関西における市制100周年記念の音楽イヴェント

1989年(平成元年)は市制が施行されてから100年という節目に当たり、全国37都市が市制施行100周年を祝った。各都市では様々な市制100周年記念事業が計画され、関西では特に政令指定都市たる神戸市、京都市、大阪市などが100周年記念事業の一環として特色ある音楽イヴェントを開催した。

「市民文化都市」を掲げた神戸市は、4月2日、市制100周年記念として「管弦楽曲発表演奏会」を神戸文化ホール(大ホール)で開催。これは、神戸市制100周年記念作曲事業委員会(委員長・朝比奈隆)の下、委嘱を受けた神戸生まれの平吉毅州が作曲した《ファンタジー「神戸の詩」》の初演を含むオーケストラ・コンサートで、朝比奈千足指揮の神戸フィルハーモニックがその演奏に当たった。この《ファンタジー「神戸の詩」》は、神戸の夜の海をテーマとした子守歌風の静かな前半部と、サンバのリズムを取り入れた華麗な後半部から構成され、港町「神戸」や日本のサンバ発祥の地「神戸」を反映したオリジナル性の強い作品となった。

京都では、京都市市制100周年記念〔きのう・京・あした〕として、京都市などの共催による「ザイラー・ピアノデュオ連弾曲連続特別演奏会」が行われた。6月25日、7月2、9日、11月25日の4夜、京都市美術館(大理石の間)と関西日仏学館で開催。リストが作曲したピアノ4手版による《交響詩》12曲の本邦初演という意欲的なものであり、通常の演奏会場ではなく美術館を主舞台とした異色のコンサートであった。

大阪市は9月22日から10月28日にかけて、大阪城音楽堂、大阪厚生年金会館、森ノ宮ピロティホール、フェスティバルホール、大阪国際交流センター、ザ・シンフォニーホールの6会場で「大阪市制100周年記念音楽祭」を大々的に開催した。大阪に縁ある音楽家を中心に、プロ・アマ約2300名が参加。大阪市音楽団などによる前夜祭コンサートを皮切りに、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団公演、関西歌劇団と関西二期会の合同によるモーツァルト《フィガロの結婚》上演(小松一彦指揮、菅沼潤演出)、カラベリ・グランド・オーケストラによるポピュラーコンサート、姉妹都市提携15周年記念と銘打たれた上海交響楽団公演(福村芳一指揮他)など、12演目全14公演という実に多彩な企画が繰り広げられた。来るべき21世紀に向け、大阪音楽文化の更なる振興を目指した大規模な音楽祭となった。