新展開の特別講義

本学は20数年来、国内外の著名な音楽家や音楽学者、教育者などを招いて特別講義を行ってきたが、特に海外からの講師招聘が増加したのは世界的なチェロの大家、ロストロポーヴィチ氏をはじめ10名の外国人講師を招聘した昭和55年度以降のことであった。翌昭和56年度の教授会で田中学長は、可能な限り多くの著名な音楽人を招いて学内に刺激を与えたい、また長期にわたり滞在して講座を行っていただくことも考えていると述べている。その言葉の通り、国内外を問わず、その年には本学の卒業生で、当時シュトゥットガルト放送交響楽団のトロンボーン奏者であった山本雅章氏を皮切りに、2人目の特別名誉教授となったヘンリック・シェリング氏など18名を招聘した。特別講義の数は年々増加し、創立70周年にあたる1985年(昭和60年)には実に36件も開講されている。そのうち外国人講師は毎年約半数を占めていた。

こうした特別講義は各専攻部会の内発的な動きとして開講されるようになり、年間計画を立ててカリキュラムと連動するスケジュールが組まれていった。ピアノ部会では昭和56年度より毎年1~2ヵ月滞在の講師を招き、特別講義とともに大学院、専攻科生、専門特殊研究の学生たちの個人レッスンをカリキュラムの中に定着させた。その講師第1号がJ.S.バッハの解釈では現代一流といわれたウクライナ出身のピアニスト、ヴィタリ・マルグリスである。同様の形で、声楽部会でも昭和60年度より、4~7月の間に23年ぶりの来学となるロドルフォ・リッチ氏を招聘、学生たちが個人レッスンを受講した。なお、受講対象外の学生の聴講も自由とした。

また、特別講義において本学吹奏楽団が、世界的に名高いギャルド・レピュブリケーヌ軍楽隊の隊長であったロジェ・ブートリー氏の直接指導を受け、同氏を指揮者に迎えた特別演奏会に出演。指導のみならず、著名な演奏家との共演によりその研鑽の成果を披露するという新たな試みも見られるようになる。そして講師として招いた演奏家のコンサートを本学が主催することも昭和56年度より始まった。

これらの招聘事業の活発化は、本学の音楽文化振興財団の本格的始動による助成も大きな契機となっている。他方、特別講義は内外の協力を得て実施できている場合が多く、東京の音楽大学など他学との連携も図られるようになった。多彩な講師陣による特別講義は本学の特色の一つとなっていく。


1981~1985年開催の特別講義
(写真の残るもののみ列挙、年表に掲出済のものは省略もあり)
 

 【1981年】全18件
 
C.ラルデ 間宮芳生 山崎孝 H.ゼーガ 柴田南雄
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6月18日
フルート
6月23日
作曲
6月26日
ピアノ
6月26日
声楽
7月9日
楽理

R. ブートリー P. バルビゼ 遠藤郁子 H.ピュイグ=ロジェ R.フィッシャー
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7月17、18日
吹奏楽
9月29日
ピアノ
10月30日
ピアノ
11月6日
ピアノ
12月8日
声楽



 

 【1982年】全28件
渡辺護氏による音楽学連続特別講義(全3回)のように、1人の講師があるテーマについて複数回連続して行う形の講義も開催されるようになる。
 
A.ジョルダーオ A.マリオン G.スゼー H.ヴォルフ A.エヴァーディンク
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4月3~10日
ピアノ
4月20日
フルート
4月27日
声楽
4月28日
トランペット
5月7日
声楽

R.ボボ 前橋汀子 中田喜直 新田英開 佐野英二
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5月22日
テューバ
6月19日
ヴァイオリン
7月5日
声楽
9月16日
声楽演技
9月24日

D.デュファイエ A.レスラー 武満徹 小島葉子 千葉馨
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10月14日
サクソフォーン
10月27日
作曲
11月16日
作曲
12月10日
オーボエ
12月15日
ホルン



 

 【1983年】全16件
特別名誉教授のロストロポーヴィチ氏が3年ぶりに再来学。ヴィタリ・マルグリス氏も2年ぶりに来学し、1ヵ月間滞在して特別講義に加え個人レッスンを行った。
 
M.ロストロポーヴィチ E.カルコシュカ J.d.O.ロペス C.ナイディッヒ H.ユンク
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4月28日
チェロ
5月11日
作曲
5月13、14日
声楽
6月24日
クラリネット
9月19日
木管五重奏

A.マリオン B.スローカー      
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10月14日
フルート
11月14日
トロンボーン
     


 

 

 【1984年】全28件
ジェラール・スゼー、ダルトン・ボールドウィンの両氏が2年ぶりに再来学。それぞれ声楽とピアノ伴奏法の特別講義を行った。パウル・パドゥラ=スコダ氏も2年ぶりに来学。
 
H.カン D.ボールドウィン D.ウィック W.マルム G.d.プリュ
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4月26日
ピアノ
5月17日
ピアノ伴奏法
5月18日
トロンボーン
5月25日
楽理
6月25日
クラリネット

畑中良輔 A.ゴーティエ 井上頼豊 寺崎裕則 市田儀一郎
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7月4日
声楽
9月10~11月12日
ピアノ
9月20日
チェロ
10月9日
オペラ演習
10月11日
ピアノ

J.モルナール P.パドゥラ=スコダ 平井康三郎 T.ザンデルリンク 吉永孝雄
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10月16日
ハープ
10月17~19日
ピアノ
11月19日
作曲
12月11、15日
オーケストラ
12月14日



 

 【1985年】全36件(件数はフェスタ70のものも含む。写真は「OCMフェスタ70」の記事内に列挙)
畑中良輔氏による「オペラのはじまりとその展開について」と題した連続特別講義が、フェスタ70期間中も含めて、全4回(5、7、9、11月)にわたって開催された。
 
W.モーア 畑中良輔 田村宏 G.ナードル M.フェルドマン
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4月23日
声楽
5月23日~
声楽
5月24日
ピアノ
7月8日
ピアノ
11月13日
作曲

W.v.ハウエ M.ベッケ      
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11月27日
楽理
11月30日
トロンボーン
     

 

 

 


招聘講師陣によるサイン色紙

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