大阪フィルハーモニー交響楽団 カナダ・北米公演

社団法人関西交響楽協会(現・公益社団法人大阪フィルハーモニー協会)創立30周年を記念し、1980年(昭和55年)、大阪フィルハーモニー交響楽団は約1ヵ月にわたるカナダ・北米公演を敢行した。これは約2年がかりで計画が進められたもの。1975年(昭和50年)の同団初の欧州公演に際しては、大阪フィルの永年のファンらが「大阪フィルをヨーロッパに送る会」を結成して渡欧のための募金運動を展開したが、当公演においても「北米公演を成功させる会」が同団の友の会の有志により発足し募金活動が行われた。同団は4月10日に大阪を出発し、12日のカナダ・ヴァンクーヴァーを皮切りに、5月2日のアメリカ合衆国・スケネクタディ(ニューヨーク州)を最終公演地として5日に帰阪した。公演数としてはカナダではヴァンクーヴァーのみの3回、北米では12都市で14回。全17回の演奏会が行われた。指揮には朝比奈隆(7回)と秋山和慶(10回)が立ち、ヴァイオリンの潮田益子(6回)とピアノの弘中孝(8回)がソリストとして出演した。

各者の主な演奏曲目は下記の通りである

 朝比奈隆


 
 ベートーヴェン《交響曲第3番「英雄」》
 ブラームス《交響曲第1番》
 チャイコフスキー《交響曲第4番》
 大栗裕《大阪俗謡による幻想曲》
 秋山和慶


 
 ベルリオーズ《幻想交響曲》
 チャイコフスキー《交響曲第4番》
 シベリウス《交響曲第2番》
 大栗裕《大阪俗謡による幻想曲》
 潮田益子
 
 モーツァルト《ヴァイオリン協奏曲第3番》
 メンデルスゾーン《ヴァイオリン協奏曲》
 弘中孝
 
 グリーグ《ピアノ協奏曲》
 ラフマニノフ《ピアノ協奏曲第2番》

 

 

4月12日から14日にかけてのカナダのヴァンクーヴァー公演では、大阪フィルは当時秋山が常任指揮者を務めていたヴァンクーヴァー交響楽団と合同演奏を行い、総勢180名による壮観の舞台をつくり上げた。またこれ以後の北米公演は、4月24日のバトルクリーク(ミシガン州)でのコミュニティー活動50周年記念として行われた公演をはじめ、当時人口3~10万規模の諸都市で地域文化の振興に貢献することを目的としたコミュニティ・コンサートとして多数行われたのが特徴的であった。会場は高校や大学の講堂、ヴォードヴィル劇場等であったというが、そういった地域に根ざした活動が盛んな都市部での公演は、大阪フィルにとっておそらく大きな刺激となったに違いない。20日のサンフランシスコや4月30日、5月1日のニューヨークといった大都市でも公演が行われたが、聴衆の反応は積極的で暖かいものであったという。当カナダ・北米公演に同行した音楽評論家の大野敬郎は、朝日新聞に現地での印象を寄稿し「自発的に音楽を楽しむ聴衆に、カナダとアメリカの健康な部分を見た」と総括した(昭和55年5月19日 朝日新聞夕刊)。



「大阪フィルの北米公演を成功させる会」販売のハンカチとライター
(昭和54年12月1日 関西音楽新聞)

募金とともに朝比奈隆のサイン入りハンカチとライターなどを販売し、公演資金とした
画像



大阪空港から北米公演に出発する大阪フィルハーモニー交響楽団一行
(大阪フィルハーモニー協会提供『大阪フィルハーモニー交響楽団50年史』)

画像



北米公演プログラムの数々

画像
※画像をクリックすると拡大します

 

公演スケジュール(プログラムより)
 
大阪フィルプロフィール(プログラムより)
 
画像
※画像をクリックすると拡大します
画像
※画像をクリックすると拡大します

 

会場に貼られたポスター
 
マソニック・オーディトリウム
 
画像
※画像をクリックすると拡大します
画像
※画像をクリックすると拡大します

 

 


朝比奈隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団

画像
※画像をクリックすると拡大します

この日はサンフランシスコの姉妹都市である大阪市の大島市長も駆けつけ、儀仗兵とドラムの先導により来場。2,500名の聴衆の中、両国国歌で公演が始まったという。(満谷昭夫氏記)