柱が決定し、それぞれの担当者によって具体的なプランが検討された。

このうちB企画である学生によるオペラを担当したのは委員の一人、桂直久教員で、公演は1989年(平成元年)9月8、9日、演目はモーツァルト《魔笛》と決定する。同年5月8日に大学院、大学専攻科、大学4年の声楽専攻生対象にオーディションが行われ、ダブルキャスト28名の出演者が選ばれた。ザラストロには山本正三教員が特別出演。演出は桂教員、オーケストラは松尾昌美教員指揮の本学管弦楽団。54名の学生たちがオーケストラ・ピットに入った。合唱は学生61名による本学合唱団、小鳥や動物たちに扮した25名の付属音楽幼稚園の園児たちが賛助出演した。演奏は従来の朝比奈隆訳の日本語で行った。公演は無料で公開したが、整理券を求めて両日とも申し込みが殺到し、相当数、希望に沿うことができなかったという。

翌年の第2回はモーツァルトの《フィガロの結婚》を取り上げたが、先に行われた春のモーツァルト・オペラ・シリーズの時と同じ舞台装置、衣裳、スタッフで上演するという、大変贅沢な公演となった。また、その春の公演の際に、稽古・ゲネプロ・本番と制作過程を見学し続けた学生や、3階立見席に4日間楽譜を持って通い詰めた学生の姿も見られたという。このように学生たちが身近に最良の教材を得て学ぶことができるというのも、自前のオペラハウスを持った大きな教育的意義である。

本学の学生たちによるオペラは、故朝比奈名誉教授の提唱を受けて、1961年(昭和36年)の《フィガロの結婚》に始まり14年続いたが、その後、大学、大学専攻科、大学院と声楽専攻がそれぞれに試演会を行うようになり、オーケストラも含めた全学あげてのオペラは、フェスタ70での《フィガロの結婚》が12年ぶりであった。それから4年、28年前の第1回研究公演に寄せられた朝比奈の「教育の場でオペラを取り上げ、将来に備えて技術と人材の積み重ねをしていかねばならない」という思いは、日本初のオペラハウスというこの上ない舞台で、再び実現されることとなった。

以来、現在までこの学生オペラは継続され、創立100周年となった本年度、2016年2月20、21日開催のモーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》で27回を数える。


 

 《魔笛》本番まで

オーディションから1週間後の5月15日に音楽練習に入り、31日から立ち稽古を開始した。声楽指導には桂斗伎子、阪上和夫、草野道広教員が当たった。
 
立ち稽古
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オペラハウスでの稽古
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ゲネプロ
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 第1回公演 《魔笛》 1989年9月8、9日
 
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 第2回公演 《フィガロの結婚》 1990年9月7、8日
 
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 選抜学生によるオペラ (1989~2016年)
 
演目 開催年
 魔笛  1989、95、99、2003、05、09、12、14
 フィガロの結婚  1990、92、94、97、2000、06、13
 コジ・ファン・トゥッテ  1991、93、96、98、2002、04、10、15
 ドン・ジョヴァンニ  2001、08、11、16