関西歌劇団創立40周年記念~武智鉄二ゆかりのオペラ上演

当年に創立40周年を迎えた関西歌劇団は、その記念事業として3つのオペラ公演を行っている。その第1弾は、「歌舞伎調オペラ」と銘打ったプッチーニ《お蝶夫人》の上演であった(6月4、5日:アルカイックホール)。これは、1954年(昭和29年)に朝比奈隆の指揮・訳詞、武智鉄二の演出により上演した《お蝶夫人》のプロダクションを再現したもので、当時と同じく武智が演出にあたった。しかしながらその武智は病により直接的な演出は叶わず、同団は病床の武智から演出指示を仰いだという。

続く記念公演第2弾として、メノッティ《電話》と同団の十八番であった大栗裕《赤い陣羽織》の2つの室内オペラを併演(9月3、4日:森ノ宮ピロティホール)。特に《赤い陣羽織》は、武智がその発案者にして初演(1955年)の演出を行った作品でもあった。武智は7月26日に死去し、当記念公演はその霊に捧げられた。

そして、同団は創立40周年記念を締め括る公演として、ヴェルディの《アイーダ》を舞台にかけた(10月22、23日:アルカイックホール)。同団にとって当オペラは、1957年(昭和32年)の甲子園球場を会場とした武智の演出によるスペクタクルな野外公演を含め4度目となる上演であったが、当公演では外来指揮者の初起用(ミリボイ・スールベック)や、原語上演による初めての字幕スーパー使用(藤原歌劇団が1986年に初めて本格的な字幕スーパー付上演を行い全国的に普及した)、そして当時の5千万円という巨費を投入した豪華セットなど、創立40周年記念に相応しい斬新かつエポックメーキングな舞台をつくり上げた。

これらの関西歌劇団創立40周年記念公演は、同団で1954~59年にかけて演出家として活躍した武智鉄二と縁あるオペラを上演し、回顧展的な意味合いを持つものとなった。そしてまた同団は90年代に入ると、初演を手掛けた大栗裕の《飛鳥》、《夫婦善哉》、《地獄変》の再演という、大栗の創作オペラの回顧展的企画を成し遂げることになる。