大阪第2のクラシック音楽専用ホール誕生

1982年(昭和57年)10月にザ・シンフォニーホールが開館して以来、1990年(平成2年)4月に大阪第2のクラシック音楽専用ホールとなる「いずみホール」が、大阪市中央区の大阪ビジネスパークの一角に誕生した。これに先立つ同年2月には企業メセナ協議会が設立されており、当時は企業によるメセナ活動が活性化していた。このような時流の中、同ホールは住友生命創立60周年記念事業の一環として建設され、世界に名立たる音楽の殿堂「ウィーン楽友協会大ホール」をモデルとした821席のシューボックス型ホールとしてオープン。フル・オーケストラ規模の大型舞台を備える1704席のザ・シンフォニーホールに対し、いずみホールは室内楽に特化した中規模の会場として注目を集めた。美しいバロック調の内装には主材料として国産(北海道)のナラを使用。ゴージャスなクリスタル・ガラスのシャンデリア8基も音響効果として緻密に計算されたもので、残響時間は1.8秒~2秒とクラシック音楽に相応しい音響空間を実現。舞台正面に設置されたフランス・ケーニッヒ社製のパイプオルガンや、1820年代のナネッテ・シュトライヒャー製フォルテピアノなど、同ホールならではの特色ある楽器を備えた。また、音楽ディレクターとして音楽学者の礒山雅を迎えたことも同ホールの特色の1つであった。

4月7日のオープニング・セレモニーのコンサートには鈴木雅明(Org)とプラハ室内管弦楽団が出演。また、翌8日のオープニング・ガラ・コンサートには、尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団、ヤナーチェク弦楽四重奏団といった国内外の演奏家が参加し、一般開館を祝った。以後、同ホールは7月7日までの約3ヵ月間にわたりバロック音楽を中心とした〈音楽の原点への旅シリーズ 〉、現代音楽による〈音楽の未来への旅シリーズ 〉、同館所蔵楽器による〈フォルテピアノシリーズ 〉などの「オープニング記念コンサートシリーズ」(全49公演)を華やかに開催した。関西の文化は民間主導という慣習に違わず、民間ホールたるいずみホールは公立のホールにはない欧米的な社交施設としての性格を有しつつ、ホール・オペラの開催や後にレジデント・オーケストラとして創設(2000年)される現代音楽の演奏を主目的とする「いずみシンフォニエッタ大阪」の運営など、大阪における多彩かつ先進的な音楽拠点としての評価を高めてゆく。